一時期、自動車用のバイオ燃料なるものが話題になったことがあります。バイオエタノールとかバイオディーゼルとかいうあれです。

環境省の計画によると、すべてのガソリンに10%のバイオ燃料を混ぜるとか、その燃料に適合しない自動車は買い替えを促すとか、そんな話が新聞紙上をにぎわせたこともありました。また、北海道から沖縄に至るまで日本各地で大規模なバイオ燃料の実証実験が行われたり、コメや木材からバイオ燃料を作る計画があったりとか、いろいろと話題になりました。

でも、最近はほとんど聞かなくなりましたね。今はどうなっているのでしょう。もう自動車用バイオ燃料は終わったのでしょうか。
いえいえ、皆さんも気づかずに使っているかもしれないのです。

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1.自動車用バイオ燃料とは何か

まず、自動車用バイオ燃料とは何かを、おさらいしたいと思います。自動車用バイオ燃料には、バイオエタノール、ETBE、バイオディーゼルがあります。いずれも、原料は植物ですので燃やして出てくるCO2はもともと植物が成長するときに空気中から吸収したものですから、それを燃やし出てくる分については空気中のCO2を増やしません。プラスマイナスゼロになります。

そのためガソリンや軽油のような石油から作られたものと置き換えることによって、地球温暖化防止になるとして政府が導入を主導してきたものです。

1.1 バイオエタノール

バイオエタノールとは、いわゆるエチルアルコールあるいは単にアルコールと呼ばれるものです。お酒の成分で、酒精ともいいます。飲むと酔っぱらうあれです。バイオエタノールは揮発性があり、火を付けると爆発的に燃焼するので、ガソリンの代わりに自動車の燃料にすることができます。

バイオエタノールの原料は糖類やでんぷんですが、これはお酒と同じですね。例えばサトウキビから搾った糖蜜を原料とする場合はそのまま酵母に食べさせて酵母がその糖をエタノールにします。

でんぷんを原料とする場合は、加水分解(日本酒の場合は麹を使う)というひと手間かけて、いったん糖にしてから酵母に食べさせます。でんぷんはトウモロコシやイモ類、キャッサバなどの穀物が使われます。(日本ではコメをバイオエタノールの原料とすることが検討されました)

できたバイオエタノールは最後に蒸留や膜分離などの方法で純度を高めて燃料用のバイオエタノールが作られています。

このバイオエタノールはガソリンに混合して使われますが、混合率はブラジルでは20~25%(100%の場合もあり)、アメリカでは10%以下(一応15%まで認められている)、ヨーロッパでは5%以下、日本では3%までと決められています。

なお、このようにバイオエタノールをガソリンに混合して使用する方法を日本では直接混合方式といい、3%のバイオエタノールを混合したガソリンをE3、10%の場合はE10と言っています。

1.2 バイオエタノールをガソリンに入れて問題ないのか

バイオエタノールをガソリンに入れて問題ないのか。あるいは逆に、外国ではもっと高い濃度のバイオエタノールをガソリンに混ぜているのに、なぜ日本は3%しかダメなのかと聞かれることがあります。これは、自動車の設計をするときに、バイオエタノールをどの程度の割合で含むガソリンを使うと想定するか、によって違ってきます。

ブラジルはバイオエタノールの歴史が長いので、少しずつバイオエタノール含有量を高くしていって、高い濃度でも耐えられる車を設計していきました。これに対し、日本では、そもそもバイオエタノールを含んだガソリンを使うことを想定していませんでした。

いきなりバイオエタノール濃度の濃いガソリンを使うと、自動車の金属部品が腐食したり、ゴム材料が膨れ上がったり、排ガス浄化触媒が効かなくなったりします。これによって、大切な車が故障したり、ひどい場合は火災が発生したりすることも心配されます。

そのため、自動車工業会がガソリンに様々な濃度のエタノールを添加して実験したところ、現在の自動車でもバイオエタノール含有量が3%までなら問題ないと結論づけたわけです。

でも、日本車はブラジルでもアメリカでも走っているが、それでも問題ないじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。これは、日本から輸出する自動車は輸出先で使用する燃料に合わせて部品を変えているからです。日本と同じ仕様の自動車を輸出しているわけではありません。

