「プラスチックは石油の余り物でつくられている。」これもちょくちょく聞く話です。プラスチックはナフサ※という石油の余り物で作られている。だからレジ袋などプラスチック製品を節約しても意味がない。なぜならレジ袋を節約するとナフサが余り、余ったナフサは廃棄されてしまうから、かえって環境を汚すことになる。プラスチックは究極のリサイクル製品である云々。
これも真っ赤なウソです。どうもどっかの大学の先生がマスコミで言いふらして回ったようですが、まったく根拠のない話です。
※レジ袋はよくビニール袋といわれたりしますが、実際はナフサを分解してできるエチレンを原料として作られたポリエチレン製です。
<PR>高級お米ギフトを取扱う京の米老舗 八代目儀兵衛です。
お米は料亭御用達の厳選国産ブレンド米や選りすぐりの産地銘柄米。
1.日本はナフサの大量輸入国
その証拠に、次のデータを見ていただきたい。
ナフサ国内生産量 16,935,105㎘ (「経済産業省生産動態統計」2018年度実績)
ナフサ輸入量 25,291,680㎘ (経済産業省「資源・エネルギー統計」2018年度実績)
日本はナフサを2,530万㎘輸入しており、これは国内で生産されるナフサ1,690万㎘の1.5倍にあたる。つまり、日本は国内で生産されるナフサではぜんぜん足りず、国内生産量を1.5倍も上回る大量のナフサを、わざわざお金を出して外国から買っているのです。

国産は経済産業省「資源・エネルギー統計」、輸入は財務省「貿易統計」。( )内は構成比。
また、上の図は石油化学工業会のHPに記載されている図です(統計処理の仕方によって若干の数値の違いがあります)。これを見ると国内ナフサ生産量4に対して6程度のナフサを輸入している状態が続いていることが分かります。
つまり、ナフサを大量に輸入しているのは2018年度の一時的な現象ではなく、ナフサはいつも足りないということです。これでもナフサは余り物といえるでしょうか。
いやいや、日本では余りものではないかもしれないが、日本にナフサを輸出する国があるのだから、世界的には余っているのじゃないのという反論があるかもしれません。
しかしそうではありません。世界的にみてもプラスチックはナフサだけから作られているわけではなく、天然ガスからも作られており、国内で生産されるナフサでは足りなくて、灯油や軽油まで使ってプラスチックを作っている国もあるのです。
海外でもナフサが余剰だから、余り物対策としてプラスチックを作っているわけではなく、プラスチックが欲しいから作ってる。むしろナフサだけでは足りなくて、天然ガスや灯油や軽油まで使って作られているというのが世界の実態なのです。(だから逆に問題なのですが)
ましてや、プラスチックを節約するとナフサが余り、余ったナフサは廃棄されてしまうなどという乱暴なことは、まったくあり得ない話なのです。
私も石油会社に長年勤めてきましたが、毎月、巨大なナフサ専用タンカーが製油所に来て、大量のナフサを外国から受け入れていました。
もちろんナフサが余って捨ててしまったなどということは一度もありません。第一、大量のナフサを廃棄しろと言われても、廃棄すること自体が不可能です。
よく、製油所では炎が燃えているが、あれは不要になった石油を燃やして捨てているんでしょ?と言われることがありますが、在庫処分で燃やしているわけではありません。ほかの目的があります。
(製油所で燃えている炎は余った石油を燃やしている?参照)
申し込むだけで毎月の電気料金が安くなるかも。
まずはシミュレーション↓
2.レジ袋を節約すれば原油の節約になる
レジ袋を有料化しようという話が、最近話題になっています。レジ袋が有料化されるとどうなるのでしょうか。当然、消費者はレジ袋をもらわないようになり、原料のナフサの消費量が減ってくるはずです。もし、レジ袋のようなプラスチック原料のナフサが石油の余りものなら、ナフサが余ってどうしようもなくなるということになります。
もし、ナフサが余れば輸入しなければいい
しかし、すでに述べたように、日本ではナフサが足りなくて外国から買っているのですから、ナフサが余れば輸入しなければ済むということです。なんとなれば、ナフサのオクタン価を上げてガソリンとして使う技術もすでに開発されていますし、ナフサをガス化してタービン燃料にして発電することも可能なのです。
エコバックはエコじゃない?
