燃料を入れ間違えたらどうなるか ガソリン、灯油、軽油を入れ間違えたら?

目次

燃料を間違えるとなぜ問題なのか
燃焼の仕組み
(1)ガソリンエンジン
(2)ディーゼルエンジン
(3)石油ストーブ

燃料を間違えたらどうなるか
(1)ガソリン車に軽油を入れた場合
(2)ディーゼル車にガソリンを入れた場合
(3)ディーゼル車に灯油を入れた場合
(4)ディーゼル車に重油を入れた場合
(5)石油ストーブにガソリンを入れた場合
(6)石油ストーブに軽油を入れた場合
(7)ハイオク車にレギュラーガソリンを入れた場合 
(8)レギュラー車にハイオクを入れた場合
(9)季節違い軽油、ガソリン

ガソリンスタンドに行くと、ガソリンと灯油と軽油の3種類の燃料が売られています。さらにガソリンにはハイオクとレギュラーがあるので、つまり4種類の燃料が売られていることになります。
もしこれらの燃料を入れ間違えたらどうなるのでしょう。

ガソリンスタンドの計量機にはレギュラー、ハイオク、軽油の3本のホースが並んでいますから、このホースを間違って給油口に差し込んでしまうなんて可能性があります。あるいは、灯油とガソリンを間違えて売ってしまったとか、そういう話も耳にすることがあります。

これらの燃料はいずれも原油から作られているのですが、品質が少しずつ違い、その性質に合わせて自動車や石油ストーブも設計されている。だから燃料を間違えるといろいろと問題が起こることになります。場合によっては多大な修理費が必要となったり、最悪の場合、人の命にかかわったりすることにもなりかねません。

燃料を入れ間違えるとなぜいけないのか、どんなことが起こるのか。
実際に燃料の入れ間違いをやって実験してみたわけではないのですが、自動車やストーブの構造と燃料の品質の違いをもとに、どんなことが起こるか解説※していきたいと思います。

※実際の事例は正規の燃料と間違った燃料が混ざった状態で使用している場合が多いので、複雑になっていますが、様々な事例からみてここで述べることに大きな間違いはないと思います。

燃料を間違えるとなぜ問題なのか

自動車でもストーブでも、その内部で燃料を燃やしています。燃やすから燃料というわけですが…。燃やす、つまり燃焼というのは、燃料が空気中の酸素と反応して二酸化炭素と水(水蒸気)になる化学反応です。燃料が燃焼すると大量の熱が発生します。この熱を利用して、自動車のエンジンは車輪を回して走行し、ストーブは部屋を暖めているわけです。

ところが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジン、それに灯油ストーブとではこの燃やし方がすこしずつ異なります。燃料の特性に合わせてそれぞれの機械が精密に設計されているので、燃料を間違えるときちんとうまく燃焼させることができません。だから問題が発生します。

燃焼の仕組み

ではそれぞれの機関について燃焼を仕組みを簡単に見ていきましょう。

(1)ガソリンエンジン

ガソリンエンジンはドイツのニコラウス・オットーさんが発明したので、正式にはオットーエンジンといいます。オットーさんがこのエンジンを発明した時、その燃料はガソリンではなくて石炭ガスでした。

このオットーエンジンの燃料としてガソリンを使ったのがガソリン車です。石炭ガスは気体ですのでガス管がつながっているところしか使えません。ガソリンは液体ですが、揮発性があるので簡単に蒸気してガスにすることができるのでオットーエンジンが使えるというわけです。

ガソリンエンジンでは、気化器や燃料噴射装置を使って、ガソリンを蒸発させてガスにしています。そのあと空気と混ぜます。そのあと空気とガソリンが混ざった混合気の状態で、エンジンのシリンダーに吸い込まれ(吸入工程)、そのあとの圧縮されて(圧縮工程)点火プラグによって点火されて、ガソリンは燃焼することになります。

