ユーグレナ社は、今月13日、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の使用をJR貨物越谷貨物ターミナルにおいて開始したと発表した。使用量は年間2,388ℓで、最初は構内移送用トラックの燃料として使用し、将来はフォークリフトや機関車への拡張も検討しているとのこと。
バイオディーゼルは軽油の代替としてディーゼルエンジンで使用される燃料である。原料は主に大豆油やパーム油のような植物油であるから、使用しても空気中のCO2を増やさない脱炭素燃料である。ユーグレナ社はこのバイオディーゼルやバイオジェット燃料(SAF)をミドリムシから抽出した油分を使って製造する技術を開発しており、今回はディーゼルの方の使用にこぎつけたということである。
一般に微細藻類は太陽エネルギーを効率的に油脂に転換することができることから、単位面積あたりの油脂生産量が非常に大きく、大豆油などと比較して30倍から300倍であるといわれている。また、海や湖沼、休耕農地なども活用できるため、食糧生産と競合せず、自然林を破壊することがない。
バイオディーゼルには第1世代と第2世代があるが、サステオはHVOとよばれる第2世代に相当する。写真を見ると直接、車両に供給しているように見えることから、従来の軽油の代わりにそのまま使える、いわゆるドロップイン型を達成しているのだろう。品質的にはかなり進んだバイオ燃料である。
しかし、疑問もある。実はサステオはミドリムシ油だけが原料ではなく、使用済み食用油(廃食用油)が混合して使われているのである。廃食用油を使った第二世代バイオディーゼルは欧州では既に多くの実績があるから、もしサステオの原料のほとんどが廃食用油だというなら、これは新しい技術ではない。ミドリムシ油100%にしないのは、何か技術的な問題があるからだろう。
また、廃食用油は廃棄物を減らすという意味もあるが、資源量が限られる。ミドリムシ油を原料として使わなければ大量生産はできないのである。今回、JR貨物で使われるサステオの使用量は年間2,388ℓ(1日あたり6~7ℓ)と極少量なのも、このあたりの理由があるのだろう。
微細藻類を使ったバイオ燃料は脱炭素燃料として将来が望まれる燃料であり、実用化を期待したいところであるが、ミドリムシ油の大量生産技術や採算性の問題がまだ解決されていないとすれば、実用化はまだ先の話である。