衆議院選挙各政党のエネルギー政策をまとめてみた  自民党公約の不思議

衆議院選挙の投票日が近付いてきた。ということで、主な政党(自民、立憲、公明、維新、共産)の選挙公約からエネルギー関連についてまとめてみた。
なお、自民党には政策パンフレットと政策バンクという二つの政策が掲げられている。政策パンフレットは政策バンクの概要版という位置づけなのだろうが、かなり違いがあるので両方を取り上げている。

カーボンニュートラル

まず政府が公約している2050年のカーボンニュートラル目標について、これに反対している政党はない。違いは2030年の中間目標を46%削減とするか、それ以上とするかの違い。

原発新増設

ほぼ各党が認めないとしており、自民党の詳細版も可能な限り原子力依存度を下げると書いている。それにも拘わらず、概要版では小型モジュール炉の地下立地という聞きなれない話が盛り込まれている。

原発再稼働

ほとんどの政党で原発の再稼働については、安全を確認した上で認めるとしているが、共産党は全く認めないとしている。立憲民主党には原発再稼働についての記述がないが、多分、党内でも意見が分かれているのだろう。ただし、小さな字で再稼働しなくても電力が不足することはありませんと記載されている。

再生可能エネルギー

どの政党も概ね、積極的に導入、将来の主要電源とするとしている。ただし、自民党の概要版には不思議なことに再エネについては、まったく触れられていない。

まとめ

全体的に、2050年のカーボンニュートラル目標は支持。原子力については新増設は認めないが、再稼働については安全が確認されれば認める。再エネについては、将来の主力電源とするということでほぼ一致している。

自民党の公約の不思議

ただ、ここで気になるのが自民党の概要版(政策パンフレット)と詳細版(政策バンク)の内容が違っているということ。詳細版は再エネを最大限導入し、主力電源化する。可能な限り原発依存度を低減する。としている。
これに対して、概要版についてはそもそも再生可能エネルギーという言葉すら出てこないうえ、詳細版にはない小型モジュール炉が取り上げられ、さらには「核融合開発を国を挙げて推進する」などおバカなことが書かれていている。(核融合発電は「クリーンで無尽蔵で安全」ではない  参照)
詳細版は昨日閣議決定されたエネルギー基本計画を踏襲しているのに対し、概要版は、自民党内の誰かが自分の思い入れでこれを修正したのだろう。しかし、これでは自民党はエネルギー政策をどうやっていくのか分からない。筆者は別に反自民というわけではないが、これはいただけない。

2021年10月23日

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