1.3 ETBE

ETBEはエチル・ターシャリー・ブチルエーテルの略で、バイオエタノールにイソブテンというLPGの一種を化学的に化合させて作られます。

これも揮発性があって、火を付けると爆発的に燃焼するので、ガソリン代替燃料としてガソリンに混ぜて使うことができます。なお、イソブテンは石油が原料なので、ETBEは植物から作られたバイオエタノールと石油から作られたイソブテンのハイブリッド燃料といえるでしょう。

なぜバイオエタノールをそのまま使わないで、わざわざETBEにするかというと、ETBEはバイオエタノールより性質がガソリンに近いからです。図-1がETBEの化学構造ですが、図―2に示したガソリンの代表的な成分の一つであるイソオクタンの化学構造と非常によく似ていることが分かります。

図―1 ETBEの化学構造

図―2 イソオクタンの化学構造

一方、エタノールの化学構造を図―3に示しますが、ガソリンとは全然違いますね。

図―3 バイオエタノールの化学構造

化学構造が違うというのは、その性質も違うということを意味します。

バイオエタノールだと、エンジンを構成する金属部品を腐食させるとか、ゴム材料を膨潤させるとか、水が混ざるとバイオエタノールが水に溶けだしてしまうとか、蒸発しやすくなるとか、いろいろと不具合がでます。(特に蒸発しやすくなるという性質は意外に厄介です)

その点、ETBEは化学構造がガソリンとよく似ているので、バイオエタノールのような問題がありません。つまり自動車にやさしいのです。だから、バイオエタノールを直接ガソリンにまぜるよりETBEの方が安心なので、ヨーロッパや日本の石油業界ではバイオエタノールを直接ガソリンに混ぜたE3ではなくETBE方式を採用しています。

なお、日本ではETBEを8%までガソリンに混ぜることが認められています。

1.4 バイオディーゼル

バイオディーゼルは大豆油や菜種油、パーム油などの植物油を使った燃料で軽油の代替燃料としてディーゼルエンジンに使われます。ただ、植物油そのままだと粘度が高くて使えないので、エステル交換反応という化学反応によって植物油を脂肪酸メチルエステル(FAME)というものに変化させています。そうすると粘度が軽油に近くなるので、軽油の代替燃料として使うことができます。日本では軽油に混ぜて使う場合は、5%までと決められています。

2.日本での自動車用バイオ燃料の導入

自動車用バイオ燃料については以前から廃食用油を原料としたバイオディーゼルが日本各地でわずかながら作られてきました。しかし、日本で自動車用バイオ燃料の導入が本格的に始まったのは、2005年からです。この年に京都議定書が発効したので、これが契機になりました。

その年に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」の中で、CO2削減方法の一つとして年間50万㎘のバイオ燃料を導入することが明記されたのです。

2.1 バイオエタノール導入計画

以後、環境省や農水省、経済産業省が主体となって、日本各地でバイオエタノール燃料の実証事業が行われることになります。

2006年には環境省は自動車用バイオ燃料を「輸送用エコ燃料」と位置づけ、その普及拡大を目指しました。環境省が主導したエコ燃料利用促進会議の報告書がネット上で公開されています。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/biofuel/materials/rep_h1805/full.pdf

表―1はこの報告書に記載されたバイオエタノール導入実証試験の例です。

表―1 地域におけるバイオエタノール導入の実証事業

この表―1に掲げられたプロジェクトの他にも、さまざまなバイオエタノールプロジェクトが全国で実施されました。例えば、全国農業協同組合連合会(全農)は、新潟県でコメを原料としてバイオエタノールを製造してE3にして販売する調査事業を実施していました。

このように、日本各地でバイオエタノールを製造して、E3として販売するプロジェクトが行われましたが、しかしながら、これらのプロジェクトは現在、すべて終了し、現在は実行されていません。つまり、はっきり言ってすべて失敗しました。

なぜ失敗したかについては、最後の「おまけ」の章に書いていますので興味がありましたら読んでください。

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2.2 ETBE

ETBEについては、2005 年から経済産業省内で導入の検討が開始されました。
この検討の中で、自動車工業会と石油連盟が共同で、ETBEを混合したガソリンを使用した場合に、市販車に悪影響がないかの試験が行われました。その結果、排出ガス、蒸発ガス、低温始動性、材料への影響等について、大きな問題が無いことが確認されています。

