どんなに科学が進んでも絶対できない3つのこと(3) 永久機関、超光速移動、タイムマシン、エントロピー

過去に戻るタイムマシン

過去に戻ることができたらどんなにいいんだろうと思ったことはありませんか。過去に戻ることができたら、何か失敗してもやり直しがきく。あのとき彼女を怒らせて分かれてしまったけど、過去に戻って彼女の機嫌をとっておけば、今頃は彼女と結婚しているかもしれない。

実は未来に行くことは可能です。宇宙船に乗って高速で移動すれば、特殊相対性理論によって、時間が遅れていきます。地上では宇宙船より時間が多く経過しているので、また地球に戻ってきたときには、宇宙船よりもっと時間が進んでいる。即ち未来に行ったことになります。つまり、未来に行くタイムマシンは可能です。では過去に行くことは可能なのでしょうか。

超光速移動で述べたように、相対性原理では速度が上がるほど、時間t’はどんどん遅くなっていき、光の速度cに達すると時間が止まっています。もし、宇宙船が光の速度を超えるとどうなるのでしょうか。時間が逆転して過去に戻るのでしょうか?そのあたりはアインシュタインも分からないと言っています。

でももし、宇宙船が光の速度を超えて加速できたとして、過去に戻ったとします。例えば、宇宙船の質量がゼロかマイナスであれば、あるいはマイナスのエネルギーを使えば、光より早く進むことができるかもしれません。

では、過去に戻ることができたとするとどうなるのか。ちょっと考えてみました。

過去に戻った宇宙船が地球に戻ってくると考えます。帰還した宇宙船は出発前の宇宙船を見ることになるでしょう。そして、帰還した宇宙船の乗組員は出発前の乗組員と会い、握手をすることになります。いやちょっと待ってください、話が逆です。出発前の乗組員が帰還船の乗組員と握手をするのです。いやいやこれはどちらでもいい。

とにかく、宇宙船の乗組員は出発前に帰還することになります。まず、帰還した宇宙船が着陸して、そのあとで出発船が出発することになります。もし、帰還する宇宙船が出発前に戻ってこなければ、タイムトラベルは失敗したということになるでしょう。それでも出発船は出発すべきなのでしょうか。

幸い、彼らの出発前に、帰還船が返ってきたとして、今度は何らかの理由で出発船が出発できない場合はどうなるのでしょうか。出発していない宇宙船がなぜ戻ってきたのか。

いや、そもそも帰還船が返ってきたということは、出発船が出発した結果ですから、出発船は出発したということではないのでしょうか。ということは、このタイムトラベルは成功することが前もって分かっているということなのです。だから出発船が出発しないということはあり得ないということ。

ということは出発船は必ず出発しなければならない。出発しないという選択肢は許されないことになりますが、もし、何らかの理由で出発船が出発しないとなると、そもそも帰還船が帰ってくることはあり得ないのです。

だから、出発船は、帰還船が地球に戻ってくることを確認してから、出発することになるでしょう。でも、帰還船が返ってこなければ、いつまでたっても出発船は出発できないことになります。でも出発しなければ、帰還船は当然帰ってこないということですから、出発船はいつまでたっても出発できないということになります。

このように過去に戻ると、様々な矛盾が生じることになります。これは一言でいえば、原因があるから結果があるという根本的な自然の原理と矛盾するからです。何事も、原因があるから結果がある。種をまくから作物を収穫できる。種も播かないのに収穫できることはない。宇宙船が出発するから帰還船が帰ってくるわけで、出発しない宇宙船が地球に戻ってくることはないのです。

過去に戻ると、この因果関係が崩れることになり、様々な矛盾が生じることになります。過去にもどることは、そもそもの宇宙を支配する因果関係という根源的な法則に反することになります。だから過去に戻るタイムマシンは不可能。

そもそも、相対論を使って過去に戻るためには、ゼロもしくはマイナスの質量を持つ宇宙船を作ることやマイナスのエネルギーを使うことが必要となりますが、それも無理でしょう。

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