しかし、レジ袋を使わなくなったら、エコバッグが売れる。エコバッグはレジ袋より高級な材料が使われているので、かえってエコじゃないという人もいます。
エコバッグ1枚とレジ袋1枚を比べれば、確かにそうかもしれませんが、エコバッグを使い捨てにする人はいないでしょう。レジ袋は使い捨てにされるから問題なのです。
エコバッグを使って、レジ袋を何十枚も節約できるのなら、エコバッグの方がエコです。ちなみに私は同じエコバッグをもう20年以上使っていて、節約したレジ袋は何千枚に及ぶでしょう。
石油は連産品なのでナフサだけ節約しても意味がない?
石油は連産品なので原油を精製するとナフサだけでなく、ガソリンや軽油や重油なども同時に出来てしまう。ナフサだけを節約しても、その他の油種も同時に節約しなければ何にもならないという人もいます。これも大間違い。
確かに石油は連産品ですが、製油所には分解装置や重合装置という二次装置と呼ばれる装置群がありますので、これらの装置を稼働させてガソリンや軽油、重油などの油種の量は需要に合わせて自由に調整することができますし、実際そうしています。
(「原油から作られる石油製品の割合は決まっている? 連産品という誤解」参照)
だってそうですよね。ガソリンや軽油や重油などが一定の割合でしか製品にならないというのなら、需要に合わせて製品を作ることはできませんし、そんな産業は成り立ちません。
ですから、石油は連産品だからみんな一斉に節約しなければ意味がないということはありません。
日本のナフサ輸入量が減って、もし世界的に原料のナフサが余るのなら、他の用途に使えばいいだけのことですし、もっと余るのなら原料となる原油の採掘量を減らすことになるでしょう(それが理想ですが)。
世界的にはプラスチックの需要は伸びている
実際には世界的にプラスチックの需要は伸びていますので、プラスチック用のナフサが余るということは当面は、ないでしょう。
さらに、我が国においては、燃料油の需要がこれから下がってくることが考えられますから、ナフサだけでなく、ガソリンや灯油、重油などからプラスチックを作っていかなければならないという可能性まであるのです。(Crude to Chemicalsといいます)
このあたりの話は「石油が枯渇するとプラスチックは作れないというウソ」に書いていますので、ご参照ください。
3.なぜこんなウソが生まれたか
冒頭述べたように、レジ袋のようなプラスチックは石油の余りもので作られているというのは、まったく根拠のないウソです。
なぜ、こんなばかばかしいウソがまかり通っているのでしょうか。想像ですが、ナフサはガソリンを作るときにあまりよい材料ではないということから来ているのかもしれません。
ガソリンは原油を蒸留して作られますが、このときナフサも同時に出てきます。ナフサの一部はガソリンに混合して使われますが、オクタン価が高くないのであまりガソリンに入れられないのです。それでナフサは余りものと勘違いする人がいるのでしょう。(ナフサのオクタン価は70くらい。レギュラーガソリンのオクタン価は90以上)
しかし、実はプラスチックの原料としてはむしろオクタン価は低い方が好ましいのです。確かにナフサはオクタン価が低いのでガソリンとしては不向きですが、プラスチック原料としては優れた原料なのです。
ちなみに、原油を蒸留するとナフサやガソリンのほかに灯油や軽油、重油などが出てきますが、どれが品質が良くてどれが品質が悪いということはありません。
ナフサはプラスチック原料として優れていますし、ガソリンはガソリンエンジン用として、灯油はススが出にくく室内で燃やしても清潔ですし、軽油はディーゼルエンジン用燃料として優れています。余りものと思われがちな重油も、ガソリンや灯油のように火災の心配が少なく安全に取り扱えるという利点がありますし、燃やしたときに大きなエネルギーが得られます。
このように、石油製品に余り物はなく、その特性に合わせて適材適所で使われているのです。
ちょっと余談ですが、会社で評価の低い人を追い出し部屋に押し込めたり、研修と称して反省しろなどと迫ったりするパワハラが問題になっています。
評価が低いのは、その人の特性にあった仕事を与えていない会社側の問題でしょう。ナフサがガソリンに不適ならプラスチックの原料にすれば利用価値があります。それと同じで、その人の特性にあった仕事の与え方をすれば、思わぬ能力を発揮することがあります。
ナフサが余りものでないように、人間にも余りものはない。みんな違ってみんないい。
2019年10月12日
【関連記事】
石油の歴史は余り物有効利用の歴史 レジ袋が余り物で作られているって?とんでもない
石油が枯渇するとプラスチックは作れないというウソ
製油所で燃えている炎は余った石油を燃やしている?
