読むだけでスラスラわかる高校化学基礎 (2)原子と原子量

原子

物質を研究するのが化学です。だから物質についていろんな研究が行われてきた。
例えば、物質をどんどん切り刻んで、小さくしていったらどうなるか。どうなると思う?

例えば鉄Feのカタマリがあるとする。鉄は知っているとおり、銀白色のつやつやした重いカタマリ。それをバーナーかなんかを使って二つに分けたらどうなるか。二つに分けても、どちらも鉄のカタマリだよね。

では三つに分けたら鉄はどうなる? 三つに分けてもやっぱり鉄は鉄だ。では100に分けたら。でも鉄だよね。小さく切り分けたからと言って、突然、鉄がプラスチックに変わったり、パンに変わったりはしない。1000に分けても、10,000に分けても、更にもっともっと小さくなるまで分けると、鉄の粉、いわゆる鉄粉というものになるけど、その材質はやっぱり鉄だ。

では、さらに、どんどん小さく分けていっても、いつまでもやっぱり鉄は鉄なのか。いやいや、いつかはこれ以上分けられない、限界の大きさというのがあるはずだ。
と古くから考えられてきた。

特に有名なのが、古代ギリシャ時代の哲学者、デモクリトスだ。デモクリトスはこの物質の最小単位をアトモンと名付けた。このアトモンが英語のアトムになって、日本語では「原子」と訳されている。

デモクリトス

つまり、物質の最小単位が原子というもので、あらゆる物質は全て原子という小さな粒がが集まってできているんだ。

ちなみに、デモクリトスの原子という考え方は、あまりにも現実的過ぎて、評判が悪く、当時の大哲学者だったプラトンはデモクリトスが書いた書物を焼き捨てたと言われている。

元素と原子はどう違うのか

ときどき元素と原子の違いが分からないという話を聞くことがあるけど、もともと全く違った考え方なんだ。どっちも物質は何かという根源的な考え方なんだけどね。

元素とは物質の元となる物質の種類のこと。この世の中のあらゆる物質は元素が組み合わされてできているんだ。

一方、原子とは、物質をこれ以上分割できないまで分割したもの。すべての物質は原子という小さい粒が集まってできている。つまり、物質の最小単位なんだ。つまり、

元素とは 物質の素となるものの種類
原子とは 物質の素となるものの一個一個

と考えたらいいじゃないかい。

実は、元素も原子もどちらも、考え方は古代ギリシャ時代から始まっているんだけれど、対立した考え方だった。デモクリトスは物質は原子という小さな粒からできていると考え、物質の種類だけ原子の種類もあると考えていた。一方、プラトンやアリストテレスは全ての物質は4種類の元素の組み合わせでできていると考えていたんだ。

現在はどちらも、考え方としては認められている。ただし物質の元となる元素は4種類ではなくて90種類くらいある。また、原子の種類も物質の種類だけあるわけではなく、元素1種類に対して原子も1種類あるから、原子の種類も90種類くらいある。

つまり、物質は原子と呼ばれる小さな粒からできているが、その原子の種類は90種類あって、それぞれの種類が元素だ と考えてもいい。

原子の大きさと重さ、原子量

元素をどんどん小さくして行ったら原子になると言ったけど、ではどのくらいまで小さくしたら原子になるのだろうか。答えは「超小さい」。

原子の大きさはその元素によって違うんだけど、大体 Å(オングストローム)という単位が使われる。1Å は10-10m。つまり0.000…01m。小数点以下に0が9個くっつくくらい小さい。一番小さい水素原子で直径が1Åくらい。アルミニウムAlで3Åくらいなんだ。

でも、化学では原子の大きさはあまり重要じゃない。重要なのは重さだ。原子1個の重さはどのくらいかというと、これもとっても小さくて、水素H原子の場合0.167×10-23g。炭素C原子では1.993×10-23gしかない。

ただし、実際にこんな10のマイナス何乗というような、小さな重さをグラム単位で使うと不便でしようがないよね。

それで、原子の重さとして原子量という考え方を使うんだ。これは原子の中で1番軽い水素H原子1個の重さを1として、他の原子の重さを水素の何倍あるかという風に表すもの。

つまり、水素原子1個を0.167×10-23gというようなややこしい数字を使うのではなく、1gと考え、水素を1gとすれば、他の原子は何gかと考えるようなものだ。つまり、原子量というのは原子の世界における重さの単位と思えばいい。

ただし、原子量はgやkgやその他の単位は付けない。単位を付けずに表すんだ。(このように単位のない数値を無次元数といいます)だから分かりにくいのかもしれないけど、原子量は重さのことだと覚えればいい。

例えば酸素Oは水素の16.0倍の重さがあるので、原子量は16.0 。アルミニウムAlは水素の26.98倍の重さがあるので原子量は26.98、ウラニウムUは水素の238.0 倍の重さがあるので、原子量は238.0という具合だ。

(注記)原子量については、最初は水素Hを1として原子量を決めましたが、そのあと炭素Cの原子量を12として決めることになりました。だから水素の原子量は1.00000ではなくて1.00798という半端な数字となっています。

2021年6月24日

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