お金をかけずに夏を涼しく過ごすための科学的方法

日本の夏は暑いですよね。特に温暖化の影響で夏場の気温はどんどん上がってきています。
昔から、夏を涼しく過ごす方法がいろいろ考えられていますが、ついエアコンに頼ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
もちろん我慢は禁物。熱中症を防ぐ意味でも、エアコンは適宜使っていきましょう。

でも、日本では昔から夏を涼しく過ごす工夫がいろいろと行われてきました。今回はお金を掛けずに夏を涼しく過ごす方法を、少し科学的に考えてみたいと思います。ちょっと理屈っぽくなりますが、タカギチの性格なのでご容赦を。

太陽の光が入らないようにする

部屋の中が暑くなる一番の原因は太陽の光でしょう。熱の伝わり方には3種類あります。輻射、伝導、対流ですね。このうち輻射は太陽から地球に照り付ける光や赤外線による熱の伝わり方。太陽光で部屋の中が熱くなるのは輻射によるものです。

太陽光は、その大半は目に見える光(可視光線)なので、窓のガラスを突き抜けて入ってきます。そして、その光が部屋の中の床、壁、家具などに当たって熱に変わります。だから光が当たったところが熱くなる。

これは直射日光だけでなく、太陽光が空気の中で散乱して入ってくる光も同じです。(太陽光が直接当たらなくても、窓を開ければ部屋の中が明るくなるのは、散乱光のお陰です。)

一方、室内で太陽光があたって熱くなった床や壁や家具は、その熱が赤外線となって外に出ようとします。しかしガラスは、可視光線は通すが、赤外線は通さないという不公平な性格を持っています。このため、太陽の光が当たって室内で発生した熱が赤外線になって逃げだせない。だから、部屋の中が暑くなりまです。
例えば、日の当たるところに駐車した車の中が、超暑くなってしまうのはこのためです。

だから、夏を涼しく過ごす知恵のひとつは、まず太陽からの光を部屋の中に入れないことです。

☆ 簾(すだれ)、よしず

太陽の光は窓から入ってくるので、窓を塞げばいいのですが、完全に塞いでしまうと、風通しが悪くなるし、部屋の中が暗くなってしまいます。

そこで登場するのが、簾(すだれ)やよしず。いずれも細く切った竹や葦を編んだものですが、吊り下げるのが簾、立て掛けるのがよしずです。
いずれも風は通しながら、太陽の光の一部を遮って、輻射による熱の侵入を減らします。

なお、簾は窓の外に吊り下げるより、窓の外に吊り下げる方がいいでしょう。なぜなら、太陽の光は簾で一部は反射されるますが、一部は熱に変わり、簾自身が熱くなります。窓の内側に簾を吊るすとその熱で室内が暑くなりますが、外に吊るせば、熱は対流によって上昇して家の外に流れていきます。

簾を窓の外に吊るした例

☆カーテン

カーテン、特に遮光カーテンは太陽光が入らないようにしますが、風通しも悪くなるので開けられない窓ガラスを覆うために使います。室内をエアコンで冷房しているときでも、カーテンで外からの光を遮れば、冷房効果が上がります。

☆庇(ひさし)

洗濯物干しやパーゴラなどの窓に突き出た構造物があれば、そこに光を遮る布や板を張って庇にすれば、太陽の直射日光を遮ることができます。夏場は太陽の角度が高く、直射日光が上から照り付けるので、庇の効果は絶大です。
冬になれば、庇は取り払い、太陽光をできるだけ取り込むようにします。

パーゴラに遮光布を使って庇にした例

☆ 遮光シート

切って張り付けるだけという遮光シートが売られています。ガラス窓に遮光シートを張り付けて、ガラス窓から入ってくる光の一部を遮ることができます。

植物を植える

植物を植えることによる効果は意外と効果が大きいようです。庭のあるおうちは是非、庭に樹木を植えておいてください。マンションでもベランダに鉢植えやプランターで植物を植えると効果があるでしょう。

窓の外に樹木を植えておくと、葉が太陽光を遮り輻射によって部屋の中が温まるのを防ぎます。すだれやカーテンと同じですね。しかし、窓から離れた樹木も、窓から入る日光を直接、遮ることはありませんが、地面に日陰を作るので照り返しを防ぐことができます。

また、窓だけでなく、壁に日陰を作る場合も効果があります。日光が壁に当たると、壁が熱くなり、その熱が壁を伝って室内に入ってきます。熱の伝わり方、輻射、伝熱、対流の2番目。伝導です。だから壁に日陰を作る植物も有効なのです。

さらに重要なのは、植物は熱の輻射を防ぐだけではなく、葉から水分が蒸散し、気化潜熱を奪って気温を下げる効果があることです。

植物は根から水分を吸い上げ、葉からその水分を蒸発させています。これを蒸散作用と言います。水分が蒸発するとき、気化潜熱というかなり大きな熱を大気から奪いますので、空気の温度が下がります。

☆ 落葉樹

植える樹木は落葉樹がいいでしょう。夏は直射日光を遮断してくれ、冬は葉が落ちるので、日光を妨げません。落葉樹はいろいろあります。花の咲くもの、実の成るもの、紅葉が美しい物。楽しみながら夏を涼しくすることができます。

