地球温暖化は温室効果ガスの層ができて起こっているわけではない

前から気になっていたのだが、地球温暖化のメカニズムについて、以下のような図で説明されることがある。このような説明図を見たことのある人は多いだろう。(この図はある自治体のホームページに掲げられている)

しかし、この説明図は間違いである。

この図を見ると、地球上空に温室効果ガスの層があり、それに地球から放出される熱(赤外線)がぶつかって反射される。かつては温室効果ガス濃度があまり高くなかったので、反射される熱もそれほど大きくなかったが、現在の地球は温室効果ガスの層の濃度が高くなっているので反射される熱が増えて地球が温暖化される。

そのように文章で説明されているわけではないが、おそらく、この図を見た多くの人たちがそう思うだろう。この図を描いた人もそう思っているのかもしれない。では、熱を反射する温室効果ガスの層はどのくらいの高さにあるのだろうか。1万m?、 10万m?、もっともっと上?

例えばオゾン層の高さは1万mから5万mである。これはネットで調べれば簡単に出てくる。では熱を反射する温室効果ガスの層の高さはどのくらいなのだろうか。これはネットで調べても出てこないし、どんな論文でも出てこない。

実は温室効果ガス層の高さは0mである。というか温暖化の解説図で示されるような温室効果ガスの層など存在しないのである。温室効果ガスの主な成分であるCO2は空気より重いので、理屈から言えば地上付近が最も濃度が高くなるはずであるが、実際には空気は混ざりやすいので、地上からかなり上空までCO2は拡散していて、ある部分では濃いところがあったり、季節によっても変化し、工場地帯では濃く、森林地帯では薄くなったりする。しかし、温室効果ガスの明確な層など存在しないのである。

では、この解説図は間違っているのだろうか。そう、はっきりいって間違いである。温室効果は温室効果ガスの層が地球を覆って熱(赤外線)を反射して起こっているのではなく、大気圏全体で起こっている。つまり、温室効果はわれわれが生活するこの地面のすぐ上、つまりあなたの身の回りで起こっており、決して地上数万mのはるかかなたで起こっている現象ではないということである。

もう一つ図をお見せしよう。

これは、環境省が発行している「こども環境白書」に書かれた地球温暖化の説明図である。この図では、はっきりと温室効果ガスの層があると描かれている。いくら子供向けとはいっても、環境省がこれではいかんだろう。

地球温暖化は温室効果ガスの層ができて起こっているわけではない」への2件のフィードバック

  1. みつと

    学生時代に簡単なモデル計算を使って温室効果について習いました。
    二酸化炭素の分子が赤外線を吸収し、その後、二酸化炭素の分子が黒体放射によって全方向に赤外線を放出するというメカニズムだったと思います。本来は宇宙に放射されるはずの赤外線の一部が地表に向けて戻ってくるイメージです。
     さらにいうと、高い層の二酸化炭素から地表に向かう赤外線を、下層の大気が吸収して一部を上層へ再放出したりするので、赤外線の動きを厳密に表現しようとすると、結構複雑になります。
     環境省の図は、簡略化という意味ではありとは思いますが、そもそもビルの縮尺もあってないし専門家のチェックはしていないでしょうね。
     なお、二酸化炭素の濃度は低く、赤外線の多くを吸収するにはそれなりの厚さが必要になるはずです。いくつかは知りませんが、数100mくらいのオーダーになるかなと思います。

    返信
    1. takarabe 投稿作成者

      みつとさん コメントありがとうございます。
      赤外線を吸収したCO2は再び赤外線を放出しますが、それは全方向であり、環境省の図のように赤外線を反射しているわけではありません。これは正におっしゃる通りです。
      しかし私が言いたいのは、反射するしないの話ではなく(それも大事ですが)温室効果は上空何千mとか何万mという上空だけで起こっているわけではなく、実は私たちの身の回りでも起こっているということです。
      CO2による赤外線の吸収と再放出は、CO2があれば起こるわけで、それは私たちの身の回りにあるCO2でも当然起こっているわけです。さらに、赤外線を受けたCO2は熱を持ち、その熱は赤外線に変わる前に伝熱によって、私たちのまわりの空気を暖めます。つまり、私たちは無理やりCO2というブランケットを1年中着せられているという状態なのです。だから暑いのです。
      ちなみに、赤外線を吸収するCO2の厚さですが、地上0mから上空100,000mまでの大気圏すべてで起こっていると考えるべきだと思います。

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