なぜハイオクガソリンはオクタン価が高いのか

ハイオクガソリンというのはレギュラーガソリンよりオクタン価の高いガソリンだということは説明したね。

実際にはオクタン価だけじゃなくて、蒸発性能だとか、その他のいろいろな性質が改善されていて、さらにエンジンバルブの汚れを防ぐ薬剤が添加されていたりする。いろいろと車の走りを考えて作られたガソリン※なんだけど、一番の目玉はやっぱりオクタン価が高いってことなんだね。

※この「いろいろと車の走りを考えた」ってところは、石油会社のノウハウになっていて、内容は秘密だったり、特許になっていたりする。でもオクタン価を100まで上げているというところは同じ。

ではハイオクはどうやってオクタン価を上げるのか。これについても、いろいろと誤解があるんだ。

例えば、ハイオクはレギュラーより純度を高めた(精製度を上げた)ガソリンだとか、レギュラーガソリンにオクタン価を高めるための添加剤を入れたのがハイオクだとか、あるいはガソリンに含まれるイソオクタンという物質の量が多いだとか。

でも、これは、どれも間違いです。

ネットでハイオクガソリンの作り方で検索してみたんだけど、ガソリンの一般的な作り方はヒットするけど、ハイオクの作り方でまともに答えている記事はみあたらなかったよ。

中には、灯油を蒸留して、それにFCC触媒を入れてかき混ぜ、エタノールを添加すればハイオクになるなんてめちゃくちゃな記事もあるけど。(その記事を書いた人も信じていない(笑))

では、ハイオクってどうやって作るのか。まずハイオクの作り方から説明するね。

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ハイオクガソリンはどうやって作るか

第1回目の記事で説明したように、ガソリンのオクタン価は高い方がエンジンの圧縮比を大きく設計できて性能が良くなるんだけど、実は原油から取り出したばかりのガソリン(直留ガソリン)というのはオクタン価が70くらいしかないんだ。

オクタン価70だと、エンジン設計者にとっては、ちょっと物足りない。オクタン価は低くても90くらいないと、現在のガソリンエンジンは能力を発揮しないんだ。それで、製油所ではガソリンのオクタン価を高めるためにいろいろと工夫している。

ひとつの方法は、原油から取り出したオクタン価の低いガソリンを化学反応によってオクタン価の高いガソリンに変える方法。改質反応というんだけど、日本中の製油所にはこの改質装置ってのがあって、この装置を使ってガソリンのオクタン価を高めているんだ。

改質装置によってオクタン価を高めたガソリンを改質ガソリンというんだけど、こいつはオクタン価が100以上もある。

また、多くの製油所では直留ガソリン以外に、余り気味の重油をFCC装置という装置で分解してガソリンを作っている。このガソリンを分解ガソリンというんだけど、この分解ガソリンのオクタン価は90以上。

そのほか、重合装置やアルキレーション装置では、LPGからガソリンを作っていて(それぞれ重合ガソリン、アルキレートという)いずれも、オクタン価が高い。また、石油コークスを作る装置(コーカー)からもガソリンが出てくる。

さらに、サトウキビなどから作ったエタノールや、そのエタノールから作ったETBEという物質もガソリンに入れることがあって、こいつらもオクタン価が高いんだ。

それをまとめたのが下の図だ。

製油所で作っているガソリンにはいろいろな種類があるんだね。こうやって作った、いろいろなガソリンをガソリン基材というんだけど、最終的にこの基材をブレンドしてハイオクガソリンとレギュラーガソリンが作り分けられている。

つまり、ハイオクもレギュラーも基本的に作り方は同じなんだけど、最後のブレンド工程で、オクタン価の高い基材を多く配合してオクタン価を100に調整したものがハイオク、オクタン価を90に調整したものがレギュラーというわけ。

※実際にはガソリン規格にはオクタン価だけでなく、蒸気圧や蒸留性状などさまざまな規格項目がある。ブレンド工程では、これらのすべての規格に適合するように基材の配合が決められる。

