オクタン価の高いガソリンは燃えにくいって本当?
オクタン価って聞いたことありますよね。ガソリンスタンドに行くとフルサービスなら、店員がでてきて、「ハイオクにしますか、レギュラーにしますか」って聞かれるし、セルフでも、液晶画面でハイオクかレギュラーかを選択することになってる。そして、ハイオクの方が少しばかり値段が高い。
ハイオクってのは、ハイオクタン。つまりオクタン価が高い(ハイ)ってことなんだけど、オクタン価の高いガソリンの方がちょっと高級ってことだですよね。
でも、オクタン価って何かって聞かれると、ちゃんと答えられる人は少ないんじゃないかな。よく「オクタン価が高いってことは燃えにくいということだ。」と書かれた記事を見かけたりするけど、じゃあオクタン価の高いガソリンはマッチやライターで火を着けても燃えないってこと?
そんなことはないから、ガソリンには火を着けないでくださいね。オクタン価が高くても低くても燃えるよ。ていうか爆発することもあるから気を付けてください。
ではオクタン価って何?
オクタン価とはなにか
そもそも、オクタン価とは何でしょうか。結論から言うと、ノッキングのしにくさの指標ということです。「しやすさ」ではなく「しにくさ」ってところが分かりにくいですよね。
ガソリンエンジン(オットーエンジン)は、吸入、圧縮、爆発、排気というサイクルを繰り返しているってことは、免許を持っている人なら自動車学校で習ったと思います。授業中、眠っていた人は覚えてないだろうけど。
ガソリンエンジンは、まず、ガソリンの蒸気と空気が混ざった気体(混合気)をシリンダーに吸い込み、圧縮し、圧縮が終わったところで、点火プラグで点火してガソリンを爆発させる。その爆発力によってピストンを押し下げ、ピストンが戻る力で燃焼ガスを排気する。これを繰り返す。これが4サイクルエンジンです。
ガソリンがエネルギーを発揮するのはこのうち、爆発行程だけで、残りの行程は、その爆発力ではずみ車が回って惰性で動いているのです。
ではなぜ、混合気を圧縮するのか。それは、圧縮して爆発させた方がガソリンの持つエネルギーを効率よく取り出せるからです。でも、なぜ混合気を圧縮した方が効率が良くなるかは聞かないで。いろいろと難しい理論があるんだけど、私もよく理解していないので。
取り敢えず、ガソリンは燃やす前に圧縮した方がエネルギーをたくさん取り出せると理解してください。なので、エンジンはできるだけ頑丈に作って、できるだけガソリン蒸気を圧縮した方が効率的になる。同じ大きさのエンジンなら、「圧縮比」をできるだけ大きくするように設計した方が大きな力が出る、つまり高性能ということになるわけです。
すみません突然、「圧縮比」っていう言葉がでてきたけど、圧縮比というのは、下の図のように、ピストンが一番下がった時のシリンダーの容積(a)と、ピストンが一番上がった時のシリンダーの容積(b)の比率のことです。つまり、混合気が何分の一に圧縮されたかを示す数字のことです。
でもね、圧縮比は大きくすればするほどいいか、というと、そうはならないんです。それは、混合気をどんどん圧縮していくと、ガソリンが自然着火(異常燃焼)してしまうという現象がおこる。つまり、混合気がプラグで点火される前に自分で勝手に火がついて爆発してしまうんだ。
自然着火してしまうと、ピストンが上がりきらないうちにピストンを押し下げるように、つまりエンジンを逆に回転させるように爆発力が働く。このため、エンジン効率が極端に落ちるし、エンジンがカンカンと音を立てたり、ガタガタと振動したり、場合によってはエンジンが壊れてしまうこともある。いわゆるノッキングってやつが起こるわけです。
