石油はあと30年で枯渇するとか、あと40年で枯渇するとかいう話はずいぶん前から言われていますが、実際に枯渇したという話は聞きませんね。石油はあと30年という話は石油ショックのころですから、もうすでに枯渇していてもおかしくないはずですし、あと40年という話は2000年くらいに言われた話ですから、現在は枯渇まであと20年ということになります。でも最近は石油枯渇まであと50年とか60年とか言われてちっとも枯渇する気配は見えません。
いったいいつになったら石油は枯渇するのでしょう。多くの人が疑問に思っているのではないでようか。
結論から先に言うと、そもそも、あと〇〇年で枯渇するという数字が間違いだったのです。それは、その根拠となる数字が間違えて解釈されているから、ということなのです。
この、石油枯渇まであと〇〇年という話の根拠は、可採年数という数字からとられています。可採年数はイギリスのBP社がまとめているBP統計に示されていますが、その数字が1970年ころは30年、2000年ころは40年、最近は50年くらいになっている。つまり増えているのです。
では、この可採年数が間違っていたのでしょうか。いいえ違います。可採年数が間違っていたわけではありません。そうではなくて、可採年数というのはそもそも、石油が枯渇する年数を表しているわけではないのです。
にもかかわらず、それをマスコミや学者たちが勝手に誤解して、可採年数が〇〇年だから、あと〇〇年で石油が枯渇する!といって、騒いでいるだけなのです。意外でしょう?
可採年数というのは次の計算式で示されます。
可採年数=石油の確認埋蔵量/年間採掘量
ここで注意してほしいのは、この式の分子が「確認」埋蔵量となっていること。つまり、可採年数は、その時点で埋蔵されていることが確実となっている量を使って計算しましたということなのです。ということはまだ確認されていない埋蔵量は計算には入っていないということですよね。
ですから、新しい油田が発見され、その埋蔵量が確認されれば可採年数は増えていきます。1970年代の石油ショックのときは可採年数が30年だったわけですが、それから毎年毎年新しい油田が発見されていきました。その結果、可採年数はどんどん増えていったのです。
では、石油はいつになったら枯渇するのでしょうか。それは正確には分かりません。地球にどれだけの石油があるのか正確には分からないからです。
しかしながら、近年アメリカでシェール層といわれる地層から石油や天然ガスを採掘する方法が開発されました。シェール層の埋蔵量は膨大ですから、世界中でシェール層からの採掘が進めば可採年数はこれからもどんどん増えていくことになります。
ということで、これから100年や200年で石油が枯渇することはありません。
だからといって石油を湯水(油水?)のように使っていいということにはなりませんがね。