次に経済発展するのはアフリカ諸国? 各国の人口の多い国ベストテンのグラフから

国連の世界人口予測

昨年11月に発表された国連の人口予測(World Population Prospects 2022)の中で興味あるグラフを見つけた。世界の国別人口の多い国ベストテンである。世界の国の中で人口の多い国、1990年、2020年の上位10か国の実績と2050年の予想を図示したものである。

世界でもっとも人口の多い国は昨年まで中国であった。しかし、その人口は減りつつあり、2022年時点で14億2,600万人だったが、2050年には13億人台まで減少すると見込まれている。一方、インドは同じ時期に14億1,600万人から16億6,800万人まで増加すると予想されている。実際に今年、中国はインドに抜かれて第2位になっている。

3位はアメリカで、1990年から2050年まで一貫して、その順位は変わらない。4位のインドネシアは人口は増加しているもののナイジェリアに抜かれて2050年には6位に下がる。

ウクライナで悲惨な戦争を行っているロシアは少しずつ人口が減少しており、1990年に6位だったが、2022年には9位に、2050年には14位まで後退する。わが日本はというと、すっかり忘れていたが1990年代には実は第7位で、世界の人口ベストテンに入っていた。しかし、2022年には11位とベストテンから転落しており、2050年にはこのグラフでは完全に無視され、いったいどこまで落ちたのか分からないほどである。

大陸別でみると1990年にベストテンに入っていたのはアジアが6か国で最も多く、その他は中南米、北米、ロシア、アフリカがそれぞれ1か国ずつであった。それが2022年になるとアジアが5か国に減り(日本が脱落したため)、代わりにメキシコがベストテンに入っている。

そして2050年の予測であるが、アジアは5か国で変わらず、ロシアとメキシコがベストテンから転落。一方、躍進が著しいのはアフリカ勢で3か国に増える。これは、2022年にすでにベストテン入りしていたナイジェリアのほかにコンゴ民主共和国とエチオピアがベストテン入りするからだ。そのほかは北米1(アメリカ)、中南米1(ブラジル)である。

特にコンゴ民主共和国は2022年時点で1億人以下(9,700万人)だった人口が2050年には2億1,500万人と2.2倍になる。ナイジェリアとエチオピアもそれぞれ1.7倍になると予想されている。中国、ロシア、メキシコが人口減になるのと対照的だ。

人口が増えた分だけその国のGDPが増える

この国連の報告書では、これから2050年にかけて人口が増加するのは、インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピアなど貧しい人が多い国ばかりだ。貧しい人々の住む国の人口が増え、豊かな人たちが減って行く。そういう未来となるのだろうか。

しかし、人口が増えることは経済にとっては悪いことではない。一人当たりのGDP、つまり一人当たりの稼ぎが変わらないとすれば、人口が増えれば単純に考えて、その分だけ国のGDPが増えることになる。

例えば、コンゴ民主共和国は人口が2.2倍になるのだからGDPも今の少なくとも2.2倍になるはずである。1国の国力、経済力としてみた場合、人口が増えればそれだけ、国力や世界での影響力が増えていくことになるだろう。

逆に日本のように人口が減っていくと、一人当たりのGDPが変わらないとすれば、人口減に伴ってGDPは減少していく。日本は今のところ世界第3位の経済大国であるが、やがてすぐに、その地位を他国に奪われることになるだろう。中国も人口減少に伴ってその経済力の伸びは鈍化していくか、日本のようにマイナス成長に転じるかもしれない。

人口ボーナスでもアフリカ勢は有利

人口ボーナスという考え方もある。人口ボーナスとは生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が小さくなることにより、経済が活性化することである。つまり、働き手が多くなり、働かない子供や老人の比率が少なくなることによって、生活に余裕ができて、個人消費が活発になり、経済が潤うことになる。

女性ひとりが生涯に産む子供の数を特殊出生率というが、この数字は世界的に低下してきており、これはアフリカも例外ではない。アフリカでは、最近生まれた子供が生産年齢に達するころには、出生率が低下し、育てなければならない子供が少なくなる。一方、人口膨張期以前に生まれた人たちは老人となるが、それほど比率は高くない。その結果、アフリカ諸国は人口ボーナスという点でも有利になるだろう。

人口が増えれば市場も大きくなる

人口が増えれば、当然、消費も大きくなり、市場としての規模も大きくなる。中国が経済的に発展した理由のひとつが、その市場規模であり、外国資本がその市場を狙って大挙して進出してきた。それと同じで、今後、人口が増えてくるアフリカ諸国にも海外資本が入り込み、また安い労働力を使って様々な工業製品を作り出す。そんな好循環-日本も韓国も、台湾も、そして中国も辿った道-がアフリカで生み出されるかもしれない。

先日、岸田首相がアフリカを歴訪してきた。日本はアフリカとはあまり密接な関係を築いてこなかったが、今後はアフリカとは良い関係を作っておく必要があるだろう。

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