韓国で尿素水不足が問題化 尿素を韓国内で作ればCO2削減になるのか

尿素はアンモニアから アンモニアは石炭から作られる

中国から輸入していた尿素水が輸入できなくなったことから、韓国では尿素水の不足が問題になっている。尿素はアンモニアから作られており、中国はこのアンモニアを石炭から作る。世界最大のアンモニア生産国でもある。中国はその石炭をオーストラリアから輸入していたが、これが途絶えたことから、まわりまわって韓国の尿素水が不足となっているわけである。
尿素水はトラックなどディーゼル車の排ガスを浄化するために使われるから、尿素水がなければ韓国のトラックは動かせない。トラックが止まれば物流も止まり、市民生活にも大きな影響を与えることになる。

尿素水の原料のアンモニアはCO2を出さない燃料として日本では盛んに喧伝されているが、この事件からも分かるようにアンモニアは石炭から作られるから、製造過程で大量のCO2を排出する。アンモニアを燃料として使ってもCO2の削減にはならない。むしろかえってCO2排出量は増えてしまうことになる。
今回の韓国の尿素不足は如何にアンモニアが石炭に依存しているかを図らずも示したことになった。

尿素製造はCO2削減になるか

この件に関して、韓国では尿素を国内で作るべきだと議論されている。尿素はアンモニアにCO2を化合させて作られる。

  2NH3    +   CO2    → (NH2)2CO + H2O
アンモニア 二酸化炭素     尿素   水

ここで使うCO2に工場などから回収したものを使えば、CO2の削減になると報道されている。しかし、これは全くのお笑い草である。なぜなら尿素をディーゼル車で使うと、製造した時に使ったのと全く同じ量のCO2が排出されてしまうからである。

ディーゼル排ガスに含まれる有害な窒素酸化物をアンモニアによって還元して、窒素と水という無害なものに変えるのが排ガス浄化装置である。アンモニアは取り扱いが難しいのでCO2と化合させて尿素にしてから水に溶かして尿素水として使う。排ガス浄化装置では尿素が分解して元のアンモニアに戻って還元剤として働くわけだ。
そして尿素がアンモニアに戻るときにCO2を排出する。この量は当然ながらアンモニアから尿素を作るときに使ったCO2と同じになるから、CO2の削減にはならない。

排ガス浄化装置の仕組み

こんなことも分からないのかと韓国を馬鹿にしてはならない。日本だってアンモニアをCO2の出ない燃料だと報道しているが、そのアンモニアを安直に中国などから輸入して使うなら、日本で削減した以上のCO2が輸出国で発生することになる。

2021年11月10日

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