朝日新聞のウェブ版である朝日デジタルのSDGs Actionコーナーに記事「脱炭素化に向けて注目のバイオ燃料 原料や問題点、作り方などを解説」が掲載されました。主に自動車用バイオ燃料の基本的な解説をしました。
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脱炭素化に向けて注目のバイオ燃料 原料や問題点、作り方などを解説:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)
朝日新聞のウェブ版である朝日デジタルのSDGs Actionコーナーに記事「脱炭素化に向けて注目のバイオ燃料 原料や問題点、作り方などを解説」が掲載されました。主に自動車用バイオ燃料の基本的な解説をしました。
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脱炭素化に向けて注目のバイオ燃料 原料や問題点、作り方などを解説:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)
「イタリアで実用化「CO2バッテリー」の可能性は」と題する記事がオルタナに掲載されました。再生可能電力のシェアが増えるにしたがって、不安定な電力を貯蔵して平準化する技術の開発が進められています。そのひとつがイタリアのスタートアップ企業で進められているCO2バッテリー。この記事ではCO2バッテリーについて紹介しています。
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最近、肥料の価格が上昇している。この価格上昇の原因について、多くのマスコミはウクライナ戦争の影響だと報じているが、本当に戦争の影響なのだろうか。
肥料には様々な種類があるが、一般に窒素、リン、カリウムという三つの元素を含むものが用いられる。この三元素は植物の成長にとって必要であるが、不足がちなため外部から補ってやることによって成長が促進され、農作物の収穫量を増大させることができる。その肥料の価格が最近、急上昇していることから食料生産に影響を与えるのではないかと懸念されている。
肥料価格が上昇している原因について、日本のマスコミの多くは今年2月に勃発したウクライナ戦争の影響と報じている。(例えば、時事通信社6月2日、NHK6月1日、共同通信社5月31日など)しかし、肥料価格の高騰は本当にウクライナ戦争が原因なのだろうか。
上の図は肥料の国際的な価格推移を示したものである。リン、カリウム、窒素それぞれについての代表的な供給形態であるリン酸アンモニウム、塩化カリウム、尿素について示している。
この図からは、肥料価格が全般的に上昇しているのが分かる。しかしながら戦争が始まったのは今年2月24日である。確かに塩化カリウムについては、開戦時に大幅な価格の上昇を記録しているが、それ以外は実は戦争が始まった時期よりかなり以前から価格の上昇が始まっていたのだ。
リン酸アンモニウムの原料はリン鉱石とアンモニアであるが、リン鉱石を最も採掘しているのは中国で、続いてアメリカである。ロシアも産出するが、その量は中国の10分の1程度に過ぎない。価格については確かにウクライナ戦争の影響はあるが、価格の上昇はそれ以前から始まっていたのである。
ちなみに、日本が輸入するリン酸アンモニウムは9割近くが中国産で、1割がアメリカ産。ロシアからの輸入はほとんどない。
塩化カリウムについては、その原料はカリウム鉱山から産出する。生産国はカナダ、ロシア、ベラルーシ、ドイツなどである。その価格は明らかに今回の戦争が原因で上昇している。これは今回の戦争で戦場となった黒海が塩化カリウムの積み出し港であることが大きい。
日本の塩化カリウム輸入については、63%がカナダからであるが、ロシアとベラルーシからも合計で25%ほどを輸入しているから、影響は少なくないであろう。
最後に、尿素であるが、この尿素の需要量が三元素の中で最も大きい。その原料はアンモニアである。カリウムやリンが鉱物資源であるのに対して、アンモニアの原料は窒素と水素である。窒素は空気中からいくらでも取り出すことができるし、水素は天然ガスや石炭などから取り出すことができるから、世界中どこでも生産することができる。
実際、我が国でも宇部興産、三井化学、昭和電工、日産化学などで生産されており、我が国で使用されるアンモニアの77%が国産である。
世界的にはアンモニアの主な生産国は中国、ロシア、アメリカ、インドである。尿素の価格もウクライナ戦争の影響を受けてはいるが、その前、特に2021年後半から上昇が始まっている。実はこの価格高騰の理由ははっきりしている。それは中国である。
世界最大のアンモニア生産国である中国は石炭を使って水素を作り、その水素と空気中の窒素からアンモニアを作っている。中国はその石炭をオーストラリアから輸入していのだが、オーストラリアと中国との関係悪化によって、石炭の輸入が止まった。
