石油が枯渇?または、その他の理由によって石油が日本に入って来なくなったらどうする

以前、よくあと30年で石油は枯渇するとか、いや40年だとか言われた時期があり、石油が枯渇したらどうなるのかという議論がさんざん行われたことがある。しかし、現在のところ石油が枯渇する兆候は見えない。

1970年代に起こったオイルショックのとき、世界の石油可採年数は30年だと言われたが、あれから50年以上経った現在、石油は枯渇するどころかその可採年数はむしろ増えている。だから石油が枯渇するという差し迫った状況にはない。

しかしながら、今年3月に起こったホルムズ海峡の封鎖という事件にみられるように、原油が枯渇しなくても供給途絶という事態は起こりうる。ホルムズ海峡封鎖でなくても、マラッカ海峡の封鎖もあるだろうし、台湾有事にはバシー海峡が封鎖されることもありうる。

あるいは別の原因、例えば地球温暖化によって南極の氷が大崩壊し、世界中の海面が何mも上昇するような事態になれば、石油はすぐに使用が禁止されることになるだろう。

石油の枯渇はすぐには起こらないが、石油の途絶、あるいは使用できないという事態は起こりうる。そのとき、我が国はどう対応するのだろうか。石油が枯渇するのならどうしたらよいのかという議論をもう一度蒸し返してみたい。

1970年代のオイルショック時と、今の大きな違いは、発電用として石油はほとんど使われていないことである。今でも石油が日本に来なくなると電気が使えなくなると誤解している人も多いようだが、現在、日本の電力は石炭や天然ガスによる火力発電、太陽光などの再生可能エネルギーおよび原子力であり、石油はほとんど発電には使われていない。

だから、石油が日本に来なくなっても電力は確保できる。ここが重要なポイントだ。もし石油が日本に入ってこなくなっても電力は使うことができるので、エネルギーはできるだけ電力にシフトしていくことが石油枯渇対策になるだろう。ただ、石油の用途は必ずしも電気で代替できるものばかりではない。

まず、暖房に使われる灯油やA重油については、電気を使ったエアコンで代替することができる。近年のエアコンは非常に性能が良くなっており、石油をそのまま暖房として使うよりずっとエネルギー消費量は少なくなっている。

石油製品のうちガソリンは主に自動車用燃料として使われているが、これについてもエネルギー源は電気、すなわち電気自動車(EV)に代わって行くことになるだろう。

日本では乗用車販売量に占めるEVの比率は3%程度に過ぎないが、世界平均では25%、つまり4台に1台がEVとなっており、EVは技術的には既に完成した技術となっている。

しかし、軽油もついては代替が難しい。これがなくなるとトラックなど物流が止まってしまう。また、建設機械や農業機械なども動かせなくなり、日本経済には大きな打撃になる。トラックなどもEV化の試みはあるが、車重が大きくなるうえ、充電時間が長いことなどから、かなり難しいだろう。

船舶の電動化も一部で電気を使った例があるが、かなり難しいといわれている。ジェット機の電動化は不可能といっていい。

これらについては、トウモロコシやサトウキビ、植物油から作られるバイオ燃料すなわちバイオエタノール、バイオディーゼル、HVOが有望である。バイオ燃料は世界的には多くの地域で既に大量に使われており、石油代替燃料としてすぐに採用できる方法である。

また、トラック燃料としては水素を使う方法が検討されている。水素の最も大きな問題は水素の供給インフラが整備されていないということである。水素はそれをトラックに供給する水素ステーションを全国に建設することが必要となるため、すぐには対応できない。

石油はエネルギー源だけでなく、プラスチックや合成ゴム、合成繊維その他の化学製品の原料ともなっているから、この代替も考えなければならない。

これについては、石炭や天然ガスから製造することも可能であるが、バイオ燃料と同様にトウモロコシやサトウキビなどから作られるバイオエチレンや植物油から作られるバイオナフサ使用することも有望である。

あまり知られていないことだが、日本では既にレジ袋や包装用のプラスチックにはかなりの割合でバイオ資源から作られたプラスチックが混合されている。バイオプラスチックの混合割合はBPマークで表示されているので、気が付いたら見てほしい。

以上のように、石油の代替手段はいろいろあり、一部では既に使用されているが、といっても、ある日突然、石油の輸入が止まった場合は大混乱に陥ることになるだろう。

日本には現在200日分、つまり約半年分の備蓄原油があるが、この備蓄をできるだけ節約したとしても、石油以外のエネルギー源あるいは材料に完全に切り替えていくのはかなり困難だろう。

かつて、日本は大量の石油を発電用として使用していたが、次第に石油以外のエネルギー源にシフトしていった実績がある。発電以外の石油の用途についても、少しずつ代替品へのシフトを検討していく必要があるのではないだろうか。

2026年11月8日

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