トランプ(次期大統領?)にノーベル平和賞を 環境政策がカギ

トランプ前大統領は日本ではすこぶる評判が悪い。
次期大統領はトランプじゃないだろうな。もしトランプが再び大統領になったらどうなるんだ。ひどいことになるんじゃないか。と考える人も多い。だから、もしもトランプが大統領になったらという意味で「もしトラ」という言葉が生まれた。

ところが、米国ではトランプ大統領候補の人気がどんどん高まってきた。これはもしトラではなくて「ほぼトラ(ほぼトランプが大統領に確定)」ではないかとまで言われ始めた。

そして、7月13日に起こったのがトランプ候補銃撃事件だ。トランプ氏はSPに囲まれて退場したものの、かれを取り巻くSPの問から体を乗り出し、拳を振り上げて健在ぶりをアピールした。ちょうど戦国武将が敵の前に自分の体をさらけ出して、部下を叱咤激励するようなものだ。こういうのにアメリカ国民は弱い。

一方、対立候補のバイデン大統領はどうかというと、こちらは公開討論会ではしどろもどろ。副大統領のハリス氏をトランプ氏と言い間違えたり、ゼレンスキー大統領のことを、こともあろうことか敵のプーチン大統領と言い間違えたり。

これであと4年間も大統領としての職務を全うできるのか、多くのアメリカ国民が不安に思っただろう。

これではトランプ氏に勝てない。民主党の有力議員たちもバイデン大統領に撤退を働きかけるが、今のところ本人は続投の意思を隠さない。このままいけば、次期大統領は大差をつけてトランプ氏に決まるだろう。

トランプ氏はノーベル賞がほしい?

では、2期目の大統領になったらトランプ氏はどんな政策を行うのだろうか。やはり共和党の政策綱領に沿ったアメリカ第一主義だろうか。

ここで、興味深いうわさ話を紹介したい。かれはノーベル平和賞を狙っているというのだ。トランプ氏がノーベル賞?どうもノーベル賞には最も縁のない人であるように思えるだが、そういう他人の評価と彼自身の野望とは違っていているかもしれない。

かつて日本の安倍総理が、当時のトランプ大統領に「日本政府はあなたをノーベル平和賞候補として推薦しました」という内容の手紙を送ったことがある。トランプ大統領はこの手紙をもらって大いに喜び、安倍総理から美しい手紙を受け取ったとツイッターで自慢げに公表している。

安倍元総理はアメリカ側から「トランプ大統領をノーベル賞候補として推薦してほしい」と打診を受け、2018年の秋ごろノーベル賞関係者にトランプ氏を推薦したという。

安倍元総理の外交儀礼のひとつだとしても、もちろんトランプ氏は悪い気はしないだろう。実はトランプ氏、安倍元総理だけでなく、様々な機会にノーベル賞が取れるように推薦してほしいと依頼しているというから、かなり本気なのだ。

トランプ氏は言うまでもないが大金持ちである。さらに大統領という地位も手に入れた。金と地位の次には名誉を手に入れたいと思うだろう。それがノーベル平和賞だ。

金と地位は墓の中まで持っていくわけにはいかないが、名誉は死後も語り継がれる。アメリカ最悪の大統領といわれるより、世界最高のアメリカ大統領といわれる方が気分がいいに決まっているのだ。

アメリカ大統領は2期しか務めることができないから、その次はない。今度大統領に選ばれたら、有権者に媚びを売って次の選挙のための票を稼ぐ必要はないのである。共和党の綱領などくそくらえ。自分がノーベル賞をとれればそれでいいのだ。結局、それが共和党の評判を高めることになるだろうし。

ちなみに過去にはかれがライバル視したバラク・オバマ元大統領もノーベル賞を取っている。オバマ氏は実際、何もしていないのにノーベル賞だ。トランプ氏は「オバマがノーベル賞だって。何もしていないのに。だったら俺の方がもっとノーベル賞の価値がある。」そういう発言もしている。