その結果、中国国内でアンモニアを原料とする尿素が不足。このため、2021年10月から尿素の輸出を制限している。これが、尿素価格高騰の理由のひとつである。
そのほか、リン酸アンモニウムと尿素については、原油価格高騰の影響も大きいと思われる。下の図で示すように原油(WTI)価格は2020年4月を底にして、それ以降、上昇を続けている。これによって石炭や天然ガスの価格も上昇し、これを原料とするアンモニア価格が上昇。アンモニアを原料とする尿素やリン酸アンモニウムの価格も上昇しているのだろう。
結局、ロシアが世界第2位の生産国となっているカリウムについては、確かにウクライナ戦争の影響が強くみられるが、窒素とリンについては、むしろ原油価格の影響が大きい。
最近、日本国内ではいろいろな物の値段が上がっている。その理由としてウクライナ戦争の影響と報じられることが多いが、実際は原油価格上昇の影響がジワジワと現れてきているというのが実際なのではないだろうか。
今年4月23日、北海道知床沖で遊覧船KAZUⅠが沈没するという事故が起こった。この記事を書いている時点で、乗員14名が遺体で見つかり、12名がいまだに行方不明である。
事故原因については、これから本格的な調査が始まるだろうが、強風波浪の中を出港したことに非難が集まっている。波やしぶきが船に打ち付け、開口部から海水が入り込み、その重みで沈没したのだろうか。あるいは、船底に3か所の穴が開いているということから、航行中に何かが衝突して穴や亀裂が生じたのか。あるいは過去の衝突事故の修理に不備があったのか。
実は、事故を起こした観光船KAZUⅠはプラスチック製だ。プラスチック製といっても、プラスチックをガラス繊維で強化したFRPと呼ばれる物。この記事ではFRPとはどんなものかを簡単に紹介したい。
FRPは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略である。繊維とプラスチックを混ぜ合わせて固めた物。繊維としてはガラス繊維が使われることが多いが、炭素繊維や各種の合成繊維が使われることもある。ガラス繊維はその名のとおり、ガラスを繊維状に引き延ばしたものだ。
一方のプラスチックの方だが、これはエポキシ樹脂やフェノール樹脂が使われる。プラスチックと言ってもポリエチレンや塩ビのような、熱すると溶ける、冷えると固まるという熱可塑性樹脂ではない。通常は粘度の高い液体の樹脂だが、硬化剤という薬剤を加えると、分子同士が結合し合って、網目状のさらに大きな分子となって固化する。
成型するときは、あらかじめ作っておいた型にシート状のガラス繊維を張り付けておき、これにプラスチックと硬化剤を混ぜ合わせたものを浸み込ませていく。時間が経つと固まるので型を外して出来上がりだ。
プラスチック自体は軽くて加工が容易であるが、脆くて衝撃に弱いという欠点がある。FRPなら繊維がプラスチックの脆さを改良して強靭な材料とすることができる。
例えば、プラモデルはポリスチレンというプラスチック製だ。これを金づちでたたけば、壊れてばらばらになってしまうだろう。もしこのプラモデルをFRPで作ったらどうなるか。金づちでたたけば壊れるが、柔軟性のあるガラス繊維がプラスチックの飛散を食い止めるからへこみはするが、ばらばらになることはない。ただし、亀裂は入るだろう。
もしプラモデルを金属のブリキで作ったらどうなるか。金づちでたたくと、へこんでしまうが、もちろんばらばらになることはない。余程激しくたたかない限り亀裂も入らない。
このようにFRPはプラスチックだけの場合に比べて、衝撃には強い。ただし金属に比べれば脆くて、亀裂が入りやすい。
FRP船の船体に、浮遊物や岩礁など何か堅いものが衝突すれば、その部分はへこむだけでなく亀裂が入ることがあり、そこから海水が侵入することはありうる。また、KAZUⅠは今回の事故を起こす前に2回も衝突事故を起こしている。このときFRP製の船体はばらばらにはならないだろうが、へこんだり、亀裂が入ったりしているだろう。寒冷地では亀裂に水が入り込み、その水が凍結、融解を繰り返して亀裂を大きくしてしまう可能性も指摘されている。
これから、この事故の原因が究明されていくだろうが、このような事故が繰り返されないように、万全の対策を取ってほしい。
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今年(2022年)4月、わずかな時間ではあるが、アメリカのカリフォルニア州で消費される電力のほぼ100%が再生可能電力で賄われたというニュースが飛び込んできた。(例えばhttps://www.abc10.com/article/weather/california-renewable-energy/103-98fa3c6b-7763-4e35-b4f0-6162c0c0774a)
