最近、酵素サプリとか酵素ドリンクなるものの広告をよく見かけるようになりました。どんなことに効くのでしょうか。本当に効くのでしょうか。
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まずはシミュレーション↓
酵素は何に効くの?
酵素が何に効くのか広告では判然としませんよね。キャッチフレーズでは「朝起きたらすっきり」とか、「ぽっこりお腹の人におすすめ」とか、「こんなに違うなんて!」(何がちがうの)とか、はっきりとは書いてはいませんが、なんとなく効果があるようなイメージを謳っています。
あるいは、「酵素ドリンクを毎日飲んでいるタレントの○○さんがダイエットに成功」とは書かれていますが、酵素ドリンクを飲んでいる「から」ダイエットに成功したとは書いていませんよね。
はっきり言います、酵素を飲んでも何の効果もありません。少しでも本格的に化学の勉強をした人なら、酵素を飲んで体にいいという人は一人もいないでしょう。(少しだけ例外があります。そのことについては、あとで取り上げます)
酵素とは何?
よく広告で酵素という言葉を聞きますが、酵素とは何者なのでしょうか。栄養素の一種だと誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが、栄養素ではありません。
Wikipedia( https://ja.wikipedia.org/wiki/酵素 )によると、「生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である」と書かれています。
ちょっとわかりづらいですね。もう少しわかりやすく説明しましょう。
私たちの身体は、よく工場に例えられます。例えば自動車工場では、外部から受け入れた鉄板を切ったり、曲げたりして車体やシャーシを作り、これを組み立てて自動車の形にします。
私たちの身体もこれと同じで、体に取り入れた食品は、分子レベルで切ったり、修正したり、またくっつけたりして、筋肉や血や皮膚やその他の組織を作っています。また、食品を分解してそれをエネルギー源にしたりしています。その働きをするのが酵素です。
私たちが食べた食品が自動車工場でいえば鉄板やタイヤやガラスや電線などの材料に相当するわけで、これが栄養素といわれるものです。
では、酵素は何かというと、工作機械に例えられます。酵素の働きによって、栄養素を分解したり、加工したり、くっつけたりして、栄養素が身体にとって必要な物質に転換されていきます。
つまり私たちの身体を工場に例えると 栄養素は部品、酵素は工作機械 に相当するわけです。
ですから、酵素は私たちの身体のなかで、栄養素を分解して、それを身体に必要な物質に組み立て直すという大変重要な働きをしています。酵素は生命活動の源と言ってもいいかもしれません。それほど大切なものです。
こう説明すると、やっぱり酵素は大切なものなのだ、不足するなら補わなきゃと考えますよね。酵素サプリや酵素ドリンクの広告にはだいたいそんな風に書いてあります。
でも不足するからサプリやドリンクで補うというほど、酵素は単純な話ではないのです。
酵素は数千種類もある
まず、酵素の種類は何千種類もあります。工場の中には様々な種類の工作機械があるように、体の中にも様々な種類の酵素があります。そして、酵素は種類によって働きがそれぞれ違い、一つの酵素は一つの働きしかしません。しかも酵素によってはまったく反対の働きをするものもあります。
例えば、ある酵素がタンパク質を合成すると、またある酵素はタンパク質を分解するというふうに反対の働きをする場合があります。ある工作機械がねじを締め付けるものだとすると、ほかの工作機械はねじを緩めるものだという具合です。
ですから、酵素なら何でもいいというわけではありません。何千種類もある酵素のうち、こういう酵素だから、こういう風に身体にいいのだという説明が必要なのですが、どんな酵素サプリや酵素ドリンクの広告を見ても、そんなことは書いてありません。ただ、酵素だから体にいいという具合にしか書いてないのです。
中には酵素がたっぷり含まれている方がいい、なんて広告もありますが、何の酵素かわからないものがたっぷりあっても何の意味もありません。