☆ 芝生や低木

芝生や低木は日陰を作るわけではありませんが、太陽の照り返しを防ぐ働きがありますし、葉からの蒸散作用で空気を冷やしてくれます。

☆ つる性植物

朝顔、ゴーヤ、へちまなどの、成長の早いつる性植物を窓に這わせるというのもいいでしょう。これも冬になったら枯れるので、冬場は太陽光を遮りません。つる性植物は種から育ててもいいですが、4月から6月頃に、花屋やホームセンターで売っているポット苗を買ってきた方が確実です。窓の下の地面やプランターに植え付けたあとは土が乾かないように水をやるだけ。

朝顔は綺麗な花を咲かせてくれますし、ゴーヤは野菜として食べられます。あまり知られていませんが、ミニトマトもいいと思います。実が生れば、サラダにすることができます。

打ち水をする

暑さをしのぐ方法としてよく使われるのが、地面に水を撒くという方法。打ち水です。これは、撒いた水が蒸発するときに蒸発潜熱を奪うことで、空気を冷やしてくれます。

蒸発潜熱を生み出す水分の蒸発は、温度が高いほど、空気が乾いているほど、風が強いほど、そして蒸発面積が広いほど、大きくなります。

庭のあるおうちでは植えた樹木を枯らさないために水を撒きますが、地面だけでなく葉や枝にも掛けると、蒸発面積が広くなって水が蒸発しやすくなるので、より涼しくなります。

風通しを良くする

熱の伝わり方は、輻射、伝導、対流の3つですが、風通しを良くすることは3番目の対流ということになるでしょう。

部屋の中の温まった空気は対流によって天井に上って溜まっていきます。ですから、窓を開けて、温まった空気を外に逃がしてやります。さらに、空気の流れがあると私たちの身体の表面から水分が蒸発するため、これも打ち水と同じで、蒸発潜熱で涼しくなります。

窓は1か所だけでなく、東と西、北と南という風に、2か所以上開ける必要があります。また、虫が入ってこないように、網戸を使っている場合は網戸がほこりなどで詰まっていないか確認してください。網戸は洗って綺麗にしておくと効果的です。

2階建ての家の場合、暖かくなった空気は階段室を通って上に上がって行きます。このまま放っておくと、2階が暑くなってしまいます。2階の部屋の窓を開けて、天井に溜まった暖かい空気を外に逃がしてやりましょう。

寝室など昼間は使わない部屋も、できるだけ換気を良くしておきましょう。昼間に太陽光が入って部屋の中が温まってしまうと、その熱が壁や天井に残り、太陽が沈んでからも、なかなか涼しくなりません。

なお、エアコンを使っている場合は、逆に部屋から冷気が抜けないように、空気が逃げる隙間がないか調べ、隙間があれば塞ぐようにします。

熱を出さない

熱が入ってこないことも重要ですが、室内で電気製品やガスレンジなどを使えば、熱が発生します。このような室内で発生する熱も、できるだけ出さないように、出たらすぐ外に出す工夫が必要です。

☆ LED電球

白熱電球や蛍光灯は熱が出ます。これをLEDに取り換えると熱の発生を少なくすることができます。LEDは蛍光灯や白熱電球のように電気エネルギーを熱や光に変えるのではなく、電気エネルギーの大半をそのまま光に変えるので、熱の発生の少ない照明です。

蛍光灯とLEDの発熱量の差はあまり大きくないと言われますが、白熱電球との差は大きいので、もし白熱電球を使っている照明器具があればLEDに取り換えることをお勧めします。

LEDは白熱電球より高価ですが、省エネになって電気代も浮きますし、電球が切れた時の交換も不要になります。

☆ 台所・お風呂

台所やお風呂でも熱が出ます。お風呂から上がったあとは、窓を開けて温まった空気を外に出し、一方、出入り扉を閉めて室内に熱気を入れないようにします。
台所で煮炊きの際に出る熱は換気扇を使って外に逃がしてやりましょう。

身体が冷えるまで待つ

最後に、暑いときは体が冷えるまで待つという方法?を紹介します。
外出から帰ってきたときや、食事のあと、風呂に入ったあとは体が温まっています。あるいは、普通に生活していても体は熱を持っています。

そのまま、寝床に入って寝ようとすると暑くて寝苦しい。仕方ないのでエアコンをつけて寝るという方も多いのではないでしょうか。しかし、床に入ってしばらく経つと身体がだんだん冷えてきます。するとエアコンが効きすぎて、寒くなってきます。

だからエアコンを切ると今度は部屋が暑くなって、また寝られない。そこでエアコンのスイッチを入れる。すると寒くなりすぎる。こんな経験はありませんか。エアコンは嫌いという人が多いのもこういう理由だと思います。

床に入ったら、エアコンをつけずに、窓(できれば2か所以上)を開けてしばらくじっとしていることをお勧めします。するとやがて体が冷えてきて、窓から入ってくる涼しい風を感じ始めれば、自然に眠りにつくことができます。
あるいは、扇風機などで身体を冷やし、身体が冷えたら扇風機を止めます。

もちろん我慢は禁物。いつまでも暑さが取れないなら、我慢をせずにエアコンを付けましょう。

以上、お金を掛けずに夏を涼しく過ごす方法を、ちょっと科学的に考えました。

2021年7月11日

【関連記事】
燃料を入れ間違えたらどうなるか ガソリン、灯油、軽油を入れ間違えたら?
いまさら聞けない石油ストーブの使い方…灯油の保管方法から安全性、暖房費用、お湯を沸かせるかなど
無添加石鹸は本当に無添加? 石鹸の化学