地球温暖化による海面上昇は海水の熱膨張などの原因で起こる アルキメデスの原理は関係ない

最近、地球温暖化はウソだとか、人間が放出したCO2が原因ではないとかネット上で主張する人や書籍をよく目にするようになってきました。もちろん、地球温暖化については自由に議論していくべきだと思いますが、中にはもう少しきちんとした話をしろよと思うこともあります。
例えば、アルキメデスの法則があるから北極の氷が融けても海面は上昇しない。とか、ここのところ気温上昇はわずかだから、ほとんど影響がない。とか、いかにもそれらしい(が間違っている)理屈をつけて地球温暖化がウソだと決めつけている論調があります。
海面上昇についてい言えば、確かに北極の氷が融けてもアルキメデスの原理によって海面上昇は起こりません。ウイスキーグラスの中に入れた氷が融けても、ウイスキーがグラスからこぼれ出さないのはアルキメデスの原理です。
しかし、国連から委託を受けて地球温暖化について調査を行っているIPCCが言う海面上昇は、北極の氷が融けることによって起こるとは言っていないのです。
海面上昇は海水の温度が上がることによる熱膨張と、グリーンランドなどの陸地の氷河などが融けることによって起こります。熱膨張など大したことはないだろうと思われるかもしれません。私も初めはそう思っていました。それでちょっと計算してみました。

水の熱膨張率は0.021%/℃、海の平均水深が3,800mです。単純に計算して
0.021×3800÷100=0.798

つまり、海水の温度が1℃上がると熱膨張によって海面は約80㎝上昇することになりす。これにグリーランドなど陸地の氷河が融けて海に流れ込む水が加わります。
ちなみに、IPCCによると、海面上昇の原因は、熱膨張:約 50% 、氷河の減少:約 22% 氷床の減少:約 20%、陸水の貯留量の変化:約 8% となっています。

IPCC AR6/WG1 報告書 SPM暫定訳より

私も気象の専門家ではないので、IPCCの報告書の内容を完全に理解しているわけではありませんが、IPCCの結論を否定するのなら、それなりにきちんとした根拠を持って行うべきだろうと思います。

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