原油から作られる石油製品の割合は決まっている? 連産品という誤解
日本はレジ袋の原料を韓国から大量に輸入している
レジ袋は、ゴミ袋などにも利用価値が高い。
コンビニでは、店員が袋詰しないようになり、買い手本人で詰めるようになったため、レジ時間が長くなった。
一旦生活を便利にした物を政治がなくすには、もっと議論が必要、明白。
貴重なご意見として拝読させて頂きました。
但し、残念ながら、「レジ袋の削減は意味ない(地球環境の保護目的では)」と考えている私にとって、考えを変えるに至る情報は得られませんでした。
この文面で指摘されている(と思われる)先生については、私も動画やネットニュースでご意見を何度か知る機会がありました。その先生のご意見に反論が色々あるように感じましたが、結果として、その先生のご意見に、より多くの説得力を感じました。
先生のご意見は、要するに、「日本でレジ袋を削減しても、少なくとも、温暖化対策には意味がない」と言う点ではないですか?(燃やす、燃やさないではないですよ)
私個人として、浪費を避けるとの価値観は持ちますが、人類の活動が仮に温暖化という問題を引き起こしているのならば、中国・アメリカの対策抜きに、日本のレジ袋など枝葉末節で何の効果も無い、と考えています。
仮に温暖化が人類に起因するならば、それは、1950年代以降の人口爆発が要因と考えます。
だから、何もしなくとも良いと言いたいのではなく、真実の要因に対し適切な対策をとらなければ、意味が無いという事です。
少なくとも、日本のレジ袋で無いことは確実でしょう。
日本で効率的にレジ袋を生産していた分のナフサは、中国(もしくは他国)で別の石油製品として使われるだけで、この文面でも指摘はされていますが、使用量総数を削減しない限り、温暖化対策としては何の効果も無いでしょう。よって、「燃やされるだけ」とは、必ずしも、本当に燃やされることを指した表現ではなかったと、私は理解しています。
余れば、本当に燃やされるのではと思いますが。
通説のウソをあばく、と大きく掲げるからには、もっと本質に踏み込んだ見解、もしくは、読み手を納得させるだけの内容を求めたいと思います。
「意見」さん、「金子」さん 貴重なご意見ありがとうございます。
私がこの記事を書いたのは約1年前ですが、レジ袋有料化に伴って読んでくれる人が増えているようです。大変ありがたいと思います。
私が子供のころ、まだ現在のようなプラスチックという物はありませんでした(セルロイドやベークライトはありましたが)。もちろんレジ袋というものもありません。店で品物を買うと、紙の袋や新聞紙、薄い木などに包んでくれて、買い物かごに入れて持って帰りました。
といっても昔はよかったと言っているわけではありません。むしろ逆です。プラスチックが世の中に広まってきて、私はこんなに清潔で、綺麗で、丈夫で、便利なものがあるのだろうかと思いました。私が大学で化学を専攻したのも、プラスチックを作り出す化学というものに大変興味を持ったからです。
その後、石油会社に入社し、製油所に勤務をしていたとき、毎月毎月巨大なナフサ専用タンカーが桟橋に横付けされ、大量のナフサが輸入され、化学工場に送られていました。そのナフサがプラスチックになって、人々の生活を支える。このことを大変誇りに思っていました。
そのころからだと思いますが、大量生産、大量消費が始まり、「大きいことはいいことだ」とか、「消費は美徳だ」という考えが広まって行きました。