カリフォリニアは確かに環境意識の高い州で、再生可能エネルギーに力を入れているが、ここまで進んでいたのかと驚かされる。
日本では全発電量に占める再生可能電力のシェアは2020年で約20%に過ぎない。そのシェアは大分増えてきてはいるが、100%には程遠い。日本では太陽光パネルを設置する平地が少ないとか、風力発電に向いた土地が少ないとか、いろいろな理由が挙げられている。
しかしそれだけではない。電力供給が不安定になるという理由で、再生可能電力の割合がある程度以上になると、系統に接続しない。いわゆる出力制御が日本では行われる。つまり発電量が増えると再生可能電力様お断りという制度である。これも再生可能電力増加の妨げとなっている。
今回、カリフォルニアでは再生可能電力のシェアがほぼ100%に達したわけであるが、このためには、再生可能電力の設備能力が十分あることはもちろんであるが、日本のような出力制御を行えば、当然100%シェアを達成することはできないはずである。カリフォルニアでは、この問題をどのようにクリアしているのだろうか。検証してみたい。
カリフォルニア州で再生可能電力の割合がほぼ100%に達したのは、2022年4月30日の14時50分。わずか2分間程度の時間であるが、州の電力需要のほぼ100%、正確に言えば99.87%が再生可能電力で賄われたという。たったの2分間といっても、その前後のかなりの長時間にわたって再生可能電力のシェアは90%を超える高率であった。
下の図は、当日のカリフォルニア州の電力供給源の推移である。少し細かく見ていきたい。
午前0時から6時ころまでは夜間であり、太陽光がないため、再生可能電力はそれほど多くはない。風力と水力が中心であろう。足りない電力は主に天然ガス火力発電と原子力、それに近隣の他州からの受電で賄われる。
午前6時頃、太陽が昇るとともに、太陽光発電が電力を産み出し始める。時間の経過とともに、太陽光発電量がどんどん増えていき、これに伴って天然ガス火力発電と電力輸入量がどんどん減って行く。
やがて、天然ガス火力発電は2,300MW程度で下げ止まる。おそらく、これが天然ガス火力発電の最下限値で、これより発電量を下げることができないのだろう。この電力量はカリフォルニア州内の原子力発電量とほぼ同じある。
しかし、そのあとも太陽光発電量はさらに上昇して行くため、他州からの受電量が減らされていく。そして、8時30分頃から逆に電力を他州へ送電するようになる。
そして、14時50分。ついに再生可能電力量がカリフォルニア州の電力需要量と同じ、つまり再生可能電力のシェアがほぼ100%となる。このときの各発電源の発電量は次のとおりであった。
カリフォルニア州内の電力需要は、総発電量から州外への送電量とバッテリー貯蔵量を除いた電力量、すなわち19,369MWに等しいと考えられる。一方、このとき発電された再生可能電力量が19,219MWであるから、ほぼ同じ。再生可能電力のシェアは99.2%となる。
計算に用いたデータは5分毎に更新されるから、おそらく、次のデータ更新までの5分間の内の2分間で再生可能電力シェア99.87%を達成したのだろう。
その後、この状態はしばらく続き、太陽が西に傾く17時30分頃から太陽光発電量は急速に低下しはじめる。それを補うために、天然ガス発電量が増え始め、さらに他州からの受電量が増えていく。その後、19時半ころから、各電源の発電量はほぼ一定となる。
当日は、以上のような一日で推移した模様である。
ここで気を付けることは、再生可能電力のシェアがほぼ100%になったとはいえ、火力発電や原子力がゼロになったわけではないということである。この非再生可能電力量はどうなったかというと、その電力量とほぼ同じ量が他州へ送電、あるいはバッテリーへの蓄電に使われたのである。
といっても、カリフォルニア州が必要とする総電力量とほぼ等しい量の電力が、再生可能電力として発電され、送電線に送りこまれたことは事実である。
なぜ、カリフォルニア州が必要とする電力のほぼ100%の再生可能電力を供給することができたのか。基本的には以下の条件がそろっていたのだろう。
電力需要が少なかった
もともとカリフォルニア州は気候の良い場所である。夏は涼しく、冬は暖かい。特に4月や5月は冷房も暖房も必要ないので、消費電力量は少ない。
再生可能発電量が多い
当日、電力需要が少なかったとはいえ、その需要に相当するだけの再生可能発電能力を持っていなければ100%シェアは達成できない。カリフォルニア州には、現在15,000MWの太陽光発電と8,000MWの風力発電の能力がある。このほかに、地熱、小規模水力発電、バイオ燃料発電設備など、様々な再生可能発電設備がある。
州外との送受電が可能
日本のように周りを海に囲まれているわけではないので、州境を越えて、容易に電力の受電、送電が可能であり、これによって電力の過不足の調整をすることができる。
