ガソリン価格の上昇 例の特例税制はどうなっているのか

最近、ガソリン価格が上がってきて問題になっている。
政府はこの対策として、全国の小売価格がリットルあたり170円以上となったら、石油元売会社に補助金を出して小売価格の低下を促すという。ちょっと待ってよ。それで本当にガソリン価格が下がるのか。

というのは、石油元売会社が小売価格をコントロールしているわけではないからだ。石油元売はガソリンスタンドにガソリンを卸す。その時の卸価格を仕切値という。この仕切値は多分、元売各社が原油価格や為替などを考慮した一定の計算式によって決めているのだろう。政府が例えば1円の補助金を出してくれれば、石油元売は1円下げた仕切値でガソリンを卸すことになる。だから卸し段階では、政府の目論見通りに値段は下がるだろう。

しかし、ガソリンスタンドはこの仕切値に様々な経費や利益を上乗せして小売価格を決めている。小売価格はガソリンスタンドの経営者が決めることだから、仕切値が下がったからと言って小売価格を下げるとは限らない。例えスタンドがエネオスや出光、コスモなどの看板を掲げていたとしても、小売価格まで元売りが口出しすることは許されない。独占禁止法違反となるからだ。だから、仕切値が下がった分だけ、小売価格を下げずにスタンドが自分の儲けにしてしまう可能性もある。

じゃあ、政府の補助金は全く効果がないのかというと、一定の効果はあるだろう。
例えばあるスタンドが171円で売れば、地域の顧客から政府の補助金を受け取りながら値下げしないと非難されることになる。だから、結局170円が上限ということになるだろう。ただし、ガソリンは地域的に高いところも安いところもある。もともと小売価格が安い地域では、本当は169円でもいいところを、170円まで上げても顧客は気が付かない。また、逆に原油価格が下がり出したとき、170円から下げないというガソリンスタンドも出てくるかもしれない。

一番いいのは、1ℓあたり53.8円もかかっている揮発油税を下げることだと思うが如何だろうか。揮発油税が下がれば、その分小売価格も当然下がる。
実は従来、160円を3か月以上にわたって超えた場合、揮発油税は28.7円まで下げることになっていた。記憶されている方もいらっしゃるだろう。ところがこの特例税制は東日本大震災のどさくさに紛れて、別に法律で定める日までフリーズ状態となっているのだ。そして「別に法律で定める日」はまだ決められていない。そうするうちに170円近くまで上がってしまったということだ。これは国会の怠慢ではないのか。

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