この実験結果を踏まえて、石油連盟は2007年度からETBE混合ガソリンの販売を開始しました。当初の販売量はバイオエタノール換算で年間21万kL※でしたが、その後、販売量は年々増加していって、2017年度にはバイオエタノール換算で年間50万㎘※を達成。現在もその水準が維持されています。

※ETBEはバイオエタノールとイソブテンの化合物なので、21万kLあるいは50万kLという数字は、ETBEに含まれるバイオエタノール部分の数量を表しています。したがって、この数量の約2倍ETBEがガソリンにブレンドされています。

図―4 バイオガソリン(ETBE添加ガソリン)の販売実績

なお、日本で使用されるETBEについては、当初は全量輸入されていました。その後、国内でETBE製造設備が整備され、現在は国内生産もされています。ただし、原料のバイオエタノールはすべてブラジルからの輸入です。

(国産のバイオエタノールを使用していた時期もありましたが、上述のようにバイオエタノールプロジェクトがすべて中止されましたので、現在は輸入です)



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2.3 バイオディーゼル

バイオディーゼルについては、京都議定書目標達成計画が策定される前から、東京の染谷商店などが、地域の廃食用油を回収して製造・販売していました。また、休耕田や転作田で菜の花を栽培して、収穫されたナタネ油を食用油として利用し、その廃食用油を回収してバイオディーゼルとして利用する“菜の花プロジェクト”が全国各地で実施されていました。

そのほか、エコ燃料利用促進会議の資料には、京都市廃食用油燃料事業や、油藤商事株式会社、畠山石油有限会社の事業が挙げられています。

ただし、これらの事例はいずれも植物油を揚げ物などに使ったあとで回収し、回収油から製造するものですから回収作業に多大な労力を必要としますし、また量的にも限られることになります。

上に掲げたバイオディーゼル事業は、多くの例で現在でも継続されていますが、地域的にも量的にも限られているというのが現状です。

2.4 現状のまとめ

自動車用バイオ燃料の現状については以下のようにまとめることができると思います。

  • バイオエタノールの直接混合(E3)については、国産および輸入バイオエタノールを使った実証試験が日本各地で行われたが、現在はすべて終了している
  • ETBEについては石油業界が輸入して、あるいは輸入したバイオエタノールを原料として国内で製造し、ガソリンに混合して、エタノール換算で年間50万㎘相当を販売している
  • バイオディーゼルは廃食用油を原料として各地で製造されて、自家使用あるいは販売されているが、量的にはわずかである

つまり、現在、バイオ燃料はETBEという形でガソリンに混合されて、年間50万㎘相当が使用されているということです。ETBEを混合したガソリンには「バイオガソリン」という名前が付けられており、ENEOSやコスモのガソリンスタンドで販売されています。

ガソリンスタンドでは、バイオガソリンと表示してありますが、気づかずに使っておられる方もいらっしゃるではないでしょうか。また、石油業界はガソリンを互いに交換する習慣がありますので(ガソリンの品質はガソリンスタンドによって違う?参照)、バイオガソリンと表示してなくてもETBEを含んでいることはあります。

ただ、バイオガソリンは普通のガソリンと同じく、JISや品質確保法で決められた規格に完全に合格していますし、自動車メーカーも使用を認めていますので、ガソリンと同じように使っても、全然問題ありません。

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3.これからどうなる

では、自動車用バイオ燃料については、今後どうなるのでしょうか。

経済産業省が中心となって策定した第5次エネルギー基本計画の中から自動車用バイオ燃料に関する記述を要約すると、以下のようになります。

  • ガソリン、軽油等の石油製品のみならず、バイオ燃料、電力、天然ガス、LPガス、水素のような多様なエネルギー源が選択できる環境が整いつつある。
  • しかし、2030年においても内燃機関を搭載する自動車が一定の割合を占めると考えられることから、バイオ燃料もエネルギー源の多様化、低炭素化の有力手段の一つである。
  • 特に、国産の次世代バイオエタノールについては、近く商用化が期待されており、導入に係る優遇措置を検討する。

