石油コンビナートの照明は夜中に消している? 工場萌えの裏側

コンビナートの照明はいつ消すの?

人によってコンビナートの景色は嫌いだと言う人もいますし、好きだと言う人もいるでしょう。嫌いだと言う人は、コンビナートは無機的で機械の塊のようだと言い、好きだという人は、まるで現代彫刻をみているような、あるいは異世界に入ったような雰囲気に美しさを見出しているのだろうと思います。

しかし、昼間のコンビナートを見て嫌いだという人も、夜暗くなってから訪れるとまた違った感想を持つことになるでしょう。見上げるように巨大な塔や構造物に取り付けられた幾百もの照明がまるでクリスマスツリーのように輝いている。その光がシュ―シューと噴き出す水蒸気を明るく染めている。そんな圧倒するような美しさが迫ってきます。最近では工場萌えなどと称して、夜のコンビナートを訪問するツアーも流行っているようです。

私が石油コンビナートで働いていたとき、外部から来た人にはいつも連れていくところがありました。そこはコンビナート地帯のすぐ近くにある小高い山で、手軽に車で上ることができます。その山の展望台から見た夜景は本当に素晴らしい。眼下には正に幾万の宝石をちりばめたような幻想的な光景が広がっているのです。

でも、ある女性をここに連れて行ったとき、こんなことを聞かれたことがありました。

「この景色はとっても素晴らしいけれど、夜中になったら照明は消すのよね。」と。

いいえ消しません。一晩中点けっぱなしです。

また、ある都市近郊に位置するコンビナートで勤務していたとき、最近できたマンションの住民から聞かれたことがありました。「今度、引っ越してきたんだけど、夜はいつになったらこの照明は消すの?明るすぎるんだけど。」

すみません。この照明は消しません。申し訳ありませんが夜はカーテンを引いてください。

コンビナートの照明はきれいだけれど、夜中になったら消してしまうと思っている人は意外に多いのではないでしょうか。

照明を一晩中点けている理由

クリスマス近くになると駅前や商店街では街路樹や建物をイルミネーションで飾るところがあります。こんなところでは一晩中イルミネーションを点けているわけではなく、夜中には消してしまうのでしょう。(見たことはありませんが。)夜中になって、お客さんがいなくなってしまえば、点けている意味がないですからね。

でもコンビナートの照明は一晩中点けています。それは当然ながら、お客さんの為に点けているわけではないからです。
コンビナートは1年365日稼働しており、また大量の危険物を取り扱っていますで、真夜中でも運転員が交代で設備に異常がないか見張っていなければならないのです。だからいつも照明を点けています。そうしなければ、異常がみつけられません。

また、60m以上の建築物については航空法という法律によって、照明を付けることが義務付けられています。特に煙突など高さ90m以上の建造物は、赤い照明灯が取り付けられて、点いたり、消えたり点滅しています。これは設備の点検のためというより。飛行機が衝突しないためですね。夜中だから消してしまうというわけにはいきません。

コンビナートの運転員は普通、室内のコントロールルームで装置の運転監視にあたるパネル担当と、外に出て現場の操作やパトロールを行うフィールド担当とに分かれています。夜になって暗くなってくるとフィールド担当がプラントの照明のスイッチを点けていきます。そして一晩、パトロールして明け方に周囲が明るくなってくると、またフィールド担当がスイッチをオフにしていくのです。

フィールド担当が照明を消していく時間は、あ~、今日も事故がなく一晩が過ぎたなとほっと安心する時間でしょう。私たちが寝ている間、彼らが黙々とパトロールをして安全を確保しているのです。ご苦労さま。家に帰ってゆっくり休んでください。

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