環境活動家が美術館を攻撃 分かりにくい活動だが…

環境活動家による美術品への攻撃が相次いでいる。美術館に掲げられている展示品にトマトケスープやマッシュポテトを投げつけたり、小麦粉をぶちまけたり、接着剤で手を張り付けたりする。彼らの主張、つまり化石燃料の使用を止めさせたいという主張であるが、それがなぜ美術品への攻撃になるのだろうか。とても分かりづらい。

サルバトール・ムンディ(Wikipediaより)

ところで、この絵をご存知だろうか。サルバトール・ムンディといわれる絵画だ。1500年頃描かれたとされるが、その後行方不明となり、再び現れたのが1958年。オークションに出品され45ポンドの値がついている。当時の貨幣価値は今とは違うと思うが、1ポンド170円で計算すると8,000円弱である。

ところが、この絵。その後、美術鑑定によってモナリザの作者として知られるレオナルド・ダビンチの真筆とされたのだ。そして、2017年のクリスティーズのオークションでは、なんと500億円で落札されたのである。

45ポンドのときも500億円で落札されたときも、一部修復はされているものの同じ絵である。芸術としての価値は同じではないだろうか。にも拘わらず45ポンドの絵画に500億円もの大金をポンと出して購入する人がいるのである。

その一方で、パキスタンでは水害で国土の3分の1が水没して、1200人以上もの死者を出し、アフリカ東部では過去40年で最悪といわれる旱ばつが発生して550万人以上の子供たちが栄養失調に陥っている。

このように水害と干ばつが同時に発生する極端現象は、地球温暖化に伴って今後、ますます頻度が増えてくるとIPCCの報告書は警告している。

地球温暖化と芸術作品。はっきりいって関係ない。美術品を攻撃する活動家のやり方にはとても賛同できないし、かえって環境活動を阻害する恐れもある。しかし、その芸術作品に値段がつき、一般の人たちの常識をはるかに超えた大金が動くというのもまた、異常ではないだろうか。

人間が作り出した環境破壊によって世界中で大きな災害が頻発しているというときに、一方で、絵1枚に小さな国の国家予算にも匹敵する大金を投じる人もいる。

ちなみに、サルバトール・ムンディであるが、クリスティーズで落札されたあと、再び行方不明となっている。アブダビの美術館が購入したことになっているが、実際はサウジアラビアの王子に渡っているという。

地球環境問題の元凶の一つともいえる石油を売って得た巨万の富が、一枚の絵となって、いま王子が所有する豪華なヨットのキャビンの一室を飾っているのだろうか。

2022年11月22日

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