トランプ氏がノーベル賞を狙っているというのは、単なるうわさではなく、かなり本気のようなのだ。

では、どうすればかれはノーベル賞を受賞できるだろうか。かれが本気でノーベル賞を狙っているのなら、その行動はだいたい予測できることになる。

どうすればノーベル平和賞が取れるのか

バイデン氏が大統領になってから、ウクライナとパレスチナという重要な国際紛争がふたつ起こっている。ウクライナは泥沼化し、パレスチナは解決の糸口も見えない。

バイデン大統領はウクライナを支援しているが、供与したミサイルにロシア領内に打ってはいけないと制限をつけたり、戦車や戦闘機をわずかな数に制限したり。負けそうになると制限を緩めるが、勝ち始めると制限する。

バイデンはそもそも勝とうとしているのか、どこまで勝って手打ちにするつもりなのか、何かの戦略があって介入しているとは思えない。

パレスチナについても、バイデン氏は煮え切らない。
ガザへの過酷な攻撃についてイスラエルを非難しているにもかかわらず、国連の停戦決議には拒否権を発動するという具合だ。何度も和平への話し合いが行われているにも拘わらず、詰め切らない。

バイデン氏ではこの二つの紛争を終わらせることはできないし、そもそも終わらせようと考えていないのだろう。このままいけば、さらに世界各地で別の紛争が起こる可能性さえある。

トランプ氏が大統領なって、かれが仲裁に乗り出し、この二つの紛争を終わらせれば、ノーベル賞も見えてくる。実際、かれはウクライナの戦争は24時間で終わらせると豪語しているのだから、少なくともバイデン氏と違ってウクライナ戦争を終わらせる努力をするだろう。

過去にも、ジミー・カーターがノーベル賞を受賞しているが、それは国際紛争の平和解決に尽力したという理由で。また、大統領ではないがヘンリー・キッシンジャーが、ベトナム戦争の平和交渉に尽力したという理由で、それぞれノーベル賞を受けている。

極めつけは日露戦争を終わらせたセオドア・ルーズベルトだ。もともと、日本はアメリカに仲裁を依頼していたのだが、日本が日本海海戦で勝利を収めた時期を見計らって、かれが仲介に入って戦争を終わらせた。

同じように、米軍が全面協力してウクライナが優勢になったところで、仲裁条件を持ち出して戦争を終わらせたらどうだろう。バイデン氏のお陰で戦争が長引き、ウクライナもロシアも疲弊して、早く戦争を終わらせたいと思っている。ちょうどいい機会だ。

もう一つの条件環境政策

ただし、トランプ氏の場合は、戦争を終わらせただけではノーベル賞は難しいと思う。もちろんトランプ氏にはさまざまなスキャンダルがあるから、これも逆風とはなるが、それを置いても、かれの一番の問題は地球環境問題に後ろ向きなことだ。

前回の大統領のときも、かれは地球温暖化は信じないと断言した。そもそもトランプ氏の強力な支持母体のひとつが石油業界だし、「(石油を)掘って掘って掘りまくれ」が共和党のスローガンである。

一方、ノーベル平和賞を決めるのはノルウェーの議会が指名するノーベル委員会だ。(平和賞を決めるのはスウェーデンではなくノルウェー)

ノルウェーは北海油田を持つ産油国であるが、産出した原油はほとんど輸出に回し、自国の電力にほとんどは豊富な水力をはじめとする自然エネルギーで賄っている。EV(電気自動車)の販売比率は90%に達し、SDGsの達成度も世界第4位。世界でも有数な環境大国なのだ。

実際、ノルウェー・ノーベル委員会は地球環境問題に貢献したという功績を認めて、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)や大統領候補だったアル・ゴア氏にもノーベル賞を贈っている。

ウクライナやパレスチナで紛争を解決しても、人為的な気候変動そのものをフェイクだという人にノーベル平和賞は贈りにくいだろう。なんといってもアメリカは中国に次いで世界第二位のCO2排出国なのだ。

さて、大統領になったらトランプ氏はどうするか。ノーベル賞を取って世界に貢献した大統領といわれるか、石油業界に媚びをうって歴代最低の大統領といわれるか。

2024年7月20日

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