ガソリンエンジンではガソリンと空気があらかじめ混合した状態でシリンダーに送り込まれる

つまり、空気と燃料のガソリンをあらかじめ混ぜておいてから、シリンダーに送り込んで燃焼させます。このような燃焼方法を予混合燃焼といいます。

(2)ディーゼルエンジン

これもドイツ人のルドルフ・ディーゼルさんが発明したので、ディーゼルエンジンといいます。最初は燃料として植物油を使ったようですが、今は軽油を使います。

軽油はガソリンのように揮発しないので、予め空気と混ぜておくことができません。そのため、まず空気だけをシリンダーに吸入したあと圧縮(圧縮工程)します。空気を圧縮すると高圧になるとともに、高温になります。この高温高圧の空気に軽油を霧状にして噴霧して燃焼(爆発工程)させます。

軽油の自然発火温度は250℃くらいなので、シリンダー内の高温空気に触れると自然に着火します。ただし、噴霧された霧状の軽油が空気と触れたところから順次燃えていくことになります。このような燃焼の仕方を拡散燃焼といいます。

ディーゼルエンジンでは、最初に空気だけが圧縮され、そのあとで燃料が送り込まれる

ディーゼルエンジンの場合、燃料の軽油は液体のまま霧状にして燃焼させるので、うまく燃焼させるためにはできるだけ細かで均一な霧にすることが必要となります。このため、燃料を送り込む高圧ポンプや噴霧する噴射ノズルが重要な働きをします。

(3)石油ストーブ

石油ストーブにはファンヒーターと芯式のストーブがあります。石油ストーブとは言いますが、燃料は灯油です。灯油は室温では揮発しにくいので、液体の灯油にマッチで火を着けてもすぐには着火しません。だからガソリンより安全な燃料ですが、噴霧したり、温度を上げたりするとガスになって、火が着くようになります。

ファンヒーターは灯油をポンプで加圧して噴霧することによってガス状にしてから燃焼させる方式。芯式の場合は、灯油が毛管現象で芯を上がって行き、種火で高温になったところから揮発して空気と混ざって燃える方式です。

燃料を間違えたらどうなるか

では、いよいよ本題。燃料を間違えたらどうなるかという話をしていきます。

(1)ガソリン車に軽油を入れた場合

ガソリンエンジンでは、まずガソリン蒸気を空気と混ぜた状態(爆発混合気)でエンジンに送り込んで、圧縮後に点火プラグで点火する予混合燃焼方式です。

しかし、間違えて軽油を入れると、軽油は揮発性がないのでガスにならないため空気と混ざりません。つまり予混合ができないのです。そのため、軽油100%を燃料とした場合は、そもそも点火しないでしょう。ただ軽油の引火点は50℃から70℃ですから、エンジンが温まっていれば点火する可能性はあります。ただし、空気と混ざってないので完全には燃焼しないでしょう。

間違って軽油を入れると、普通は自動車のタンク内にガソリンが残っているので、ガソリンと軽油の混合燃料がエンジンに送られることになります。この場合、ガソリン部分は空気と混ざって燃えるので、一応エンジンは動く可能性があります。しかし、この場合、燃えるのはガソリンで、軽油は完全には燃焼しません。

その結果、燃え残った軽油が真っ黒い煙となって排気管から排出されることになります。また、エンジンがノッキングし、力がでないという現象が起こるでしょう。

間違えて軽油を入れたら、燃料の抜き替えが必要となります。点火プラグの掃除が必要となるかもしれません。

(2)ディーゼル車にガソリンを入れた場合

ディーゼル車はピストンで空気を圧縮して高温高圧にしたところに高圧ポンプと噴射ノズルで軽油を細かい霧状にして吹き込んで燃焼させる方式です。

この高圧ポンプと噴射ノズルはかなりデリケートで、規格にあった軽油を使ったときに適切に作動するように設計されています。間違えてガソリンを入れた場合でも一応動く可能性はありますが、ガソリンは軽油より粘度が低いので高圧ポンプがうまく作動しないことになります。その結果、燃料が空気とうまく混ざらず、出力が全然出ない状態になるでしょう。

