先月29日、アフガニスタンの首都カブールで米軍が過激派組織ISのものと思われる車両1台を無人機によって空爆しましたが、今月18日、米軍はこれを誤爆だったことを認め、謝罪しました。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210918/k10013266001000.html
この誤爆によって子どもを含む10人の市民が死亡したといいますから、間違いだったでは済まされない問題だと思います。と言っても既に米軍はアフガニスタンで4万人もの一般市民を殺していますので、今回の誤爆は氷山の一角に過ぎないでしょう。
なぜ、このような悲劇的な戦争をアメリカはやったのか。そうしてなぜ、今、撤退なのでしょうか。
戦争の始まりはもちろん20年前の2001年9月11日の同時多発テロからです。実はその約1か月前に筆者はニューヨークにいたのですが、そのときのアメリカはいつもの平和で豊かな国でした。そして、その1年後、再びアメリカを訪れたとき、アメリカは大きく変わっていました。アメリカ中どこに行ってもすべてが対テロに向かっていたのです。学会に行っても、論文を読んでも、必ずと言っていいほど、テロやアルカイダの脅威が述べられていました。
2007年、アメリカはエネルギー独立安全保障法(EISA)という法律を制定しました。これは中東産油国がアルカイダの資金源になっていたことを反省し、中東石油の依存から脱却するために、国内のエネルギー資源を開発することを意図したものです。EISAの結果、バイオ燃料や風力、太陽光などの再生可能エネルギーが大きく普及し、さらにシェールガス、シェールオイルの採掘も可能になったことから、アメリカの中東石油への依存度が大きく低下していったのです。
アメリカが中東の石油に依存する限り、中東に一定の影響力を及ぼす必要があり、そのことが石油が取れるわけでもないアフガニスタンに長期に渡って米軍を駐留させることになったのでしょう。しかし、中東石油への依存が大幅に軽減された今、米軍をアフガニスタンに駐留させる意味が薄れた。これが今、撤退する大きな理由のひとつになったのでしょう。
米軍のアフガニスタンからの撤退は、歴史的にみると石油時代の終わりを象徴するものかもしれません。
アメリカはなぜアフガン戦争を行い、今なぜ撤退するのか:石油の時代の終わり
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