しかしながら、そのプラスチックが大量に廃棄され、ごみとなり、川や海に浮遊物として流れている。単に見た目が悪いということだけでなく、小さく砕けてマイクロプラスチックとなって、生態系に悪影響を及ぼしています。私が子供のころあこがれた、あのプラスチックが今やすっかり悪役になってしまっているのです。
もちろん、ごみとなって環境を汚しているのはプラスチックのごく一部にすぎません。プラスチック自体は大変便利で、有用なもので、私たちの生活を支えていることは、今でも変わりません。
ではどうすればいいのか。それはプラスチックを使い捨てにするのではなく、もっと大事に使うことだと思います。「意見」さんがおっしゃるように、レジ袋をそのまま捨てるのではなく、ゴミ袋として使うのもいいでしょうし、なんども繰り返して使うのもいいでしょう。
もちろん、レジ袋だけでプラスチックごみ問題が解決するわけではありません。金子さんがおっしゃるように、地球温暖化防止には程遠いかもしれません。使い慣れた物を法律で制限するにはまだまだ議論が足りなかったかもしれません。
しかしながら、小さな一歩かもしれませんが、レジ袋からやるというのは、私は意義があると思います。
通説のウソをあばくというタイトルは確かに過激かもしれません。(いまブログのリニューアルを検討中です)
ただ、少なくとも、プラスチックの原料となるナフサは余り物ではありません。もともとガソリンだった部分を分離してナフサにしているのです。ですから、プラスチックを節約してナフサが余ればガソリンに混ぜ戻せばいいわけですし、余ったナフサを消費するためにわざわざレジ袋を作っているわけでもありません。むしろプラスチックを作り過ぎてナフサが足りないのが日本の状況なのです。私が石油会社に入社したときからそうでした。
(こんなことは石油精製業界では常識ですが、プラスチックを製造する化学業界ではナフサは余り物だと誤解されているようです。)
このあたりの話は「石油の歴史は余り物有効利用の歴史 レジ袋が余り物で作られているって?とんでもない」に書いていますので、読んでみてください。(ちょっと長いので 「ナフサの誕生とその下積み時代」の章あたりから)
お二人からは貴重なご意見をいただきました。たいへんありがとうございました。
環境破壊に関する議論は、何回もされているけれど20年前の地球サミットでも明確な解決策が、出なかった。これは、致命的な問題だな。だから、積極的に議論をしたり、 各自治体や県ごとに、環境保全活動を呼びかければいいと思う。
記事を読んでいただき、また、コメントありがとうございます。
7月から、レジ袋の有料化が行われました。環境破壊を防止するための第一歩だと評価する人たちがいる反面、いろいろと理屈をつけて文句を言う人がいるようです。
それだけ、プラスチックが人々の生活にしみ込んでいるのだと思います。プラスチックは便利な道具で、それを否定するつもりはもちろんありませんが、使い方を間違えると結局、自分たちの環境を破壊してしまうことにつながります。
今回のレジ袋有料化が、おっしゃるように環境保全活動につながって行けばいいと思います。
年間石油使用量の0.05%でしかないレジ袋を削減して石油の節約になるとか本気で言ってるんなら1度カウンセリングを受けた方が良いよ。余ったナフサは輸出してるでしょ!