当たり前のことだが、太陽光は日が照っているときだけ、風力は風が吹いているときだけしか発電することができない。そのため、これらの再生可能電力発生量が少ないときには、何らかの手段で不足分を補わなければならない。逆に多すぎると系統への流入を制限しなければならない。これが出力制御である。
一般に、発電量の調整は火力発電で行っている。再生可能電力が少ないときは火力発電を増やし、逆のときは火力発電を減らす。しかし、火力発電も最低のリミットがあるから、完全にゼロとすることはできない。また、原子力発電は出力の調整が効かないやっかいな電源である。
したがって、火力発電の最低発電分と原子力発電分は再生可能電力に置き換えることはできない。これに再生可能電力を加えた総発電量が需要を上回る場合は、再生可能電力の方を削ることになる。こう考えると、再生可能電力で需要を100%カバーすることはできない。
では、カリフォルニアでそれが可能になったのはなぜだろうか。その理由は州外との送受電である。今回の例では、再生可能電力量がピークに達した時には、原子力と火力発電の最低発電量に相当する電力を州外に送電することで、出力制御を回避している。
我が国での出力調整の優先順位は次のようになっている。
①火力→②揚水→③大型バイオマス→④太陽光・風力→⑤原子力
つまり、太陽光や風力の発電量が多くなると、まず火力や揚水式水力発電を減らし、続いて再生可能電力の中でも出力調整が可能なバイオマス発電の出力を絞るか停止する。それでも電力が余る場合は、太陽光や風力の出力を削ることになる。
デンとして動かないのが原子力。それに火力の最低出力分のシェアが残るから、日本ではいくら太陽光や風力を強化しても再生可能電力のシェアを100%にすることができない。
ではカリフォルニアのように域外との電力のやり取りが、日本ではできないのだろうか。これについては、日本では地域を越えた送電線の容量が小さいため、あまり大量には送受電ができないようである。特に、九州や北海道は本州との連携線容量が小さい。また、東日本では50Hz、西日本では60Hzという周波数の違いもある。
そのほかにも日本とカリフォルニアには以下のようなの違いがある。
① 日本では再生可能電力の大半が太陽光であるのに対し、カリフォルニアでは太陽光の他に風力や地熱、バイオマス発電など再生可能発電の種類が多いから、昼間と夜間の発電量の差が小さい。
② カリフォルニアは出力調整ができない原子力発電の比率が比較的小さい。(例えば出力制御がよく行われる九州電力管内では、原子力発電のシェアが26%もある)
③ カリフォルニアでは比較的大規模なバッテリー貯電設備があり、余剰電力の平準化を行っている。
確かにカリフォルニアは再生可能発電に適した土地柄であるが、それだけではなく、その利点をうまく生かしている。日本はただカリフォルニアをうらやんでいるだけではなく、日本に適した再生可能電力をうまく生み出す工夫が必要ではないだろうか。
今後、日本が脱炭素社会を目指していくなら、カリフォルニアから学ぶことは多い。
2022年5月14日
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12日、米国のバイデン大統領はアイオワ州で行われた講演で、バイオエタノールを15%含むガソリン(E15)の販売を夏場も認めると発表した。バイオエタノールはガソリンよりも安価であるため、日本と同じように米国においても問題となっているガソリンの価格高騰を抑える効果があると期待されている。
しかしながら、バイオエタノール15%ガソリンの夏場販売とはどういうことか。なぜ今までやってこなかったのか。このあたりは、なかなか日本では理解し難い込み入った事情がある。また、日本でもバイオエタノールを導入すれば、ガソリンは安くなるのだろうか。少し解説してみたい。
バイオエタノールは1970年代、石油ショックによって原油の価格が高騰した折に、米国はバイオエタノールをガソリンに混ぜて使うことを奨励した。これがバイオエタノールが導入されるきっかけとなった。
バイオエタノールはトウモロコシから製造され、トウモロコシは米国中西部のコーンベルトと呼ばれる大穀倉地帯で栽培される。つまり、バイオエタノールは米国にとって純国産エネルギーである。だから中東や南米などから輸入される原油に比べて供給が安定している。
石油ショックが終わったあとも、バイオエタノールには大気汚染を防止する効果があるとされて使用が続けられ、そのガソリンへの混合割合も次第に増えて行った。現在では米国内で収穫されるトウモロコシの約30~40%がバイオエタノールの製造に使われ、全米で販売されているガソリンのほとんどには制限いっぱいの10%のバイオエタノールが混合されている状態となっている。このバイオエタノールを10%含むガソリンはE10といわれている。
では今後、これ以上にバイオエタノールの使用量を増やすためには、どうすればいいか。それは、ガソリンへの混合量を10%以上に増やすか、あとは輸出するかしかない。
