石油産業誌に記事が掲載されました(今後の世界の基礎化学品の需要と原料の予想)

今後の基礎化学品(メタノール、石油化学製品、アンモニア)の需要・生産状況の予想について、IEAのレポート(2018年)を中心に紹介した記事が、石油産業誌11月号に掲載されました。概要は次のとおりです。

1.メタノール:特に中国で伸びる
メタノールの生産量は2030年までに50%以上増加し、2050年にはほぼ2倍になる。特に中国は現在、世界の生産量の約半分を生産しているが、この割合いは2050年にも変わらない。メタノールの需要の35〜40%が燃料用で、ガソリンなどに直接添加して使用するか、MTBEやDMEに転換して使用されている。

2.石油化学製品:環境懸念にも拘わらず成長する
オレフィンおよび芳香族のような石油化学製品の需要は2050年までに約60%増加する。今後、様々な地域で人口と所得が増加することに伴って、プラスチックの消費は特に包装と建設用を中心として増加する。世界平均で、1人当たりの生産量は2017年に約47 kg /人だったものが2050年には60kg /人以上に増加する。欧州や日本などの先進国では、環境影響へ懸念からプラスチック消費の停滞が見られる。

3.アンモニア:肥料用が頭打ち
アンモニアは2030年までに15%以上、2050年までに30%以上の増加が見込まれる。特にアフリカと中東では、2050年までに生産量がほぼ2倍になる。アンモニアの主な用途は肥料であるが、先進国では飽和状態となり、発展途上国でも肥料効率が向上することによって販売量の伸びが抑制される。アンモニアは火薬、ナイロン、アクリル繊維、ニトリルゴムなどにも使用されるが、全体の10〜20%に過ぎない。

4.原料変化の動き
石油化学製品の原料としては現在ナフサや天然ガスが使われている。それ以外の原料としてはエタノールからエチレンを製造する技術などがある。化石資源以外の代替原料は2030年までに5倍に成長し、2030年から50年の間にほぼ3倍になるが、それでも2050年時点で、全体の2%を占めるに過ない。

基礎化学品原料の推移(世界合計)※HVCは石油化学製品

メタノールとアンモニアの原料は世界的には天然ガスであるが、中国では石炭を使用している。メタノールからオレフィンを製造する技術(MTO)が実用化されており、特に中国では今後、メタノールが石油化学製品の原料として使われる。ただし、中国ではメタノールの原料としては依然として石炭が使い続けられると予想されている。

2021年12月12日

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