記事を読んでいただきありがとうございます。
また、返事が大変遅くなってすみません。ちょっとカウンセリングを受けていたものですから(笑)。
記事にも書いているように、日本は原料のナフサを輸入しているポジションにありますから、0.05%でも需要がなくなれば、その分、輸入が減ります。そうしなければ、タンクからあふれることになります。
巷間言われているように、余ったナフサを捨てるなんてことはもちろんなく、当然、ナフサが余れば輸入を減らして節約することになります。ましてや余ったナフサを輸出するなんてことはありえません。
ちなみに、日本が年間輸入する原油は1億7,550万キロリットルあり(2019年)、その0.05%は8万8,000キロリットル。ナフサ価格を1キロリットル6万円として約53億円になります。0.05%とはいえ、需要がなくなれば輸入を減らすのは当然で、0.05%だから節約にならないということはありません。
レジ袋はとにかく便利なものです。有料化後も私はガンガンに使用しています。こちらのブログには「余り物ではない」と書かれていますが、やはり余り物です。日本では余り物を輸入で捕捉するほど、いろいろな製品に加工し、大変有効利用していたのです。「ガス化して…」「ガソリンに混ぜて…」「プラスチック」というのは今の技術ではとても無理です。現状では使い道がなく、廃棄せざるをえない部分なのです(代替案を述べるならそれらの新技術が確立されてからです)。
私は以前どおり、便利に使うのが環境によい、と思っています。レジ袋でいくつかにまとめて45Lゴミ袋(この袋も現状で日本中にありますよね)に入れます。出先や職場でバラバラになった不要なものをレジ袋でまとめます。そして捨てるべき場所に置きます。
問題は人間が管理できない領域に流出してしまうことですから、人間はもっと徹底的にレジ袋が不法に廃棄されないように管理をやりきることに力をいれるべき、と思っています。「火事になるから火の使用は禁止」、ではなく。
Igorさん記事を読んでいただき、また貴重なご意見ありがとうございます。
>レジ袋はとにかく便利なものです
→まったく同意見です。レジ袋は便利なものです。私もそう思います。
ただ、その原料のナフサは海外からちゃんとお金を払って輸入しているという事実があります。(経済産業省の統計で示されています)お金を払って買ってきている以上、ナフサは製品であって余り物ではありません。
Igorさんのご意見をヒントにして、「日本はレジ袋の原料を韓国から大量に輸入している」と言う記事を書きました。よければ読んでみて下さい。結論から言えば、日本が輸入しているナフサは、主に中東のいわゆる輸出型製油所からのものです。かれらは、日本や欧州に輸出するためにナフサを作っており、自国のガソリンや軽油の余り物としてナフサを輸出しているわけではありません。外貨を稼ぐためにナフサを輸出しているのです。
>「ガス化して…」「ガソリンwぜて…」「プラスチック」というのは今の技術ではとても無理です。現状では使い道がなく、廃棄せざるをえない部分なのです(代替案を述べるならそれらの新技術が確立されてからです)。
→ナフサのガス化はもう何十年も前から行われている確立した技術です。ガソリンに混ぜることもずいぶん昔からやっています。Igorさんが使われているプラスチックのほとんどはナフサから作られているのをご存じありませんか?
なお、強く言いますが、ナフサは危険物です。廃棄することは絶対にありません。
>人間はもっと徹底的にレジ袋が不法に廃棄されないように管理をやりきることに力をいれるべき、と思っています。
→正にそのとおりです。私がレジ袋は余り物から作られているわけではないという意味はそういうことです。大事な資源で作られているのですから、粗末にせずにきちんと管理しようということです。
大量に輸入している=>余り物でない、とは言えません。世界で余っているナフサを日本が有効利用する方法を見出してきた、ということです。また、ナフサを燃料化するお話ですが、これも一部の専門業者が利用しているにすぎず、また、生産されてきたナフサのうちこれもまた一部しか燃料化できないので、これは実用化できている、とは言えません。これまでレジ袋やごみ袋、その他プラスチック製品として利用してきたすべてのナフサをそうした利用への転化は難しいと思います。つまり、これまでレジ袋に利用されてきたナフサの大部分は用途を失ってしまうのです。
Igorさん 再びコメントありがとうございます。コメントは(誹謗中傷でない限り)いつでも歓迎です。
>世界で余っているナフサを日本が有効利用する方法を見出してきた
→日本はナフサを主に中東や韓国から輸入していますが、これらの国々は輸出型製油所といって、輸出することを目的に石油を精製しています。日本がナフサを買ってくれるから輸出用にナフサを製造しているのです。余ったから輸出しているわけではありません。
そもそもレジ袋はポリエチレンから作られていますが、これは日本で開発されたわけではなく、ドイツで発明されました。日本の化学会社がポリエチレンの製造設備を作り過ぎたので、販売量を増やすためにレジ袋の使用を促進し、その結果ナフサが足りなくなって輸入をしているのです。あくまでも化学会社側の都合です。
>ナフサを燃料化するお話ですが、これも一部の専門業者が利用しているにすぎず、また、生産されてきたナフサのうちこれもまた一部しか燃料化できないので、これは実用化できている、とは言えません。
→これはひょっとすると、廃プラスチックの燃料化の話をされているのではないでしょうか。ナフサはもともとガソリンから分離されたもので、余ればガソリンに混ぜ戻すことができます。特に燃料化などする必要はありません。(石油精製をすると必ずナフサができて余剰になると言う人がいますが、それは間違いです)
このあたりの話は、
「石油の歴史は余り物有効利用の歴史 レジ袋が余り物で作られているって?とんでもない」
「日本はレジ袋の原料を韓国から大量に輸入している」
に書いていますので、是非読んでください。【関連記事】からアクセスできます。
それでも、お前はウソをついている、信用できないとおっしゃるのなら、議論のしようがありませんけどね。
真実を知りたいのですが、ネット検索をすると以下のものが見つかりました。
コメントをお願いします。
地球温暖化対策という名の暴力(中編)から
ではレジ袋は何で作られているのか?