実は、米国ではガソリンへのバイオエタノール混合率を10%とする制限が数年前から緩和されて、E15の販売が認められているのである。しかしながら、E15を使用すると一部の車両に不具合が発生するとして、自動車業界からの反発に会い、使用できる車両が制限されている。
このため、米国ではE15はあまり普及していない。E15を販売しているガソリンスタンドは全米のガソリンスタンドのうちの1.3%しかないというのが実情である。
もうひとつの問題は、バイオエタノールの混合量を増やすとガソリンが蒸発しやすくなるというちょっと変わった現象が起こることだ。蒸発したガソリンは大気中に漂って、光化学スモッグの発生やオゾン層の破壊につながる。そのため、気温の上がる夏季はE15の販売が規制されていた。今回のバイデン大統領の発言は、この夏季においてもE15の販売を許可しようとするものだ。
では、これによってガソリン価格の高騰を抑える効果があるのだろうか。米国のある報道機関の試算によると、サウスダコタ州のE15の平均価格は1ガロン当たり3.25ドルであり、E10 は3.43ドルだから、これだけ見ればE15の方が18セント安いということになる。
しかしながら、バイオエタノールはガソリンよりも持っているエネルギーが低いから、1ガロンで走行できる距離も短くなる。その結果、E10で1マイル走った時のガソリン代が16.33セントに対してE15の場合は16.47セントとほとんど変わらなくなってしまう。
バイデン大統領のE15に関する今回の発言は、ガソリンの価格抑制策というより、E15普及に向けたトウモロコシ農家へのリップサービスという意味が強い。発言した場所もイリノイ州。まさにコーンベルトの真っただ中の州なのだ。
といっても、今後、さらに原油価格が上昇していくなら、バイオエタノールの価格的な優位性が目立ってくることになる。また、バイオエタノールの使用は地球温暖化の緩和にもつながるし、さらに、これが一番重要なことかもしれないが、米国のトウモロコシ農家にとって、E15の普及は大きな福音となるだろう。
ともかく、今後、米国のガソリンはE10からE15に次第に置き換わっていくのではないだろうか。
では、我が国でもバイオエタノールを導入すればガソリン価格は下がるのだろうか。日本でも、いまのところ3%以下に制限されてはいるが、バイオエタノールをガソリンに混合して販売することは可能である。
実は、エネオスやコスモ石油がバイオエタノールを輸入してETBEという物質に加工して、ガソリンに混ぜて一般に販売しているのだが、量も少ないのであまり目立たない。
しかし、これから原油価格が上がってきて、輸入コストを考慮してもバイオエタノールの方が安いということになれば、バイオエタノールをガソリンに混合して値上がりを押さえる効果が狙えるかもしれない。中東のような不安定な国からの輸入に比べれば、エネルギー安全保障上も有利だし、もちろん、地球温暖化防止と言う役割も期待できる。
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昨日4月9日、ロシアの通信社であるスプートニクニュース(日本語版)が、「米国 ロシアからの原油輸入を1週間で43%も増量」とする記事を掲載した。ロシア安全保障会議のポポフ副書記が明らかにしたという。「米国は、欧州に対しては対ロシア制裁を強要しながら、米国自身はロシアからの原油輸入を続けているだけにとどまらず、先週はその供給量を43%増の日量10万バレルにまで増やした。」と。
つまり、米国は欧州にロシアの資源を買うなと指示しながら、自分はロシアから原油輸入を続けており、それどころか48%も輸入量を増やしたというのである。日本でもこの記事を読んで、これは米国の背任行為だと憤慨する人もいたようである。
本当にロシアからの原油輸入量は増えているのだろうか。
米国にはEIAと言う機関があり、エネルギーに関する非常に詳しいデータを収集して、公表している。その膨大なデータの中から米国がロシアから輸入している原油の量を週ごとにまとめてグラフにしてみたのが下の図である。
全体に大きなばらつきがあるが、スプートニクの記事とは逆にロシア産原油の輸入量は少しずつ減少する傾向にあることが分かる。
では、スプートニクの記事でいう、48%増加したというのはどこのことを言うのだろうか。これはどうも、今年3月の第4週のことらしい。第3週の輸入量は日量で7万バレル、第4週は10万バレルであるから、だいたい48%増加している。これは、図の中の赤丸で示した部分に相当する。
つまり、米国がロシアから輸入している原油の量はここ1年で減少しているが、3月後半の第3週と第4週だけを比較すると少しばかり増えているという話である。
