ベトナムでとりあえずビール @ハノイ・ベトナム

ベトナムの食堂

何度かベトナムを訪れるようになって気がついたことなのだが、ベトナムには専門店街が多いように思う。日本でいえば秋葉原の電気街とか、かっぱ橋の道具街とかが有名だが、ベトナムにも専門店街がふつうにある。カバンばかりを売っている通りとか、電気製品ばかりを売っている一角とか、仏具ばかりを売っている街などといった具合である。

博士と私が泊ったホテルは、どうも食堂街の一角にあるようだった。チェックインを済ませてから、昼飯を食べようとS博士と二人でホテルを出たら、あちこちに食堂がある。食堂の建物は長屋形式で、細長い2階建ての建物がいく棟も建っており、その一階部分が食堂になって、ずらりと並んでいる。

それぞれの食堂は間口が比較的狭いが、奥行きは深い。そしてあまり清潔そうではない。S博士は何軒かの食堂を外から覗いて回ってから、そのうちここがよかろうと、一軒の食堂にずいと入っていく。もちろん私たちの泊ったホテルの中にもレストランがあり、そこで食事をとるという手もある。というか、私はそういう所が望みだったのだが、その方が清潔だし、S博士が昼食ぐらい奢ってやろうというので、付いて行ったわけである。

食堂の中の客はみんなベトナム人で、私たちのような外国人が珍しいのか、みんなからじろじろ見られる。ちょっと有名人になったような気分。入口付近は土間で、何セットかのテーブルと椅子が置かれ、奥は一段高くなって座敷風になっている。私たちはテーブルに席をとったが、見回すと壁は汚れているし、床には何か液体が流れているし、ゴージャスなレストランとはとてもいえない。でもS博士はまったく気にしない。

ここで私たちはベトナム名物のフォーとビールを注文した。フォーはベトナムのうどんのようなものである。日本でも最近はフォーの店というものがあちこちにできているので、食された方も多いであろう。日本のうどんよりも麺が平べったく、柔らかく、まったく腰がない。さぬきうどんとは対極に位置する麺であるが、味はよい。

私たちは店の主人に「フォー」アンド「ビア」と注文したのだが、どうもフォーの発音が悪いらしく、主人には通じない。博士が、ほかの客の食べているフォーを指さして「フォー、フォー」と言うと、主人がにっこり笑って、分かった分かったという表情をした。

<PR>高級お米ギフトを取扱う京の米老舗 八代目儀兵衛です。
お米は料亭御用達の厳選国産ブレンド米や選りすぐりの産地銘柄米。

ベトナム語の発音は難しい

ベトナム語は発音が難しく、われわれ日本人がカタカナで発音しても通じないことがある。ベトナム語はアルファベットで表記されるが、おなじみのA、B、C…だけでなく、アルファベットの上にときどき ^ や ? や ` みたいな様々な発音記号がつけられている。この発音が難しい。ちなみに、日本でもおなじみの「フォー」は、そのままカタカナで発音しても現地では絶対に通じないのでご注意を。ところが、ビールは英語の発音で「ビア」と言えば間違いなく通じる。ベトナム語でもビールのことは「BIA」と書く。^ も ? も ` もない。まさにビアである。

ハノイビールとフォー

ベトナムビール

店内は汚いが、フォーはうまい。しかし、ビールはちょっと問題がある。冷えてないのである。小瓶のビールとジョッキがでてきて、ジョッキの中に棒状の大きな氷が入れてある。このジョッキにビールを注いで、中の氷で冷やして飲め。ということのようであるが、東南アジアの氷は危ないよ、おなかを壊すよと聞かされていたので、ビールを氷で冷やして飲むのは躊躇してしまう。

仕方がないので、生ぬるいビールを飲むことになったが、それほどまずくはない。冷えていたらもっといいのにと思ってしまう。

ベトナムには地ビールが多く、味も良いのでお勧めである。その土地その土地のビールがあって、ハノイにはハノイビール、ホーチミンにはサイゴンビール、ズンクワットにはズンクワットビールといった具合である。

ちなみにインドに行ったとき飲んだビールは納豆のような匂いがした。日本に帰ってからビール会社に勤める友人にその話をしたら、「それは腐っているんですよ。」と言われてしまった。幸い、このときはビールでおなかを壊すことはなかった。といっても、そのあとでうっかり生水を飲んで数日間激しい下痢状態になったのだが。

店の勘定は博士が払ってくれた。私が払うといっても、「いやいやいいよ。初めてのハノイなんだから遠慮することはない。私にまかせなさい。」とどんと胸をはって言ってくださるので、お言葉に甘えることにした。ちなみに、勘定はいくらでしたかと聞くと、「気にしなくていい。」と。それでも教えてもらうと、二人分で80,000ドンとのこと。

「え!え~!。8まんドンも…」と一瞬、数字の大きさにびっくりしかけたが、このときのレートは1ドンが0.004円。80,000ドンに0.004円をかけるといくらになる?え~と、ゼロがやたら多くて計算しづらい。計算結果は320円とでた。ゼロを間違っていないだろうな。ともう一度計算したが、やはり320円。ひとりあたり160円。フォーが100円でビールが60円ということらしい。

これなら、博士におごってもらっても、それほど気にすることはない。すっかりお言葉に甘えることにした。と言っても160円だけどね。

※ベトナムドンのレートは当時のレートです。

次ページ ベトナム人は演歌が好き?



 

PR

1 2 3 4 5

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。