かいつまんで言えば、自動車のエネルギー源として電気や水素など様々なものが導入されてきているが、今後10年以内については、まだ内燃機関もかなりの割合存在する。その中で温暖化対策という観点から考えるとバイオ燃料の導入も有力な方法だよね。なかでも次世代バイオエタノールに期待したい。ということでしょう。

その状況は以下の図で示されています。

図-5 バイオ燃料の導入に係る高度化法告示の検討状況について(資源エネルギー庁)

ちなみに、次世代バイオエタノールというのは、これまでのでんぷんや糖類を原料とするのではなく、農業廃棄物(わらや茎など)や雑草、木材などを原料としてバイオエタノールを作る技術です。すでにアメリカでは実用化されていますし、日本でも開発が進められています。

世界的に見た場合、トウモロコシや糖類からのバイオエタノール製造は、農業政策として継続する必要がありますが、量的に限界があるので次世代バイオエタノールが期待されているわけです。

ただ、日本では農業廃棄物や雑草、木材などといっても、意外に思われるかもしれませんが、実はその確保がむつかしいのです。したがって、私は次世代バイオエタノールも国産にこだわることなく、アメリカから輸入してもいいかなと思います。

現在、バイオエタノールの輸入先はブラジルだけですが、アメリカからの輸入が増えれば価格的にもエネルギーセキュリティ上からも有利になるでしょう。

おまけ:バイオエタノールプロジェクトはなぜ失敗したか

2.1章で述べたように、日本国内では様々なバイオエタノールプロジェクトが行われてきましたが、いずれも失敗しています。その理由は何なのかを考えてみたいと思います。

① コストの問題

ガソリンは市場では1ℓあたり150円くらいで売られていますが、これには揮発油税や消費税などの税金が含まれていますので、税抜き価格は100円くらいです。それにガソリンスタンドまでの輸送コストや従業員の人件費などを差し引くと60円くらい。

さらにバイオエタノールの発熱量はガソリンの60%くらいしかないので、それを考慮するとバイオエタノールは1リットル当たり40円(1㎏あたり約50円)くらいで作らないとガソリンに太刀打ちできないことになります。

米国やヨーロッパでは広大な農地で機械化された農業をやって原料のコストを抑えていますし、ブラジルはそれに安い人件費が加わります。これに対して日本では狭い農地に比較的高価格の農作物を栽培しているので、バイオエタノールの原料の買い入れ価格からして欧米やブラジルに大幅に負けているのが現状です。

・農水省のプロジェクト

農水省が主導したプロジェクトは北海道のふたつのプロジェクトと新潟のひとつのプロジェクトでした。北海道のプロジェクトでは原料としてテンサイとMA米、新潟では多収穫米を使いました。

テンサイは農家が作りすぎたものを使いますが、農家の所得補償対策という面があるので、安く仕入れることができないという問題がありました。

MA米というのは日本が国際的な義務として輸入したお米です。義務として輸入したとしても、その価格は100円/kg前後ありましたから、当然原料費だけで目標をオーバーしています。

多収穫米は休耕田の活用を狙ったもので、コメの買い入れ価格を20円/kgくらいにおさえれば採算がとれるとしていました。しかし、一般食用米が170円/kgくらいですから、いくら多収穫米といっても、栽培してくれる農家があるのでしょうか。

いずれのプロジェクトも製造されたバイオエタノールの販売価格として、ガソリンの小売価格と同じ140円/ℓ程度とみて、採算計算をしていたようですが、そもそもの計画段階から甘かったんじゃあないでしょうか。

・環境省のプロジェクト

沖縄宮古島のプロジェクトについては環境省が主導しましたが、外部有識者の行政レビューで「廃止」判定が出たため、2016年に終了しています。

レビューでは、E3が補助金で1リットルあたり7円を補填しなければ一般ガソリンと同じ販売価格にならないため「商業化への道筋が見えない」と結論付けられました。

E3に含まれるバイオエタノールの含有量は3%ですから、7円という補填はバイオエタノール1ℓあたり230円の補助金ということになりますので、これでは経済性は全然ありませんね。