ちなみに、米国は世界第1位、ロシアは世界第3位の原油生産国であり、両国とも原油の輸出国でもある。したがって、米国はそもそもロシアから原油を輸入する必要はない。実際、2021年における米国の原油消費量(日量平均9億8700万バレル)のうち、ロシア原油が占める割合は0.07%に過ぎなかった。一方、ロシアが米国に輸出してる原油の割合も全輸出量のわずかに1%であった。
つまり、互いに原油を輸出入する必要がなく、したがって量も少ない。そのため週ごとの変化も分母が小さいために、ばらつきが大きくなってしまう。(たとえばタンカー1隻で200万バレルくらいの原油を運ぶから、石油タンカー1隻の入出港が遅れただけで、日量10万バレルくらいのばらつきは簡単にでてしまう)
たまたま3月の終わりの週で原油の受け入れ量が、その前の週に比べて3万バレルほど大きくなったが、これは単にばらつきの範囲にすぎない。これをスプートニクニュースでは米国が意図的に輸入量を増やしているかのように報道したというわけである。
確かに米国のロシア原油輸入量が48%増えたという数字はあるが、それはほんの1週間だけを切り取った数字であり、全般的にはロシアからの原油輸入量は減ってきているのである。スプートニクの記事はフェイクニュースと言っていいだろう。
ちなみに、米国はロシアからの石油、石炭、天然ガスの輸入を全面的に禁止する措置を取っており、4月の第1週目はロシアからの原油輸入量は見事にゼロとなっている。
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最近、バイオディーゼルに関するニュースをよく目にするようになってきた。
例えば、マツダが鈴鹿で行われるスーパー耐久レースにバイオディーゼル仕様車を投入するとか、大型フェリーでバイオディーゼルを使うとか、空港の荷物牽引車をバイオディーゼルで走らせるとか、レボインターナショナルという会社がバイオディーゼルの生産設備を増強するとか。中にはとんこつラーメンからバイオディーゼルを作るなんてのもある。
では、バイオディーゼルとはいったい何なのか。
自動車に使われるバイオ燃料は大きく分けて2種類ある。ひとつはバイオエタノール。もうひとつがバイオディーゼルだ。バイオエタノールはガソリンエンジン(オットーエンジン)の燃料、バイオディーゼルはもちろんディーゼルエンジンの燃料として使われる。
ガソリンエンジンの場合、燃料は一旦蒸発させて空気と完全に混ぜてからシリンダーに送り込まれる。前もって空気とよく混ぜられているから完全燃焼しやすく、きれいに燃えてくれる。ただ、当然ながら燃料は蒸発しやすい、つまり揮発しやすいことが条件となる。その点、バイオエタノールは揮発性があるので、ガソリンエンジンに使われるわけだ。
一方、ディーゼルエンジンの場合は、燃料は蒸発させるのではなく、燃料噴射ノズルから高速で噴射させ、霧状にしてシリンダーに供給される。霧状になった燃料はシリンダー内で高温になった空気と接触し、接触したところから順次燃焼していく。
だから、ディーゼルエンジンの場合、燃料に揮発性は必要なくて、極端に言えば液体で燃える物なら何でも燃料にすることができる。つまり、ディーゼルエンジンは使える燃料の幅がかなり広いのだ。
では石油以外で、液体で燃える物にはどんなものがあるだろうか。まず思いつくのが植物油。実際、ルドルフ・ディーゼルがディーゼルエンジンを発明したとき、彼が最初に使った燃料はピーナッツから作った植物油だったそうだ。
ただし、植物油には大きな問題がある。粘度が高すぎるのだ。つまりねばっこい。軽油のようにさらさらしていない。だからそのままディーゼルエンジンに使うと燃料噴射ノズルから噴射させても細かな霧状にはならない。だから、そのまま燃やすと不完全燃焼を起こして黒煙もうもうとなってしまう。
では、植物油の粘度を下げるにはどうすればいいか。ここは油脂化学者に登場願おう。かれは事も無げに言うだろう「植物油の粘度を下げたい?それならエステル化すればいいんですよ」と。
方法はこうだ。まず植物油にメタノールという天然ガスから作られたアルコールと、触媒の水酸化ナトリウムを入れて混ぜて、60℃に加熱する。すると植物油が脂肪酸メチルエステル(FAME)というさらさらした油と、どろどろしたグリセリンに分離してくる。さらさらした方がバイオディーゼルだ。この方法はとても簡単なので原料と鍋さえあればできてしまう。
実はこれ、工業的に石鹸を作るときに使われる方法の一部だ。だから石鹸工場でバイオディーゼルを作ることができる。ヨーロッパでバイオディーゼルが大量に作られはじめたのは、製造方法が石鹸工業として既に確立していたからだろう。
ただし、このバイオディーゼルにはいくつかの問題がある。まず、酸化しやすい。要はてんぷら油だから少しずつ劣化してくる。貯蔵中に沈殿ができたりする。
作るときにグリセリンができてくるのも問題。きちんと精製すれば化粧品にも使えるが、普通は廃棄物になってしまう。グリセリンの分離が悪いとエンジンのフィルターを詰まらせたりする。原料に使われるメタノールは天然ガスという化石燃料から作られるから、完全にカーボンニュートラルじゃない。酸素原子が含まれているので燃費が悪くなる。などなど。