また、軽油にはそれ自体に潤滑剤が入れられていますが、ガソリンは粘度が低いうえに、潤滑性が弱いので、やがて燃料噴射ポンプに傷がついたり、噛みこんだりして壊れる恐れがあります。燃料噴射ポンプは非常に高価な部品なので、修理代がかなりかさむことになります。

もし、ディーゼル車にガソリンを間違えて入れたときは、走行せずに修理工場ですぐに燃料を抜き取る必要があります。

(3)ディーゼル車に灯油を入れた場合

灯油と軽油は似た燃料ですから、灯油を間違えて入れても取り敢えず動きます。しかし、灯油には軽油引取税がかかっていないので、そのまま走行すると脱税となります。灯油にはクマリンという識別剤が入っているので、検問で燃料が抜き取り検査されると灯油が入っていることがすぐにわかります。

なお、寒冷地では軽油が凍結することがあり、石油会社ではこれを防ぐために灯油を入れることがありますが、この場合ももちろんちゃんと軽油引取税が支払われています。

また、灯油には潤滑剤が入っていないので、灯油を間違えて入れて走行すると高圧ポンプが壊れる可能性があります。以前は軽油に含まれる硫黄分が天然の潤滑剤になっていましたが、現在は公害防止のため硫黄分がほぼ完全に除去されているため、出荷時に軽油には潤滑剤が入れられています。

(4)ディーゼル車に重油を入れた場合

重油にはA重油、B重油、C重油がありますが、もし間違えて入れるとしたらA重油でしょう。A重油は工場のボイラやビルの暖房用に使われています。重油は比較的規格が緩やかなので、メーカーによっていろいろな品質のものがありますが、ほとんど軽油に近い成分の場合もあるので、間違えてA重油を入れても一応問題なく走る場合があります。

ただ、この場合も軽油取引税の脱税行為になります。A重油にも灯油と同様に識別剤が入ってますので、検問で検査されるとすぐにA重油が混入していることが分かります。

A重油は軽油に比べると硫黄分が多いので、排ガス浄化触媒を壊してしまう恐れがあります。触媒が壊れると大気汚染の原因となりますし、修理費用が多大になりますので、もし入れ間違えた場合は走行せず、すぐに燃料を抜き取ってください。

(5)石油ストーブにガソリンを入れた場合

灯油の引火点は40℃以上と決められています。これはつまり、気温が40℃以上にならなければ(つまり日本ではほぼ一年中)、液体の灯油にマッチなどで火を着けても着火しないという意味です。

一方、ガソリンの引火点はマイナス40℃くらい。つまりシベリアや北極のような寒冷地以外は一年中いつでもマッチなどで火を着ければ簡単に燃えだすということです。

ですから灯油とガソリンを間違えると、まず考えられる危険は、簡単に火が着いてしまう恐れがあるということです。灯油は家庭内で取り扱いますが、それと同じ感覚でガソリンを取り扱うとガスレンジの火や、あるいは静電気火花などでも簡単に火がついて火災になってしまいます。

もうひとつの問題点は、ガソリンは蒸気圧が高いということです。蒸気圧とは蒸気の圧力のことです。

石油ストーブには、灯油を入れるカートリッジ式のタンクが装備されていますが、このタンクは気層部分が密閉されているので逆さにしても必要以上に流れ出しません。

石油ストーブの燃料タンクから受け皿への燃料の流れは、受け皿のの液面が一定の高さになると自動的に止まる

しかし、ガソリンは常温でも一部が蒸発してタンクの気層部分に蒸気が溜まります。この蒸気は圧力を持ちますので、必要以上に燃料が押し出されてしまい、押し出された燃料が油受け皿から溢れ出してしまいます。

間違えてガソリンを入れると、ガソリン蒸気の圧力で燃料が押し出され、受け皿から溢れ出す

このため、石油ストーブのタンクにガソリンを入れると、タンクの中で蒸気が膨張して液体部分を押し出してしまうという現象がおきます。
ストーブ運転中にこの現象が起こると、溢れ出した燃料に引火して火災になります。