レジ袋は【ナフサ】という石油から作られており、その【ナフサ】
の中の【オレフィン系製品(軽質ナフサ)】というもので作られて
いる・・そもそもこの【ナフサ】とは何か?
石油を精製すると、多い順に、【重油】、【ガソリン】、【軽油】、
【灯油】、【石油ガス(プロパンガス)】、【ナフサ】となります。
で、この【ナフサ】は全体の約7%と言われており、石油精製の
課程においてできてしまう余り物で、最初は何にも使えなかった
ものを、今や技術革新で【ナフサ】の60%位はプラスチック、
20%位は合成ゴムや合成繊維、残りの20%がレジ袋になっている。
こんな全体の石油消費量から見たら7%の中のさらに20%の部分の
極微量の部分を躍起になっているという薄気味悪さ・・(笑)
まあ、100歩譲って、この極微量な部分の石油をレジ袋に使う
のをやめたとしよう。
すると代わりに使うものは?>そう【マイバッグ】。
この【マイバッグ】何で出来ているのか?
伸び縮みのしない【綿100%】のものをちゃんと使っていますか?
でも、【綿100%】のものは伸び縮みしないので、買った物が
つぶれてしまったりするので、使い物にならないんですよね。
で、【綿100%】のものでなければ、柔軟性のある伸び縮みする
合成繊維で出来ている【マイバッグ】のはずです。(゚-゚)b
しかし、この伸び縮みする【マイバッグ】は、なんと【ナフサ】
から作られ、しかも【ナフサ】の中の【芳香族系のBTX製品
(重質ナフサ)】と言って、【マイバッグ】などに使わなくとも、
洋服を中心に使われたくさんの需要のある【ナフサ】からわざわざ
作られる訳です・・。
で、レジ袋は【ナフサ】の中の【オレフィン系製品(軽質ナフサ)】
を使うのですが、ほぼレジ袋にしか使わなかった【軽質ナフサ】を
使うのをやめ、洋服を中心に使われ、たくさんの需要のある
【重質ナフサ】を余計に使う・・。
これのどこが【エコ】なんですか?(・。・?
さらに、ほぼレジ袋にしか使わなかった【軽質ナフサ】・・
レジ袋製作する事をやめて余らせても、石油の精製時に必ず
出来てしまう【軽質ナフサ】・・では、レジ袋製作に使わなく
なったらどうなるのでしょう?
海に流しますか?>海が汚れちゃいますね!
じゃ、地中に埋めますか?>土壌汚染になっちゃいますね!
・・と、どちらも環境が汚染されてしまいます。
じゃ、昔みたいに燃やそうか!>ダメダメ!CO2出しまくりです!