だから、バイオディーゼルを自分の自動車に使おうとするときは、ちょっと勇気がいる。精製度の悪い物や古い物を使うとエンジンが壊れてしまうからだ。市販の軽油にバイオディーゼルを混ぜて売ってもいいけど、混ぜる量は5%以下にしなさいと法律で決められているのもこのためだ。
ではどうするか。ここは石油化学者に登場願おう。かれは事も無げにいうだろう「植物油の粘度を下げたい?簡単ですよ。水素化分解すればいいんです」と。
水素化分解と言うのは例えば重油のような粘度の高い大きな分子をもつ油を、いくつかの小さな分子にばらばらに分解して、灯油や軽油やジェット燃料を作る方法である。このとき水素を使うので水素化分解という。この方法はすでに確立した技術で、多くの製油所で実際に使われている。
この方法を植物油に使えば、軽油やジェット燃料ができてくるはず。というのは石油技術者ならだれでも考えつく方法だろう。そして、それを実際にやったのがフィンランドのネステオイルという石油会社である。
この方法を使えば、従来のバイオディーゼルの欠点はすべてなくなり、それどころか石油から作られたディーゼル燃料さえ上回る優れた品質を持つことになる。このような方法で作られたバイオディーゼルは水素化バイオディーゼル(HVO)あるいは第二世代バイオディーゼルと呼ばれる。一方、従来の方法で作られたバイオディーゼル(FAME)は第一世代だ。
第二世代バイオディーゼルを自動車燃料として使うときには第一世代のような問題は起こらない。100%濃度でも安心して使える。いや100%濃度ならむしろ性能が良すぎてもったいないくらいなのだ。
ただひとつの欠点は、これを製造するには400℃程度の高温と5MPa程度の高圧が必要となることだ。このため第一世代のバイオディーゼルのように、鍋や釜を使って裏庭で作るというわけにはいかない。石油精製装置並みの巨大なプラントが必要となる。
このような製造装置の建設には百億円単位の費用がかかるのだが、くだんのネステオイル社はこの装置をフィンランドに2基、シンガポールとオランダに1基ずつ持っていて、HVOは今やネステオイル社の稼ぎ頭となっている。
世界的には特にヨーロッパ、アメリカ、ブラジル、インドネシアなどでバイオディーゼルが大量に製造され、その量も増えつつある。これらの国々で共通しているのは、いずれも農業国ということ。自国で採れるパーム油やナタネ油などの植物油を使って作られている。
では日本ではどうなのか。
先に挙げたレボインターナショナル社の新工場や空港で牽引車を走らせる燃料は第一世代。原料は一度料理に使ったあとに出てくる廃食用油を原料としている。ただし、廃食用油は量が限られるのが問題だ。つまり製造量が増やせない。
マツダのスーパー耐久レースやフェリーで使われるバイオディーゼルはユーグレナ社が提供する第二世代である。こちらの原料はミドリムシという微生物を国内で繁殖させて採取される油脂だ。ただし、ユーグレナ社は廃食用油も併用していると言っているので、ミドリムシ油は原料として何か問題があるのかもしれない。
以前紹介したMOIL社のバイオディーゼルも第二世代。原料は国内で栽培されるカメリナというナタネの一種から採油した植物油であるが、こちらはこれから試験製造プラントの建設が始まるところである。
日本は2050年を目標にCO2排出量を実質的にゼロとするカーボンニュートラル社会に進んでいる。自動車についてはガソリン車や軽油車を電気自動車に置き換えようという動きが盛んであるが、ちょっと待ってくれ。電気じゃなくてもバイオエタノールやバイオディーゼルでもカーボンニュートラルは達成できるのだ。
話は飛ぶがジェット機は電気で飛ばそうとしても、これは無理(バッテリーが超重たいので)。だからバイオでジェット燃料を作ろう(SAF)と開発が世界的に進められていて、一部ではすでに定期便にも使用されている。JALやANAでも試験飛行を行っている段階だ。
ちょっと驚かれるかもしれないが、実はバイオジェット燃料と第二世代バイオディーゼルはほぼ同じものなのだ。だから、将来はバイオジェットと第二世代バイオディーゼルが同じプラントで作られるようになり、一般にも普及していくかもしれない。そうすれば今のトラックやバスなどのディーゼル車やガソリンスタンドがそのまま使えるわけだ。これも第二世代バイオディーゼルのメリット。
2022年4月2日
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この2月、突如ロシアがウクライナに侵攻。世界中を巻き込む大問題となっている。ロシアとウクライナは20年ほど前から衝突を繰り返しているが、もとは同じソビエト連邦に属する兄弟のような国である。それが、ここまで対立が鮮明になってきた理由の一つに天然ガスパイプラインの問題がある。
ここでは、ロシアのエネルギー事情、特に天然ガスの問題についてまとめてみたい。