先日、カリフォルニア大学の分子生物学の教授とお話をする機会がありました。そのとき、日本では酵素サプリというものが流行っているんですよとお話しすると、教授は「何の酵素ですか」と聞かれました。
そうなんです、何の酵素ですかと聞くのが当然なんです。酵素には何千種類もあって、それぞれ働きが違うわけですから。
いやいや、何の酵素かの表示もなくて売られているんですよと答えたら、理解できないと言われました。
また、酵母を使って発酵させて作った酵素です。なんて宣伝文句もありますが、まったく意味不明。単に酵素と酵母の語呂が似ているので、適当に宣伝文句に使ったのでしょうが、笑っちゃいます。
酵素は飲んでも分解されるだけ
多くの酵素サプリや酵素ドリンクは野菜や果物から作ったと説明してあります。確かに植物だって生き物ですから酵素を持っていますから、野菜や果実も酵素が含まれていないとは言えません。
ちょっと冗談ですが、植物酵素を飲んで、お尻から根っこが生えてきたらどうするのでしょう。実はそうならないシステムが人の身体にはあります。
口から入ってきたほかの生き物の酵素は胃の中で分解されてしまうのです。もし、植物の酵素が身体の中に入ってきて、勝手な活動をし始めたら大変なことになってしまうからです。
酵素はタンパク質の一種ですから、人間の胃の中に入るとほかの動物や魚の肉と同じように、人間の身体は「これは食べ物だ」と思って、栄養源として消化してしまいます。
これは、テレビ工場の工作機械を自動車工場に持ち込んだようなものです。テレビ工場の工作機械はばらばらに分解され、ねじはねじとして、金属部分はドロドロに溶かされて自動車の部品として成型されてしまい、もとの工作機械の姿は全くなくなります。
自動車工場でテレビが作られてしまうということはないように、植物から取られた酵素が人間に効くことは(ごく一部の例外を除いて)ないのです。
つまり、植物やその他の生き物の酵素を食べても胃の中で分解されるだけ。おかげで、お尻から根っこや指から葉っぱが生えてくるということはありません。酵素の働きはまったく失われてしまします。
役に立つ酵素もある
酵素は食べても役に立たないと、ここまで書いてきましたが、役に立つ酵素もあることを最後に述べておきます。
アミラーゼという酵素は、私たちの唾液の中に含まれている酵素で、炭水化物を消化する働きがあり、ジアスターゼという名称で商品化されています。アミラーゼも最終的には胃の中で分解されるのですが、分解される前に食べた食品を分解する作用をします。
また、アミラーゼはお酒や味噌を作るときに使う麹(こうじ)や大根の中に含まれています。麹は甘酒を作るときに使われますが、甘酒が砂糖を加えてないのに甘いのは、原料の米がアミラーゼによって分解されて糖になっているからです。また、大根おろしは消化を助けると言われています。
ちょっと余談ですが、日本人の唾液には欧米人よりアミラーゼの量が多いのだそうです。また、メカニズムは不明ですが、アミラーゼが多い方が明らかに肥満になりにくいとも言われています。
もうひとつ、ナットウキナーゼという酵素は納豆に含まれる酵素です。この酵素は血栓溶解能、つまり血液さらさらにする効果があり、この効果は口から食べても維持されることが証明されています。
(例えば岡山大学生体制御科学のサイトをご覧ください)
ただし、ここで取り上げたアミラーゼもナットウキナーゼもちゃんと酵素の名前を表示し、どのような作用があるか、胃の中で分解されないかが明確になった酵素です。
結論
酵素といっても数千種類もありますが、そのほとんどは食べても胃の中で消化されてしまい、その機能はなくなります。逆に消化されないで、人体内で勝手に働き始めると非常に危険です。
ただ、一部の酵素には口から食べても効果のあるものもあります。この場合は、種類や効き目が限られます。
酵素サプリや酵素ドリンクなどで、効果を謳うなら、少なくとも含まれる酵素の名称くらい示しておくべきです。酵素は数千種類もあって、それぞれ働きが違うし、まったく逆の働きをするものもあるのですからです。
単に酵素が含まれているから体にいいとか、ダイエットに効くなんて乱暴すぎでしょう。
といっても実際には、どうせ胃の中で分解されて、跡形もなくなってしまうのでどうでもいいですがね。
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