ガソリンの値段は下がるときは遅いが、上がるときは早い?

ガソリンの値段、下がるときはゆっくり、上がるときは早い?

ここのところ、原油の値段が下がってきて、それにつれてガソリンの値段も下がってきた。レギュラーで一時150円位したものがどんどん下がってきて、最近では120円台。原油の値段も一時はマイナスという驚異的な安値まで下がっているようだし、こりゃあ昔のように100円を切るぞ。

と思っていると、なに?ガソリンの値段が上がりだした?原油の価格が、上がりだしたのが理由だというけれど、それって早すぎない?そう思っている人も多いのではないだろうか。

原油の値段次第でガソリンの価格が上がったり下がったりするのは分かるけど、原油が下がってきたので、これからもっと下がると思ったのに、上がるときは原油の値段を敏感に反応して早く上がる。

ガソリンの値段って、下がるときはゆっくり、上がるときはすぐに上がる。そう思っている人が多いのではないだろうか。本当にそうなのか。



ガソリン小売り価格と原油価格の関係

まず、この1年間の原油の価格推移をグラフで示すと下のようになる。ちなみにここで取り上げたのはWTI(ウエストテキサスインタミディエート)と呼ばれる原油だが、この原油は世界的に指標原油として使われている代表的な原油だ。

原油(WTI)価格の推移

原油の値段は、昨年の5月から今年の1月までは、だいたい60ドルから70ドルの間で推移していた。ところが、今年1月下旬から急降下をはじめ、5月初旬には10ドル台まで下がってしまった。(このとき、一瞬ではあるが、0ドル以下まで下がったことがある)

その後、原油価格はやや持ち直して、現在は24ドルまで回復してきているというのが現在の状況である。

一方、日本でのガソリンの小売価格はどうだろうか。これもグラフで示したので見てほしい。(資源エネルギー庁HPより:ガソリン小売価格のデータは1週間ごとに出てくるので、棒グラフで示している)

ガソリン小売価格の推移

ガソリンの小売価格は昨年5月ころには150円をやや上回る程度の水準だった。その後、少し下がって143円から151円くらいの間を推移していたのだが、今年になって下がり始め、5月初めには125円を割る水準まで下がってしまった。現在(5月27日時点)、やや上昇して127円まで戻している。

では、原油価格とガソリン価格の関係はどうなっているだろうか。原油価格の推移とガソリン小売価格の推移の二つのグラフを重ね合わせてみたのが下の図である。

ガソリン小売価格と原油価格の関係

このグラフでおわかりのとおり、ガソリン小売価格は大体20日間ほどの遅れがあるものの、かなり忠実に原油価格の上がり下がりに追従している。

今年1月から原油価格が下がり始めたが、それから少し遅れて、ガソリン価格も下がり始めている。一方、原油価格は4月20日を底にして上昇に転じているが、ガソリンの小売価格も、やはり少しおくれて上昇し始めているのだ。

ただし、現在のところ、ガソリン小売価格の上がり具合は、原油価格の上昇に比べて、かなり緩やかであるように見える。

このように、原油価格が下がればガソリンも下がり、原油が上がればガソリンも上がるという関係にある。しかし、ガソリン価格は、「下がるときはゆっくり」で、「上がるときは急に」上がるということはない。(むしろ上がり方の方が鈍い)

ガソリン小売価格はどうやって決まるのか

ではなぜ、ガソリンの値段は下がるときはゆっくりと、上がるときは急に上がると、消費者は思ってしまうのだろうか。

ガソリンの値段は、ガソリンスタンドの経営者が自分の判断で決定するのが基本である。(だから同じガソリンでも安いスタンドと高いスタンドがある。)

1リッター120円まで下がったが…

しかしながら一方で、ガソリンスタンドの経営者は石油元売り会社からガソリンを仕入れているから、小売り価格は仕入れ価格を下回ることはできない。この石油元売り会社からの仕入れ価格を「仕切り価格」というが、ガソリンスタンドはこの仕切り価格に、様々な経費や利益を上乗せして、小売り価格を決めているのである。

   ガソリン小売価格=仕切り価格+ガソリンスタンドの経費と利益

という関係にある。

ただし、ガソリンスタンドが上乗せする分は 「 この原油安でガソリン価格は100円まで下がるか? 」 で述べたように、小売り価格の10%以下でしかないから、小売り価格はほとんど仕切り価格で決まってしまう。



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ガソリン価格は現在の原油価格を参考に決められている

では、仕切り価格を石油元売りはどう決めているかであるが、これは明らかではない。ただ、上のグラフに示したように、原油の現在の価格を基準にして決めていると考えていいだろう。

ちなみに、WTI価格から20日ほど遅れてガソリン小売り価格に反映されているが、これは中東から日本へのタンカー輸送の期間を考慮しているのだろう。

一方、消費者にとってみれば、ガソリンの値段が原油の価格を反映するのは分かるけど、備蓄や在庫分があるので、それが全部置き換わってから、小売りに反映されると思ってしまう。

つまり、いままで高いときに買ってきた原油を処理していたのだから、ガソリンの値段も高かったけど、これから安い原油が入ってきて、少しずつ在庫が置き換わっていくから、もっと値段が下がるぞと期待してしまう。

ところが、仕切り価格は備蓄や在庫を考慮せず、現在の原油価格を参考にして決められているから、原油価格が上がると即座に(実際には20日くらい遅れて)ガソリンの値段も上がる。それで、消費者にとってみれば、あれ?値上げが早いんじゃね?と思ってしまうのだろう。

それなら、備蓄や在庫を考慮して仕切り価格を決めるべきだと思われる方もいるかもしれないが、そうすると今度は原油の値段が下がったときに、いつまでもたってもガソリンの値段が下がらないということになるのだから、これは難しいだろう。

(2020年5月28日)

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