誤解4 ハイオクはレギュラーに添加剤(アンチノック剤)を入れて作られている

よくある間違いがこれ。レギュラーガソリンにオクタン価を上げる添加剤を混ぜて、ハイオクが作られると言う誤解。確かに昔は、四アルキル鉛という添加剤を入れてオクタン価を上げていたけど、今は使ってない。

この四アルキル鉛という物質は猛毒で、中毒事故がよく起こっていたんだ。ある国道沿いの住民を検査したら、髪の毛から鉛が検出されたといって問題になったこともある。(ただし、これはあとでガセだと分かったけど)

四アルキル鉛を使わなくなったのは、これとは別の理由なんだ。1970年代に大気汚染防止のため、自動車に排ガス浄化触媒を付けることになった。ところが、ガソリンに含まれる鉛がこの触媒の効果をなくしてしまうことが分かった。ガソリンに鉛が含まれるのは、もちろん四アルキル鉛を添加しているからだ。

四アルキル鉛は人にも有害だけど、触媒にも有害なんだね(触媒毒っていいます)。それで四アルキル鉛の使用が禁止されたというわけ。

今はガソリンをブレンドするときに、改質ガソリンやアルキレートなどのオクタン価の高い成分を増やすことによってオクタン価を上げている。添加剤を加えてオクタン価を上げているわけじゃないよ。

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誤解5 オクタン価を上げる改質とはイソオクタンを増やす反応である

第2回目の記事で説明した通り、ガソリンのオクタン価を測定するときに比較に使うガソリンのうち、高い方の指標になっているのがイソオクタン。低い方の指標がノルマルヘプタン。

ただし、だからと言って、改質装置ではイソオクタンの量を増やしてオクタン価を上げているわけではないんだ。

ガソリンはいろいろな分子が混ざってできている。その分子の中にはオクタン価の高いものも低いものもある。ガソリンのオクタン価を上げるには、イソオクタンを増やす必要はなくて、オクタン価の高い分子ならなんでもいいんだ。

ガソリンに含まれる分子は、その分子構造によって、パラフィン、イソパラフィン、オレフィン、ナフテン、芳香族という種類に分けられるんだけど、それぞれのオクタン価はだいたい次のようになっている。

    分子構造                        オクタン価             中央値
パラフィン                           0~ 90                45
イソパラフィン                  20~100                60
ナフテン                             40~100                70
オレフィン                         70~110                90
芳香族                               100~120              110

改質とは、これらのガソリンを構成する分子のうち、主にオクタン価の低いナフテンやパラフィンを、オクタン価の高い芳香族に変化させる反応なんだ。



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誤解6 純度の高いガソリンがハイオク、低いガソリンがレギュラー

話は飛ぶけど、精肉という言葉を知っているだろうか。肉を売っている店を精肉店といったりするよね。精肉ってのは、肉を精製するという意味だけど、肉に石や砂のような不純物が混じていて、これを取り除くっていう意味じゃない。

動物の肉をロースとかカタとかバラとか、さまざまな部位に切り分けて、スライスしたり、ミンチにしたりして食べやすいように加工することを精肉と言っている。

これと同じで、原油から石油製品を作ることを石油精製とか精油とか言うけれど、原油に含まれる不純物を取り除いたり、純度を上げたりしているわけじゃないぞ。精肉と同じように、原油をガソリンや灯油や軽油や重油に切り分け、それぞれを使いやすいように加工するのが石油精製。

だから、石油製品に純度というものはない。肉に純度がないのと同じだね。しいて言えば、石油製品の純度はすべて100%ということになる。オレンジジュース100%というのと同じ。

すでに述べたように、ハイオクとレギュラーの違いは、ブレンドする基材の配合割合が違うということで、純度や精製度というのは関係ないんだ。

(2020年6月21日)

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