ENEOS和歌山製油所閉鎖は突然の決定ではない 既にプログラム済み

25日、石油元売最大手のENEOSが2023年10月を目途に和歌山製油所を閉鎖すると発表した。和歌山製油所は処理能力12万7,500バレル/日、従業員数450人、関連従業員を加えると1,200人が働いていると言われる。日本ではほぼ中規模の製油所である。
この発表を受けて、和歌山県知事がENEOSに対して怒りの抗議をしたと報道されている。何の相談もなく突然の閉鎖とは何事か。雇用を守ってもらいたい。との抗議である。

和歌山製油所は石油元売会社のひとつ東燃ゼネラルの製油所であったが、2017年に同社はJXグループと合併してJXTGグループとなっている。その後、JXTGはENEOSという名前に変更されているが、ENEOSはJXグループのブランド名。つまり、合併と言いながら、実際は東燃ゼネラルがENEOSグループの傘下に入る形となっている。

そして、その合併後、わずか5年で今回の和歌山製油所の閉鎖である。ここで疑問が生じる。なぜENEOSは閉鎖される可能性のある製油所をわざわざ傘下に入れたのだろうかと。実はその裏には国策があったのだと思う。

近年、国内産業のソフト化や空洞化、人口の減少等の理由で、日本の石油製品の需要は下がり続けている。特にガソリンについては、自動車の燃費向上に加えて、若者の車離れ、少子高齢化の影響でどんどん販売量が減ってきている。それに脱炭素化がその動きを加速する。

石油製品の需要が減れば、それに合わせて日本の製油所は順次閉鎖せざるを得ない。そして政府の方針に従えば、2050年には石油化学や潤滑油、アスファルトのような非燃料の生産部分を除いて、日本の製油所はほとんどすべて閉鎖もしくは縮小となる。

日本の製油所の位置

このとき、まず考えるべきは、従業員の雇用の問題であろう。日本の場合、閉鎖されるからと言って米国のように従業員が即座に解雇されるわけではない。ENEOSは全国に10か所以上の製油所や事業所を持っているから、従業員の大半は他の事業所へ配置転換されるだろうし、希望すればかなり高額な割増退職金をもらって退職することも可能であろう。

しかし、従業員の配置転換といっても、それは多くの事業所を抱える大企業でなければ難しい。1980年代。日本には17社もの石油会社がひしめき会っていた。1社1製油所というような小規模な石油会社が製油所を閉鎖したら、従業員の行き場がなくなってしまう。

幸い石油業界は国策によって合併を繰り返し、各社の大規模化が図られてきた。現在はENEOS、出光、コスモのほぼ3グループに集約されている。今後は石油製品の需要減少に合わせて、順次、各社の製油所が縮小あるいは閉鎖されていくことになるだろう。

和歌山県知事は何の相談もなく、突然閉鎖を告げられたとの怒りであるが、おそらく国の方針によって、製油所の閉鎖は既定の路線だろう。つまり、和歌山製油所は突然の閉鎖決定ではなく、ENEOS傘下に入った時から既にプログラムされていたということである。そして、ENEOSの大田社長も語るように、今後も製油所の閉鎖が順次進められていく。そして2050年を迎えることになる。

2022年1月28日

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