電気自動車BEVに完全に舵を切ったトヨタ いよいよ燃料電池車FCVは撤退か?

トヨタは完全にEVに舵を切った

トヨタは12月14日に行われたバッテリー式電気自動車(以下BEV)戦略に関する説明会で、今後発売する予定のBEVのお披露目を行った。しかし、その演出が、また憎い。最初にbZシリーズ5台を並べ、それぞれの特徴について豊田社長自らが説明した。一度に5車種も。それだけでも驚くのだが、バックのカーテンが取り払われると、さらに11台の様々なタイプのBEVが姿を現したのだ。

米国エネルギー省が公表しているFuel Economy Guide Book(2021年版)によると、全米で15社53モデルのBEVが販売されているが、そのうち最も多くのモデルを出しているのがテスラとポルシェで、それでもそれぞれ14モデルと12モデルに過ぎない。その他の大半のBEVメーカーは1モデルか2モデルしか販売していない。(アメリカではどんな電気自動車(EV)が売られているか 53モデルのモーター出力、充電時間、走行距離、燃費など 参照)

そんな中、トヨタが一気に16モデルのBEVを公表したのだ。そしてトヨタはこれらのBEVをここ数年にうちに順次販売ルートに乗せていくという。さらにトヨタは2030年までにBEV30モデルを投入し、全世界で年間350万台の販売を目指すという。トヨタのBEVのラインアップは、世界中を見渡しても最大級である上に、この販売量である。トヨタは完全にBEVに舵を切り、一気に世界のトップを目指す戦略であろう。

FCVは撤退か

一方、トヨタは従来から燃料電池車(以下FCV)の開発に力を入れてきた。今後これはどうなるのか。この発表会でトヨタはBEV以外の電動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、FCV)にも引き続き注力し、車を販売する地域のエネルギー事情やニーズに合わせた事業を展開していくと語った。
しかし、今回の発表会で見せた「どうだ、トヨタはもうEVで出遅れているとは言わせないぞ」と言わんばかりの論調にFCVはすっかり色あせた感がある。では今後もFCVの開発は続けていくのだろうか。

今年初めの時点で、筆者が知る限り、世界的に見てもFCVを一般に市販しているメーカーはトヨタ、ホンダ、ヒュンダイの3社しかなかった、その後、ホンダはFCVから撤退しているので、現在は2社、4モデルだけになっている。
BEVは充電時間が長く、一充電で走れる距離が短いという欠点がある。これに対して、FCVは充填時間も走行距離もガソリン車並みというのが売りである。しかしながら、以前筆者が書いたように、乗用車タイプのFCVにはもう未来はないだろう。(燃料電池車に未来はあるか FCVが普及しない理由 参照)

一番の問題はFCVの燃料となる水素を供給する水素ステーションが少ないことである。いかにFCVが優れていたとしても、燃料の水素が供給されなければ走ることはできないから、これが解決しない限りFCVの普及は無理。

そして、ステーション1か所当たりの設置費用がガソリンスタンドの数倍もするのだから、今から水素ステーションがガソリンスタンド並みに充実するという可能性は現実的にほとんどない。おそらく、路線バスのような例を除いてFCVが普及することはないだろう。

トヨタは今まで水素ステーションの設置を水素供給会社に呼び掛け、政府もそれを補助してきた。いまさらFCVの旗を降ろすには忍びないであろうが、もうそろそろFCVは撤退の潮時ではないだろうか。

2021年12月16日

【関連記事】
アメリカではどんな電気自動車(EV)が売られているか 53モデルのモーター出力、充電時間、走行距離、燃費など
燃料電池車に未来はあるか FCVが普及しない理由

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。