もし、間違って石油ストーブにガソリンを入れた場合は絶対に点火せず、火気のない風通しの良い安全な場所で燃料を抜き取り、購入したガソリンスタンドに持ち込んで処分してもらいましょう。

(6)石油ストーブに軽油を入れた場合

灯油には煙点という規格があり、23㎜以上と決められています。これは煙を生じないで燃える炎の長さのことで、炎の長さを23㎜までなら長くしても煙が出ないという意味です。

軽油にはこのような規格で製品が作られていませんから、通常の石油ストーブと同じ使い方をすると煙が出てくる可能性があります。

また、加熱してほぼすべて(95%)が蒸発してしまう温度が規格として定められており、灯油が270℃以下とされているのに対し、軽油は330~360℃と決められています。つまり、燃やした時に軽油は灯油に比べて蒸発しにくい成分が多く含まれているということです。

このように、軽油は蒸発しにくい成分が含まれているため、不完全燃焼してすすや煙が出やすくなります。その結果、一酸化炭素が発生して中毒になる危険があると考えられます。

石油ストーブに間違って軽油を入れた場合は、燃料を抜き取って燃料を購入したガソリンスタンドで処分してもらいましょう。

(7)ハイオク車にレギュラーガソリンを入れた場合 

そもそもレギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いは基本的にはオクタン価だけです。(実際にはメーカーによって蒸留性状や清浄剤で特色を出している場合があります)
ハイオク車はエンジンの性能を高めるためにエンジンの圧縮比を高くして設計されていますので、レギュラーガソリンを入れるとノッキングが起こりやすくなります。

aとbの比 (a/b) を圧縮比という

ただし、多くの車にはノックセンサーが装備されていて、ノッキングが起これば点火時期を調整するので、大きな問題は起こらないと言われています。ただし、エンジンの性能は低下します。

したがって、ハイオク車に間違ってレギュラーガソリンを入れても大きな問題は起こりませんから、特に対処は必要ありません。ただし、ハイオク車のメーカーはハイオクガソリンの使用を推奨していますので、それに従った方がいいでしょう。

(8)レギュラー車にハイオクを入れた場合

ハイオクガソリンは高圧縮比でもノッキングが起こりにくいガソリンです。レギュラー車はエンジンの圧縮比がそれほど大きくないのでレギュラー車にハイオクガソリンを入れても何の問題もありません。

余談ですが無鉛ハイオクガソリンが発売された数十年前、筆者はレギュラーガソリン仕様のマニュアル車にハイオクガソリンを入れると出力が大きくなるように感じました。

セカンドまでギアを落とさなければ、ノッキングが起こって登れなかった坂道が、サードで登れるようになったことを覚えています。それは私だけでなく、他の人もギアが1段増えたように感じると言っていました。

あくまでも個人の感想です。現在はほとんどオートマ車になっているので、この違いはあったとしても多分感じられないでしょう。

(9)季節違い軽油、ガソリン

軽油は冬場、気温が下がると固まってしまって、エンジンがかからなくなる恐れがあります。そのため、軽油には5種類の規格が定められていて、地域や季節によって販売する種類を変えています。

例えば冬場、北海道で売られている軽油は低温になっても固まりにくく作られており、同じ時期に東北で売られている軽油とは規格が違うことがあります。この種類の違いは石油会社で作り分けていますので、消費者がガソリンスタンドで入れ間違えるということはありませんが、例えば、本州から北海道に移動する場合や、低地から寒冷な高地へ移動する場合は、現地で軽油を入れることをお勧めします。

あまり一般には知られていないことですが、ガソリンも夏は蒸発しにくく、冬は蒸発しやすいように作り分けされています。ですから冬に入れたガソリンを夏場使うと、蒸発しにくく始動性が悪くなる。逆に夏入れたガソリンを冬場使うと、ガソリン配管内でガソリンが蒸発してしまい、アイドリングが不安定になる。ということもありますが、あまり気にしなくていいと思います。

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