走行税の導入は時間の問題 プリペイドカード方式というのはどうだろう

走行税導入は時間の問題

走行税の導入が話題となっている。走行税は自動車にかけられる新たな税金で、その自動車が走った距離に課税される。10月26日に行われた税制調査会の議論の中で浮上したという。

一方、この新たな税金の導入に反対する人も多い。特に公共交通機関の少ない地方生活者や物流業界だ。車が生活の足になっている地方に住む人は当然ながら走行距離が長い。走行距離に比例して税金を取られるのは不公平だという。

あるいは物流業界も当然、走行距離が長い。これに税金をかけられたら、物流コストが高騰するという指摘である。

現在ガソリンには1ℓあたり53.8円のガソリン税が、軽油には32.1円の軽油引取税が課せられている。ガソリン税は本来の税額は28.7円なのだが、道路を作るために必要だということで1974年から暫定的、つまり一時的に上乗せされて今の税額になっている。

ガソリン税が道路の建設や補修のために使われるのなら、一種の道路使用料のようなものと考えれば納得がいく。ただし、現在ガソリン税は、けしからんことに道路の建設や補修以外にも使われているわけだが。

ところが、そのガソリンだが、最近、どんどん販売量が減ってきている。これはハイブリッド車のような燃費のよい自動車が増えてきたことや、少子高齢化によるものであるが、そのため、当然ながらガソリン税の収入も減ってくる。

さらに今後、ガソリンを使わない電気自動車(EV)が増えてくれば、ますますガソリン税の収入は減ってくる。ちなみに2021年に発表された第6次エネルギー基本計画では、2035年にガソリン車の販売を止めることが明記されているのだ。

ガソリン車の販売が禁止されれば、ガソリン税は一気に減りはじめ、そして政府が目標とするカーボンニュートラルが実現する2050年には、ガソリン税や軽油引取税による収入はゼロとなるはずだ。これは政府にとっては大変な減収である。

だから、以前ブログでも書いたように、この状況をそのまま政府が指をくわえてみているとは思えない。きっとEVにも何らかの形でガソリン税相当分の重い税金が課されることになる。そう考えていたが、やはり来たか。思ったより早い。

走行税導入時の問題

ただ、走行税を導入しようとするといろいろな問題がある。
まず、走行税はもちろんEVだけにしてほしい。ガソリン車保有者に走行税とガソリン税の両方が課されるのは不公平である。ただし、プラグインやハイブリッドはどうするのかという問題があるが。

また、車の大きさによって課税率は変えるべきだろう。特に公共交通機関の少ない地方在住者が通勤や買い物などの足として使っている軽自動車や小型車クラスは税率を安く、あまり使用頻度が高くない都市居住者が使う大型乗用車は税率を高くすべきだろう。例えばEVが搭載しているモーターの総ワット数で、税率を変えるとか。

もう一つの問題は、課税対象となる走行距離をどう測るかということである。現在、ガソリン税は石油会社が払う。軽油引取税は販売業者が払う。いずれも小売価格に上乗せされることになるが、税務署としての税額の把握は容易である。

しかし、走行税は車の保有者が直接払うことになる。税務署は走行距離をどうやって把握するのだろうか。

車検の際に距離計を申告して支払うとすれば、その時支払う走行税は非常な高額になってしまうだろう。今問題になっている放置車両がもっと増えることになってしまうかもしれない。

車の距離計の数値がそのまま税務署に送られて、税務署から月々の請求書が届くという話になるのか。あるいはGPSの位置情報から車の走行距離を割り出し、課税するのか。GPSの場合は、自動車の所有者の行動記録がすべて税務署に把握されることになって、気持ちのいい物ではない。

プリペイドカードによる前払い方式はどうだろうか。これは、私のブログを読んでコメント欄に記入された方のアイデアである。

この方式ではコンビニなどでプリペイドカードに走行税を前もってチャージしておき、このカードを挿入しなければEVのスイッチが入らないようにしておく。チャージ金額は走行距離によって減って行くから、ゼロになる前に、またチャージするという方式である。

プリペイドカードの残金がゼロになると車が止まってしまうので、その時の対策を考えておく必要はあるが、いいアイデアだと思う。

ガソリン税や軽油引取税は道路の整備、補修費という意味合いをもつ。EVはガソリンや軽油を使わないから、現在は燃料に関する税金を支払う必要はないが、EVの数が増えていくと道路関連予算が足りなくなってしまうという問題が起こる。

結局、EVにも何らかの課税が必要で、早晩、走行税か何かの新しい税金の仕組みが導入されることになるのは仕方のないことだろう。

2022年11月6日

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