なお、このプロジェクトについては報告書が公開されています。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/biofuel/okinawabio/bio_hokokusyo.pdf

ただし、この報告書には肝心のバイオエタノール製造に関する部分が、コストも含めてまったく書かれていません。どういうわけでしょう。また、沖縄産のエタノールがどれだけ製造され、輸入品がどれだけ使われたのかも不思議なことに記述されていません。

あとで述べるように、ペトロブラスがブラジルから輸入してきたバイオエタノールが使われているのなら、「沖縄でやる意味がないよね」と言われるのがいやなのでしょうか。

② 蒸気圧の問題

一般には余り知られていないことですが、バイオエタノールはガソリンに混ぜると蒸気圧を大幅に上げてしまうという性質があります。蒸気圧とはガソリンの蒸発のしやすさを示す規格で、これは高すぎても低すぎてもいけないのです。

ですから、単純に普通のガソリンにバイオエタノールを加えると、蒸気圧の規格が外れて販売できなくなるという問題があります。

実は石油業界がE3ではなくてETBEを選択した理由の一つがこの蒸気圧の問題でした。
ところが、環境省や農水省のバイオエタノールプロジェクトは、バイオエタノールを作ったら、あとは市販のガソリンを買ってきて、エタノールを3%、ポチャンと入れればE3の出来上がりと安易に考えていたふしがあります。

E3の蒸気圧を抑えるには、もともと蒸気圧の低い特殊なガソリンを使う必要があるのですが、それを甘く考えていたのではないでしょうか。

新潟のプロジェクトでは仕方がないので、蒸気圧の低いガソリンをわざわざ韓国から輸入して対応しました。3%の国産バイオエタノールを作るために、97%分のガソリンを輸入するというのも変な話です。

沖縄のプロジェクトでは、沖縄県唯一の石油精製会社である南西石油が蒸気圧調整まで行ってE3を製造していたので、一応問題はありませんでした。

南西石油はこのプロジェクト開始の時期に合わせたかのように(2006年)ブラジルのペトロブラスが買収しており、かれらがE3用のガソリンを供給したのです。さすがに、バイオエタノール先進国のブラジルは蒸気圧の問題をちゃんと理解していたようです。

ところが、2015年にペトロブラスは急遽、撤退を表明し、E3用ガソリンの供給が絶たれてしまいました。結局、その翌年にこのプロジェクトは終了したというわけです。

ペトロブラスの目論見は明らかです。日本全体でE3が普及すれば、わずか3%とは言え、当時世界第二位のガソリン消費国である日本が必要とするバイオエタノールの量は莫大な量となります。その調達を一手に引き受ければ巨大なマーケットを手にすることができる。(だれかが、ペトロブラスに、そう入れ知恵したのでしょうか?)

そうでなければ、わざわざ地球の裏側まで来て、南西石油というオンボロ製油所(現在は太陽石油が所有していますが、精製設備は老朽化のため廃棄)を買い取ってまで進出する意味はなかったでしょう。(実際、ペトロブラスはブラジル産のエタノールを輸入して南西石油に受け入れています。)

ところが、日本に来てみたら沖縄産のバイオエタノールでやってくれという。しかも、日本の石油業界は環境省が提唱している直接混合方式(E3)ではなく、経済産業省や自動車業界と検討したETBE方式だという。だったら日本にいる必要はない。撤収。ということだったのではないでしょうか。

③ まとめ

コストの問題にしろ、蒸気圧の問題にしろ、その他の問題も、多くはプロジェクトを開始する前からわかっていたことばかりですから、プロジェクトを立案するときに、きちんと考慮しておけば、失敗は防げたはずです。

また、ほとんどのプロジェクトでは、製造したバイオエタノールを使ってE3にして自ら販売することまでやろうとしていたようですが、その必要があったのでしょうか。北海道のプロジェクトでやったように石油会社に売るという方法でもよかったはずでは?蒸気圧の問題もなくなるし。

エネルギーの地産地消とか、地域振興とか、美しい言葉が先行した結果、経済性や実現性を軽視したプロジェクトになってしまったのではないでしょうか。どうせ費用は国が出すんだし。自分のお金でやるなら、こんな杜撰なプロジェクトはやらなかった? だろうね。

2020年3月14日

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