では、どのくらい圧縮したらガソリンは自然着火してしまうのかというと、それはガソリンによって違うんだ。圧縮しても自然着火しない、つまりノッキングを起こしにくいガソリンと、自然着火してノッキングを起こしやすいガソリンがあるということ。
例えていえば、圧力に耐えきれないで、勝手に爆発してしまう気の短いやつと、ずっと圧力に耐えつづける我慢強いやつがいるようなもんだね。
でもそうだとすると、自動車会社でエンジンを設計するときに、圧縮比をどのくらいにして設計していいかが決められない。
それで、ノッキングの起こしにくさをオクタン価という数字で示して、石油会社はオクタン価がこれくらいのガソリンを作りますよ。自動車会社は、そのガソリンのオクタン価に合わせたエンジンを設計しますよ。と話し合いで決めているんだ。
日本で一番多くのガソリンスタンドで使いたいなら
↓↓↓ ENEOSカード
CARD C なら 最大7円/ℓの値引き
CARD P なら 最大3ポイント還元
CARD S なら 年会費無料でずっと2円/ℓ値引き
あなたに最適なカードを診断します
ここをクリック → ENEOS
誤解① ガソリンはオクタン価が高いほど燃えにくい
オクタン価の高いガソリンはエンジンの圧縮行程で高圧になった時に自然発火しにくい。だから、オクタン価が高いほど燃えにくいと言われているのだろうけど、普通の意味、つまりマッチやライターなどで着火した時に燃えにくいというのとは違います。
ネットをみると、オクタン価の高いガソリンは燃えにくいから、「引火点が高いガソリン」だと丁寧に解説している記事もみかけるけど、オクタン価と引火点は関係ないですよ。
オクタン価の高いガソリンでも低いガソリンでも、マッチやライターで火を着ければとっても良く燃える。というか爆発的に燃えるのでくれぐれも注意してください。 (ガソリンに火を近づけても火はつかない?ウソ 参照)
なかには、レギュラー仕様車にハイオクを入れると、ハイオクは燃えにくいので燃費が悪くなるという人もいるけど、そんなこたーない。
レギュラーだろうがハイオクだろうがエンジン内でほぼ完全燃焼するので、放出されるエネルギーは同じ。むしろハイオクの方が比重が重い分だけ、リッター当たりに換算すれば、理論上は燃費が良くなるといわれている。
オクタン価は燃えにくさを示しているのだから、燃えにくい灯油や軽油をガソリンに入れるとオクタン価が上がると言う人もいるが、これはまったく乱暴な話です。
確かに灯油や軽油はガソリンより燃えにくいけど、オクタン価が高いというのは高圧で自然発火しにくいということで、灯油や軽油が燃えにくいというのとは違いますよ。
灯油や軽油が燃えにくいのは揮発しにくいから。ガソリンエンジンは燃料を揮発させて、空気と混ぜて混合気を作ってシリンダーに送り込むから、揮発しにくい灯油や軽油はそもそもガソリンエンジンの燃料にはならない。
もし、ガソリンに灯油や軽油を混ぜて無理やりガソリンエンジンに突っ込むと、多分不完全燃焼を起こして、真っ黒い煙を出してエンジンは止まってしまうだろうね。
次のページ → ガソリンのオクタン価は含まれるイソオクタンの割合で決まるので100以上にならない
【関連記事】
ガソリンの品質はガソリンスタンドによって違う?
ガソリンに火を近づけても火はつかない?ウソ
原油から作られる石油製品の割合は決まっている? 連産品という誤解
ガソリンのオクタン価は有毒な添加剤によって上げている?
京アニ放火事件 被害拡大のなぞ
この原油安でガソリン価格は100円まで下がるか?
ガソリンのオクタン価は含まれるイソオクタンの割合で決まるので100以上にならない?
ハイオクガソリンは純度が高い?、添加剤?、イソオクタンが多い?
ハイオクとレギュラーは混ぜてはいけない?、日本のオクタン価が低いのは燃費を悪くするため?