じゃあ、どうしましょ?>そ・・また別な用途に使われるしか道が
ないのです・・という事は【マイバッグ】を作る分、石油も余計に
使われ、CO2も余計に出している事に気付きませんか?(笑)
さらに、買い物で荷物を運ぶという役目を終えたレジ袋は、家に
帰れば、今度は小さなゴミ袋として使用する事ができます。
しかし、ここで国、市町村を挙げてさらに天下り先を潤わせる為に、
【そのままでは回収しない!指定の大きなゴミ袋に入れろ!】
という策に出る・・これはきちんとこの先に待ちかまえる【ゴミ有料化】
をスムーズに導入するために行われている訳で、今のうちに
【指定ゴミ袋を買う】
という事を平民に躾けないといけません。
と、躾ができるのと同時に指定ゴミ袋関連の天下り先が潤い、
一石二鳥だという事がきちんと背景にある。
すると、なんという事でしょう!(ビフォーアフター調で(笑))
指定ゴミ袋を買うのだから、次第にレジ袋は、
【ゴミ袋の二重梱包になっている、石油という資源の無駄遣いだ】
という方向へ意図的に舵をきり始め【レジ袋追放運動】が広がって
ゆくじゃありませんか・・(笑)
で、企業側は、今までお金を払って仕入れていたレジ袋を廃止でき、
欲しかったら、有料で1枚5円とかで売ってやるよ!という上からの
態度で儲ける事ができて、さらにマイバックや家庭用の指定ゴミ袋
を売って儲けられるというどう転んでもウホウホ状態になり笑いが
止まらないのですから、【レジ袋追放運動】に躍起になるのは当然で、
【レジ袋を追放し、マイバックを持ち歩いて買い物をしよう】
とマスコミや環境団体、その他、世論に簡単に流される人間を
巻き込み、まるで宗教?のように大合唱を始める・・(-_-;)
企業側は、経費節減になり売上が上がるという一石二鳥なのと
同時に【エコ】を冠にする事で、企業のイメージアップになり、
それにより、【エコ】とは関係ない部分でも売上が上がったり、
世間の評判も上がるから、どっちに転んでも喜んでPRする。
でも消費者というか国民は、先にも書きましたが、そもそもの原点、
【レジ袋を全廃するとなぜ環境に良いのですか?】
が誰もわかっていない・・という本末転倒のエコ運動・・(笑)
真実を知りたいさん 記事を読んでいただき、またコメントもいただきありがとうございます。
ネット検索から引用された記事ですが、ポリ袋を使うか使わないか、マイバッグがどうのこうのというのはこの人の意見ですから、特にとやかく言う気はありません。
ただ、事実誤認が二つほどあると思います。
まず、ポリ袋の原料となるナフサは石油精製の課程においてできてしまう余り物で、最初は何にも使えなかったということは事実ではありません。第二次大戦後、ガソリンのオクタン価を上げるためにガソリンを軽質ガソリンと重質ガソリンに分け、それぞれスイートニング、リフォーミングという操作を行い、最後にまた混ぜ合わせてオクタン価の高いガソリンを作るようになりました。このうち軽質ガソリンを日本ではナフサと呼んで石化用として使っているわけです。ナフサは使い道がないわけではなく、そもそもガソリンの一部だったのです。(「石油の歴史は余り物有効利用の歴史」に詳しく書いています)
もうひとつは、レジ袋製作に使わなくなったらナフサは海や地中に捨ててしまうか燃やすという話ですが、そんなことは常識外れもいいとこです。ナフサはガソリンですので、消防法にいう危険物です。そんな危険なものを捨てることはできませんし、燃やすとしても何万トンものナフサを燃やす施設は製油所にはありません。(「製油所で燃えている炎は余剰になった石油を燃やしている?」参照)
本文にも書いていますが、ナフサは足りなくて、主に海外の輸出型製油所から大量に輸入されているという事実があります。(これは貿易統計を見れば明らかです)ポリ袋を節約してナフサが余れば、輸入しなければいいし、さらに余ればガソリンに戻せばいいのです。余ったナフサを捨ててしまうからポリ袋を節約しても意味がないという、間違った前提で議論をされているように思えます。
一番の問題は、石油製品は決められた割合しかできないという誤解が世間に広まっていることでしよう。だからこんな議論が出てくるのです。石油製品は需要に合わせてかなり自由に割合を変更することができます。(「原油から作られる石油製品の割合は決まっている? 連産品という誤解」に詳しく書いています)
石油精製業は、典型的な薄利多売産業です。ですから、せっかく輸入した原油やナフサを捨てるなんてとんでもないことです。石油精製は線形計画法という数学モデルを駆使して綿密に生産計画が立てられていて、1滴の無駄もでないようにしています。