その地球温暖化メカニズムは間違っている 温室効果はあなたの身の回りで起こっている

毎日、危険な暑さがつづく。私が若いころ、つまり半世紀も前の話だが、日本の夏はもっと涼しかった。そのころインドでは暑さのために死者が出ると聞いてびっくりした記憶がある。日本では寒さで凍えて死ぬというのは聞くが、暑さで死ぬというのはまったく考えられなかった。ところが、近年では日本でも当たり前のように暑さで死人が出る。

この暑さ。偏西風の蛇行や暖気の流入など、その時々の気象の影響もあるだろう。この暑さはこういう単なる自然の変動であって、だから地球温暖化の影響ではないと言い切る人もいるが、しかし、こんな自然の変動は50年前にもあったわけであるが、これほどの暑さにはならなかった。だから、近年の酷暑を自然の変動だけで説明するのは無理だろう。やはり地球温暖化によってべースの気温が上昇していると考えるべきだ。

では、地球温暖化はなぜ起こるのか。「地球温暖化メカニズム」をキーワードにネットを検索すると、例えば以下のような図が出てくることが多い。これはある自治体のホームページから拝借した。

よく使われる地球温暖化メカニズムの説明図(大分県のHPより)

この図が示していることは、① 太陽の光が地球に当たると、② 地球の表面が温まり、③ 地球が温まるとその熱が赤外線となって宇宙に飛び出して、④ 地球は冷える。しかし、現在ではCO2をはじめとする温室効果ガスの層が地球を取り巻いており、この層が赤外線を反射して地球に戻してしまうから、赤外線が宇宙に逃げて行かなくなった。だから地球が温まって地球が温暖化してしまうという説明である。

しかし、このお馴染みの説明図は間違いである。この図では、赤外線を反射するCO2の層が地球の上空を取り巻いているように示してある。しかし、下の図を見てほしい。これはシベリア上空の高さ1㎞、 3㎞、 7㎞のCO2濃度を測定したものだ。

シベリア上空の二酸化炭素濃度 (国立環境研究所Webより)

CO2の濃度は季節によって周期的に増減を繰り返しながら、少しずつ増加していっているが、では高度によって濃度が違うかというと、差はほとんどないことが分かる。つまり、地球上空を取り囲んで宇宙に向かう赤外線を反射しているCO2の層などというものは存在しないということだ。

では、地球温暖化はどこで起こっているのか。実は、ここ。あなたや私の身の周り、つまり地上付近で起こっているのだ。CO2の濃度は地表でも、上空1,000mでも、 10,000mでも大きな違いはない。上空にCO2の特に濃い層ができていて、そこで赤外線を反射しているわけではない。

地球温暖化は実は、私たちを取り巻く空気の中で起こっているすこぶる身近な現象なのだ。地面に太陽光が当たると地面が熱くなる。暑くなった地面は目に見えない赤外線を出して反射する。その反射してきた赤外線を私たちの周りの空気に含まれるCO2が取り込み、それを再び熱に変えている。だから温暖化しているというわけだ。

もちろん、CO2が熱を持つとCO2自身が赤外線を出すが、温度が上がったCO2自身の熱が周りの空気に伝わって気温が高くなる効果もある。もしCO2がもっと少なければ地面から放射される赤外線はそのままスコーンと空に逃げて行く。

これはヒートアイランド現象と似ているが、ヒートアイランド現象には温室効果ガスは関与していない。それにヒートアイランドは都会だけの現象だが、地球温暖化は世界中で起こっている。

地球温暖化はどこでもない、あなたを取り囲む空気の質が変わったことが原因であって、決して上空1万mとか10万mとか、そんな我々の手の届かないはるかかなたで起こっている話ではない。私たちが生きていくのに必要不可欠なこの空気。その中に含まれるCO2が保温剤となって、熱をため込んでいる。これが世界中で起こっている。これが地球温暖化というわけだ。

例えば麻や綿のシャツは涼しい。それは人体の熱をよく通すからだが、そのシャツに化繊が織り込まれていればどうだろう。化繊は熱を蓄える。その結果、そのシャツは保温性が増して、着れば暖かい。冬はいいが、夏は暑い。

それと同じで、我々を取り巻く空気にCO2が混じることによって空気の保温性がよくなっている。つまりわれわれは全員が、強制的にCO2という保温材を着せられているようなものなのだ。

だから暑い。実際、我々の身の回りの空気の中のCO2濃度を測ってみればわかることだが、CO2濃度は年々高くなっており、だから空気の保温性が高くなって、暑くなっているという簡単な話なのだ。

地球温暖化のメカニズムは科学者達が説明すればどうしても難しい理屈になってしまうが、学者たちの言葉を翻訳すれば、

空気に含まれるCO2によって、私たちを取り巻く空気の保温力が増しているから暑くなっている

という超簡単なことなのだ。

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