この4月1日から東京都と川崎市では新築の建物に太陽光パネルの設置を義務づける制度が始まった。東京と川崎は温室効果ガスの排出量が、それぞれ全国1位と2位の都市だ。
しかし、太陽光発電をしようとしてもメガソーラーのような大規模な太陽電池パネルを設置する場所がない。そこで住宅の屋根に太陽光パネルを設置して温室効果ガスをできるだけ削減しようというアイデアだ。
この話題とは直接関係はないのだが、都内の住宅の屋根のようなみみっちいことを言わずに、地球全体を太陽電池パネルで覆ったら、どれくらい発電できるものなのだろうか。ちょっと計算してみた。
地球が太陽から受ける光のエネルギーは太陽乗数といわれ、 1m2あたり1,370Wと測定されている。これに地球の断面積をかければ、地球が太陽から得られる光のエネルギーを求めることができる。これに太陽電池パネルのエネルギー効率(だいたい20%)をかけてやれば発電量を求めることができるという寸法だ。
太陽乗数 = 1,370W/m2 = 1.370×1016W/km2
地球の断面積 = 127,400,000km2 = l.274×108km2
太陽電池のエネルギー効率 = 20% = 0.2
として計算すると地球表面を覆う太陽電池の発電量は
1.370×1016W/km2 × 1.274×108km2 × 0.2 = 3.491×1016W
これは原子力発電所(出力100万kW=109W)の3,500万基分 ! に相当する。
1W(ワット)は1 J(ジュール)/sである。つまり、 1秒間に1 Jのエネルギーを発生することであるから、地球を覆う太陽電池の年間発電エネルギーは3.491×1016W に1年間の秒数(3.154×107秒)をかけてやればよい。
3.491 × 1016W × 3.154×107秒 = 1.098×1024 J
一方、2023年の世界の総エネルギー需要量は約6.20×1020 Jであった。これと地球を覆う太陽光発電パネルの1年間の発電量を比較すると次のようになる。
1.098 × 1024 J÷6.20×1020 J ≒ 1,800
つまり、地球全体を太陽光発電パネルで覆ったときの発電量は、人間が1年間に使うエネルギーの1800倍 ! ということになる。つまり、地球をすべて太陽光発電パネルで覆うと、たった5時間程度 ! の発電量で、人間が1年間に使うすべてのエネルギーを賄えるということを示している。
2025年4月17日