まず、基本的な知識として押さえておきたいのは、ロシアはエネルギー資源の超大国のひとつということである。原油の産出量については、米国、サウジアラビアに次いで世界第3位。天然ガスについては米国に次ぐ第2位。石炭についても中国、インド、米国などに次ぐ世界第6位を誇っている。
ただし、ロシアが米国というもうひとつのエネルギー資源大国と大きく違うのは、産出された資源のかなりの量を輸出にまわしており、これがロシア政府の大きな収入源となっているということである。実際、石油と天然ガスの輸出収入はロシア政府の年間総収入の43%に達している。
では、これらのエネルギー資源はどこに輸出されているのだろうか。これがロシアの貿易の最大の特徴であるが、輸出相手先がロシアと陸続きの国に大きく偏っている。ロシアは国土面積こそ世界最大であるが、資源を海上輸送できる不凍港は限られる。その結果、輸出はパイプラインや鉄道が中心となり、輸出相手国はほとんどロシアと陸で接する国に限られている。
石油の場合、主な輸出先は欧州が57%、アジアが42%(内、日本2%)、その他が1%。石炭の場合は、欧州が36%、アジアが54%(内、日本10%)、その他が10%である。(2020年実績)このように、石油や石炭の輸出先は基本的に欧州とアジアで、その割合は概ね半量ずつとなっている。
ところが天然ガスの輸出先については、欧州が89%、アジアが11%(内、日本4%)、その他が0%となっており、ロシアの天然ガス輸出については欧州向けが圧倒的である。
※ちなみに日本は天然ガスをオーストラリア、マレーシア、カタールなどから輸入しており、ロシア産は全体の8%。それほど多くはない。主な用途は東京電力や関西電力などで使われる発電用が7割、東京ガスや大阪ガスなどの都市ガス向けが3割である。
これは天然ガスが気体であることから、その輸送はパイプラインに頼らざるを得ないことに起因している。パイプラインを使わないとすれば、液化してLNGとしてタンカーで運ぶことになるが、この場合は液化プラントや貯蔵設備、出荷港の整備に多額の投資が必要となる。パイプラインは、いったん建設してしまえば、最も安価で確実な輸送手段になる。
ただ、問題はロシアから欧州への主要なパイプラインがウクライナを経由していることだ。もともと、ウクライナはソビエト連邦の一部。つまり同じ国内なのだから問題はなかった。欧州への最短ルートがウクライナだったわけである。
ところが、1991年にソビエト連邦が崩壊すると、ウクライナは独立してロシアとは別の国になってしまった。このことが問題の発端である。といっても当初、ウクライナとロシアはまだ友好な関係を維持していた。プーチンが大統領に就任したのは、この平和な時期である。
しかし、2004年にウクライナに親欧米の政権が誕生(オレンジ革命)すると、両国の関係は険悪になって行った。これは、天然ガスパイプラインのウクライナ国内通過料やウクライナ国内での天然ガス使用料の支払いの問題となって表面化し、2006年と2009年にはロシアがパイプラインの供給を一時停止する事態となった。
このパイプラインの停止は、ウクライナだけでなく、輸出先の西欧向け天然ガスも停止されることを意味しており、当然西欧諸国も危機感を抱くことになった。
その後、2014年にキエフで親ロシア派と親欧米派の大規模な武力衝突(ウクライナ騒乱)が起きて親欧米派が勝利すると、ロシアは対抗措置としてクリミアを併合。これに対して欧米は対ロシア制裁を開始した。
一方で、ロシアはウクライナを迂回するパイプラインの建設を急いできた。黒海・トルコを経由する「トルコストリーム」。あるいは、中国を輸出先とする「シベリアの力」などである。そして、ロシアとドイツを海底パイプラインで直接つなぐ「ノルドストリーム2」はほぼ完成しており、これについてはバイデン政権も制裁を解除していた。
このような新しいパイプラインの建設によってウクライナ経由の天然ガス輸送は1990年に85%だったものが、2018年には41%まで低下したと言われる。つまり、ロシアにとって天然ガス輸出と言う点では、ウクライナはそれほど重要な国ではなくなりつつあった。
そして2022年、ロシアは突如ウクライナに軍事進攻する。軍事進攻の理由としては、これ以上NATO加盟国をロシアの近くに作らせないという国防上の問題ももちろんあるだろうが、長年にわたるウクライナとの天然ガスパイプラインについての確執も大きな理由なのだろう。
ノルドストリーム2の完成によって、たとえウクライナが対抗措置として天然ガスパイプラインを閉鎖あるいは破壊したとしても、ロシアの大きな収益源である天然ガスは他のルートを使って輸送できると読んだのかもしれない。
あるいは、プーチン大統領の頭の中には対ウクライナとの関係が良好だったころの記憶がまだ残っており、なんとかこの美しい国をロシアにつなぎ留めておきたいという強い思いがあったのかもしれない。